2023年1月に登場したのがプジョー新型「リフターロング」です。従来のリフターの全長を355mm延長、全長4760mmのボディサイズで3列7人乗りを実現しています。マルチに使えるフレンチミニバン、リフターロングの魅力に迫ります。

通常モデルより全長355mm延長した「リフターロング」

 プジョー「リフター」は、2020年11月の日本導入以来、そのSUVスタイルを取り入れたおしゃれな外観や使い勝手の良さ、そして独自の存在感で高い人気を誇っているMPV(マルチパーパスビークル)です。

 そんなリフターに2023年1月に追加されたのが新型「リフターロング」です。リフターロングは、現行型リフターをベースに全長やホイールベースを延長し、3列7人乗りを実現したモデルになります。

 ボディサイズは全長4760mm(ベースモデル比+355mm)×全幅1850mm×全高1900mm(+20mm)、ホイールベース2975mm(+190mm)と、日本の道路事情にもマッチするサイズになっています。車両重量は1700kg(+50kg)に抑えられています。

 内装はファブリックのブラウンツートーンで、標準のリフターGTと同一のもの。3列シートは最大130mm前後スライドすることで、大人も座れる実用性を備えています。また3列目シートは折りたたみと取り外しが可能で、荷室の最大容量は約2700リッター(リフターは2120リッター)と大幅に増加。ホイールベースとリアオーバーハングの延長により、2列目シートを使った状態でも利便性が向上しています。

 パワートレインは標準ボディと同様、130馬力・300Nmを発生する1.5リッターディーゼルターボエンジン。組み合わされるトランスミッションは8速ATで、前輪を駆動します。アドバンスドグリップコントロールを装備するなど、オフロードにも対応するスタイルと走行性能をあわせもっています。

 そんなリフターロングですが、車中泊に使うことはできるのでしょうか。

3列目シートを外せば広大な車中泊スペースが広がる

 従来の2列5人乗りリフターの場合、2列目シートを折りたたむだけで広大な荷室が広がります。

 2列目シートを格納した際の荷室の長さ、およそ1800mm。荷室は完全にフラットになるわけではなく、2列目背もたれ部分と荷室部分に若干の段差があり、実際に寝てみると角度もありますが、車中泊用のマットレスなどを敷くことにより、かなり寝やすいスベースになります。

 また室内高も十分にあるため、寝た状態での圧迫感もないのが特徴です。 広さ的にも大人2人がゆったりと足を伸ばして横になることが可能です。

こちらはプジョー「リフター」通常モデルの荷室。マットレスなどを使えば無理なく快適な車中泊が可能。荷室の長さは1800mmほど

一方のリフターロングはどうでしょうか。

 3列目シートは独立式で、130mmの前後スライドも可能、さらに背もたれを折りたたむことができます。ただしその状態では車中泊をおこなうことはできません。

 この3列目シートは取り外すことが可能です。3列目シートを取り外し、2列目シートを格納すると荷室の長さは2230mmにもおよびます。つまり通常のリフターよりも余裕を持って大人2人が車中泊することができます。

プジョー新型「リフターロング」。3列目シートを外せば長さ2230mmの荷室が広がる。マットレスなどを使えば無理なく車中泊が可能だ。

 ただし、そこで問題となるのは、取り外した3列目シートの保管場所です。リフターロングの3列目シートは、簡易的なシートではなく、大人が座ることを前提としたかなりしっかりとした作りのものになっています。

 その重さは1脚で約15kg。取り外し/取り付けはレバーひとつで簡単におこなえますし、その重量もドイツ系ミニバンに比べると扱いやすい重さではありますが、外したシートの保管場所に苦労する人もいそうです。

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 とはいえ、普段は3列7人乗りのミニバンとして、またオフの日には釣りにスキーに車中泊に活躍する秘密基地としてマルチに活躍しそうなリフターロング。ライバルのルノー新型「カングー」にはない魅力を持っています。