キャンピングカー市場がいま、日本でも人気だといいます。2022年のデータでは、その市場は前年比120%となり、日本での保有台数も過去最高の14万5000台を数えます。そんななか、キャンピングカーファンの憧れと言えるのがキャンピングトレーラーです。その魅力とはどんなものなのでしょうか。

動力源を持たないキャンピングトレーラーは広い居住空間が魅力

 キャンピングカーといえば、日本では、自動車をベースとした自走式のものを思い浮かべますが、キャンピングカーの本場である欧米では、自動車でけん引して移動するキャンピングカートレーラーが人気です。

 日本でも日本製のものはもちろんのこと、欧米製のものも輸入され、販売されています。

 キャンピングトレーラーをシンプルに表現すれば、トレーラーの上部に居住空間となるキャビンを架装したもの。動力源を持たず、ベース車の構造にも左右されないため、スペースのほとんどを居住空間に使えるのが強みです。

 フロアとなるトレーラーはタイヤ以外の凹凸もないため、ロアも低くでき、乗降も容易です。もちろん、牽引されるとはいえ、公道を走る車両となるので、登録や税金、車検などの維持費が必要となりますが、自走式のキャンピングカーよりもコストを抑えることができるのもメリット。またけん引の際も、必ずしも牽引免許は必要ではなく、キャンピングトレーラーの車両重量が750㎏以下であれば不要になります。

 このため、日本では、牽引免許が不要となる小型のキャンピングトレーラーが多く見受けられます。

 ただキャンピングトレーラーは、キャンピングカー愛好家の中でも憧れといわれています。それはタイトな日本の道路事情で牽引して走る運転技能が問われることや、キャンピングトレーラーの保管場所の確保が必要なこと、また重量級のキャンピングトレーラーでは、牽引能力の高いパワフルな車両が必要となるなど、費用面以外のハードルの高さもあり、手を出しにくいのも事実なのです。

 今回は、そんなキャンピングカーファン憧れの欧米のキャンピングトレーラーを紹介しましょう。

 キャンピングトレーラーの本場である北米のキャンピングカーライフは、休暇を過ごす目的地で、ゆっくりと滞在するのが基本。

 だから、キャンピングトレーラーにも自宅並みの快適さを要求します。このため、家族でゆっくりと過ごせる巨大なキャンピングトレーラーも多く、室内の作りも車内でゆっくりと寛げる作りとなっています。

米国と欧州で異なるキャンピングトレーラーの考え方

 アメリカの映像や映画で、誰しもが一度は見たことがあるキャンピングトレーラーといえば、「エアストリーム」です。

エアストリーム「Flyingcloud 23FB Twin」

 1932年に誕生した同キャンピングトレーラーの特徴は、流線型のスタイルとアルミ製によるボディです。日差しに照らされてキラキラと光る姿は、まさにキャンピングトレーラーの王者の輝きといえます。

 ダブルタイヤの長いボディを持つ「Flyingcloud 23B Twin」は、全長7240mm、全幅2490mmと巨大で、車両重量が2200㎏もあります。

 キャビンでは、4人の就寝が可能で、大型ベッド、エアコン、シャワー、トイレ、キッチンなど生活に必要なすべてのものが整っています。

 とくにキッチンは、大きめのシンクや複数口のIHコンロ、大型冷蔵庫など、自宅と変らない手の込んだ料理が楽しめるようになっており、室内のデザインも、アメリカの贅沢な住宅を彷彿させる雰囲気に仕上げられています。まさに動く家という感じです。

 一方、欧州のキャンピングカーライフは、旅が基本。自由に各地を巡れる機動力が重視されます。

 このため、軽量に作られているのが特徴といえます。このため、北米のキャンピングトレーラーのように、大型のピックアップトラックやSUVではなく、普通のセダンやハッチバックのクルマをけん引車に使うことができます。

 ドイツ製のキャンピングトレーラー「hobby」製の「540WFU Excellent」は、全長7270mm、全幅2300mmと大型ですが、車両重量は1339㎏に留められています。

ドイツのキャンピングトレーラーHobby「540WFU Excellent」

 4名の就寝が可能なキャビンには、大型ベッド、トイレ、シャワー、キッチンが備わっていますが、キッチンは小ぶりとなるなど、より合理的な設計思想が感じられます。このため、価格も北米のものよりも割安な点も魅力のひとつとなっています。内装のお洒落なデザインは、ホテルを彷彿させます。

※ ※ ※

 どちらもキャンピングトレーラーとしての魅力に溢れていますが、上記で示した牽引車について補足します。

 キャンピングトレーラーの重量が、牽引車選びに影響することは米国製も欧州製も同じですが、最大の違いは、牽引部の負荷となる垂直荷重に対する設計思想が異なることです。

 欧州製キャンピングトレーラーの場合、サイズに関わらず、垂直荷重が大きく変化しないように設計されていますが、米国製の場合、サイズにより垂直荷重が変化するのが一般的。

 このため、米国製のものは、牽引車の引く力だけでなく、トレーラーを支える力も要求されるため、フレーム構造を備える頑丈な作りのクルマが必要となります。

 一方で、欧州製のものは、コンパクトなものだと普通乗用車でも問題なしとなるわけです。

 その違いは外観にも表れており、タイヤ位置で見分けることできます。欧州製のものは、バランスの良いトレーラーの中央にありますが、米国製のものは、トレーラーの後方や後ろ寄りに装着されています。

 また、その差は、連結方法の違いにも表れており、重量あるトレーラーを牽引する際に、高い走行安定性を確保することが狙いのようです。