2023年2月6日まで、東京・臨海副都心エリアで「次世代モビリティ」を体感できるイベントが開催中です。1月26日には小池百合子東京都知事も参加して開催セレモニーがおこなわれました。

4つの未来モビリティを体験できる

 デジタルの力を活用し、より住みやすい街作りを目指す取り組みが、現在全国各地で進んでいます。

 東京都も、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送る「スマート東京」の実現を目指しており、東京湾に隣接するベイエリアは、その先行実施エリアのひとつとなっています。

 そのベイエリア、東京臨海副都心公道およびシンボルプロムナード公園で、2023年1月18日から2月6日まで、東京都およびDigital Innovation City協議会は、先進モビリティ株式会社、WILLER株式会社、BOLDLY株式会社、日本科学未来館、Le DESIGNと協働し、同関連団体が研究開発を進める次世代モビリティの体験イベント「未来を乗りにおいでよ。次世代モビリティのまち体験」が開催されています。

 その会期中の1月26日(木)、東京・青海の日本科学未来館において、このイベントの開催セレモニーとプレス向け体験会が行われました。

「未来を乗りにおいでよ。次世代モビリティのまち体験」の開催イベントでスピーチした小池百合子東京都知事

 今回のイベントでは「自動運転EVバスで移動しよう!お台場回遊プロジェクト」「コンパクトな自動運転EVバスによるお台場シティバリューアッププロジェクト」「ナビゲーションロボット『AIスーツケース』屋外走行プロジェクト」「小型自動運転モビリティ『PARTNER MOBILITY ONE with PiiMo』走行プロジェクト」の4つが企画され、それぞれ一般に公開されます。

「自動運転EVバスで移動しよう!お台場回遊プロジェクト」は、中国の大手EVメーカー「BYD」が日本の交通需要にフィットするよう開発した小型EVバスに、先進モビリティ株式会社の自動運転システムを搭載。ドライバーは乗車するものの、レベル2の自動運転で東京テレポート駅とアクアシティお台場前、日本科学未来館のそれぞれを周回する2.5km、2つのコースを設定、乗客を運びます。

 お台場エリアは観光スポットが多いものの、エリア全体は広大で、とくにりんかい線東京テレポート駅からの交通手段が不足しています。今回のプロジェクトでは、短距離の移動に特化した路線で観光客などの行動変容(歩行からバス利用など)について検証する予定です。

仏NAVYA社の自動運転バスがカッコいい

「コンパクトな自動運転EVバスによるお台場シティバリューアッププロジェクト」は、フランスの自動運転バスメーカー「NAVYA」が提供する最高速度19km/h、定員14人の自動運転シャトルバスを活用し、アクアシティお台場からシンボルプロムナード公園セントラル広場まで南下したのち、公園内を東西方向に走ります。

中国の自動車メーカーBYDが日本向けに開発したEVバス「J6」。この製品に先進モビリティ株式会社の自動運転システム及び各種センサーを搭載した、自動運転EVバスとして走行する

 公園内の走行、横断歩道を使った車道の横断など、これまでのバスにはない走行スタイルを検証するほか、集客を期待する周辺施設から販促費や広告費として収益を得るなど、乗車料金以外の自動運転サービス収益モデルの構築も視野に入れています。

「ナビゲーションロボット『AIスーツケース』屋外走行プロジェクト」は、スーツケース型の歩行誘導ロボットです。

 実際に視覚に障がいのある浅川智恵子日本科学未来館館長が、客員教授を務める米国カーネギーメロン大学の研究室で2017年ごろ開発がスタートし、2019年に一般社団法人次世代移動支援技術開発コンソーシアムが開発を推進、2021年からは日本科学未来館でも開発、検証がはじまりました。

 レーザーセンサー「LiDAR」が周囲の障害物の検知と屋内での現在地の把握、高精度測位システム「GPS-RTK」が屋外での現在地を把握、カメラに連携したAIがアシストし、人や障害物を避け、盲導犬のように利用者を誘導します。これまで屋内での実証実験は行われてきましたが、屋外での実証は今回がはじめてとなります。

「小型自動運転モビリティ『PARTNER MOBILITY ONE with PiiMo』走行プロジェクト」は、歩行に不安がある高齢者でも観光地の感動を家族と共有できるよう考えられた、横に動くベンチの形状をした3人乗りのモビリティです。

 4輪ですが、操舵は行わず、左右後輪の回転差を使い方向を制御します。また「AIスーツケース」と同じく「GPS-RTK」「LiDAR」による自動運転が可能です。

 今回のプロジェクトでは、あらかじめプログラムされたコースを走行。さらにパナソニックのひとり乗りモビリティ「PiiMo」3台が自動追従走行します。

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 なおこれらのプロジェクトは一般参加が可能ですが、すべて事前申し込みが必要です。