千葉・幕張メッセで2023年2月に開催された日本最大のイベント「ジャパンキャンピングカーショー」は多くの人が来場し、活況を呈していました。2022年のデータではキャンピングカー市場は前年比120%となり、日本での保有台数も過去最高の14万5000台を数えます。いま、大人気のキャンピングカーですが、どんな種類があるのでしょうか。またどんなものが人気となっているのでしょうか。

キャンピングカーは「自走式」と「けん引式」に分けることができる

 アウトドアや車中泊のブームで注目が集まるキャンピングカーですが、車内で快適に過ごす機能や就寝設備はもちろんのこと、キッチンやシャワーなどを備えるものまであります。

 そのため、望む機能や広さに合わせたさまざまなビジュアルのキャンピングカーが存在しています。今回は、基礎知識としてキャンピングカーの種類について解説します。

 まずキャンピングカーは、自走式とけん引式の大きく二つに分けることができます。

 自走式とは、自動車をベースに作られるもので、自ら移動することが可能。一方、けん引式は、キャンピングトレーラーとも呼ばれ、キャビンにタイヤを備えることで移動を可能としているため、けん引する車両が必要です。

 さらにトレーラーの重量が750㎏を超える場合、牽引免許を持たないドライバーは牽引による移動はできません。

 キャンピングトレーラーは、運転技能と資格が求められることから、必要となるため、キャンピングカーファンの憧れとなっています。やはりキャンピングカーの本場である米国や欧州の香りのある海外製の豪華な仕様が人気ですが、国産車では、バイク趣味のトランスポーターや移動オフィスにも使える軽量コンパクトなものも登場し、話題となっています。

 もうひとつの自走式ですが、こちらが日本のキャンピングカーでは主力。その種類は豊富で、大きく6つにわけることが出来ます。ここからは、タイプごとの特徴を紹介していきましょう。

●軽キャンパー

 もっとも身近な存在といえるのが、「軽キャンピングカー(通称:軽キャンパー)」です。

軽キャンピングカー(軽キャンパー)

 軽という言葉が示すように、軽乗用車や軽商用車をベースとしたもの。軽自動車による手頃な価格やコンパクトさが強みとなります。

 軽ワゴンや軽バンのキャビンに就寝設備などを架装した手頃なものから、軽トラックの荷台に専用キャビンを搭載し、広さを最大化させたものまで様々なものがあります。

 ただし、軽自動車なので、最大乗員が最大4名に制限されることや軽規格の納めなくてはならないことがあり、広さの追求にも限界があります。

 全高や全幅が拡大されたものは、排気量が660㏄であっても普通車登録となります。ただし、ポップアップルーフなどの走行時に格納できるものは、軽自動車登録ができるので、軽キャンパーとして扱われます。

●バンコン

 日本ではもっとも売れている主力キャンピングカーとなるのが、「バンコンバージョン(通称:バンコン)」です。

バンコン。トヨタ「ハイエース」ベースで、走る姿はキャンピングカーには見えずハイエースそのもの

 ワゴンやミニバンをベースに作られたもので、人気が高いのは、トヨタ「ハイエース」ベースのもの。ベース車となるワゴンやバンの多彩なボディサイズが活かされていますが、見た目は、普通のワゴンやバンにそのものです。

 このため、取り回しにも優れており、ファーストカーとして日常使いするユーザーも多いようです。

 その内部は、後部エリアをベッドスペースに変更できる車中泊仕様から、ホテル並みの設備を備えるものまで様々。その後部エリアの広さを活かし、着脱式テーブルやミニキッチン、収納設備などの機能が充実したものも多く見られます。就寝定員も2名〜5名となるため、ファミリーユースにも最適です。

ボディが大きい豪華な「走る高級ホテル」も

●キャブコン

 多くの人がイメージするキャンピングカーといえば、「キャブコンバージョン(通称:キャブコン)」です。

キャブコン。トラックやワゴンなどのフロント部分はそのままに、専用キャビンを架装

 キャブコンは簡単に言えば、トラックやワゴンなどのフロント部分はそのままに、専用キャビンを架装したものとなります。

 居住エリアが専用設計となるため、用途に合わせたこだわりの作り込みが可能。トヨタのキャンピングカー向けの専用トラック「カムロード」をベースが有名ですが、ハイエースの後部に専用キャビンを架装したものもキャブコンと呼ばれます。

 キャビン幅を車幅より広げることができるので、ゆったりとした空間が得られ、車内の移動も楽々。固定のベッドエリアや大きな収納など、使い勝手も良くなります。

 また乗車人数や就寝人数も、バンコンよりも多いのも強みのひとつ。ただしそのビジュアルとサイズは、一目でキャンピングカーと分かるものなので、普段使いには向かず、キャンピングカー以外にファーストカーとなる乗用車を所有するのが一般的。キャンピングカーとしては理想的ですが、より贅沢な存在なのです。

●バスコン/●フルコン

 バスをキャンピングカーに変身させたのが、「バスコンバージョン(通称:バスコン)」です。

バスコン。マイクロバスをベースにするキャンピングカー

 ビジュアル的には、送迎などに使われるマイクロバスに近いものですが、広い車内と充実した設備が魅力。日本では、ベース車として、トヨタのマイクロバス「コースター」が用いられることが多いです。

 また普通免許で運転できるように、乗車人数を10人以下に抑えているものがほとんどです。

 キャンピングカーの最高峰と言われるのが、「フルコンバージョン(通称:フルコン)」です。

 これは自動車メーカーが供給するパワーユニットを備えたシャシ(もちろん、コクピットなどは流用)に、キャンピングカービルダーが独自のボディを架装することで、フルオリジナルデザインに仕上げたもの。

 巨大なボディと贅沢な作りには、誰もが圧倒されます。まさに「走る豪華ホテル」といっても過言ではありません。現在は、フルコンのキャンピングカーは輸入車のみ。国産車は、国産メーカーからのシャシー供給がないため、マイクロバスのフロント部とフロアを残し、その上に専用キャビンを架装した「セミフルコンバージョン(通称:セミフルコン)」と呼ばれるもののみとなります。

●トラキャン

 最後が、もっとも個性的といえる「トラックキャンパー(通称:トラキャン)」です。

トラキャン。ピックアップトラックの荷台に、キャンピングカーのキャビンを搭載

 日本車では少ないピックアップトラックの荷台に、キャンピングカーのキャビンを搭載したもの。備え付けではないので、キャビンの脱着が可能なのが大きな強みです。

 日常や目的地では、キャビンを下ろし、ピックアップトラックの機動性を活かすこともできます。ただし、ピックアップトラックの荷台に収まるサイズに限定されるので、居住スペースにも制約がありますが、トラックのキャビン上にもスペースを確保する作りとなっているため、大人4〜5人が就寝することができるようです。

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 ボディ構造よりさまざまな種類があるキャンピングカー。大型なものほど豪華な傾向にはありますが、日本独自の軽キャンパーのように手頃なものや、ハイエースのバンコンのように、乗用車とキャンピングカーの1台で二役をこなすものもあります。

 自分の目的や予算に合わせてキャンピングカーの仕様を絞り込んでいけば、ベストな一台が見つかるでしょう。