先ごろとあるオークションに、1973年式のポルシェ「911T」が出品されていました。注目すべきはこの車両、「911 2.7RS」仕様に仕立てる途中のバラバラの状態なのです。“レストモッド”のベースとしても最適なこのモデルの気になる価格は?

「911T」を“ナナサンカレラ”仕様にするはずだった!?

 昨今、ポルシェ「911」人気の過熱ぶりはとどまることを知りませんが、先日、とあるオークションに出品された1973年式のポルシェ「911T」が、あることで話題を集めました。

 当該車両は1972年8月25日にドイツの工場から出荷され、1973年2月にイギリスで初めて登録された個体。新車時はライトイエローのボディカラーをまとっていたそうですが、今は下地がむき出しの状態。内装も再塗装のために剥離された状態ですが、サビはないということです。

「911T」はいわゆる“ナロー”と呼ばれる「911」のエントリーグレードに相当するもので、特段、珍しい車両ではありません。ところが、当該車両が注目を集めたのにはある理由がありました。なんと「911 2.7RS」仕様に改造しようと本気で取り組んでいた形跡がうかがえる個体だったのです。

 かつてイギリスに存在した「R to RSR」というショップが作業に取り組んでいたようですが、現オーナーによってバラバラの状態で出品されることになりました。途中で支払いが滞ったのか、「R to RSR」が差し押さえられたのか、作業半ばであきらめてしまったのか、出品理由は定かではありませんが、イギリスでの車検に相当する書類はそろっているとのことです。

●レストモッドに最適な状態、しかも右ハンドル!

 当該車両は、リアのクォーターパネル(純正)、クイックレシオのステアリングラック、新しいトーションバー、ブレーキのベンチレーテッドディスクやキャリパーなどが、すでに「911 2.7RS」のものへと換装されています。またホイールには、赤いフックスのレプリカタイプを履いています。

 エンジンやトランスミッション、シートやほぼすべての内装は、現在、取り外された状態です。「911T」は新車時に、2.4リッターの水平対向6気筒エンジンを搭載していましたが、今回の出品されているのは2.7リッターですから、ナローポルシェ後期型のものに載せ替えようと調達していたようです。

 そのほかのパーツには、エキゾーストバックボックス(いわゆる“タイコ”部分)、フロントシート、フロントガラスを除くすべての窓ガラス、ヘッドライト、テールライト、そしてさまざまなトリム類が含まれています。また、“V5C登録証明書”(イギリスの車検証相当)、ポルシェ発行の原産地証明書、VINプレート、キー2本も含まれます。

 ステアリングホイール、ダッシュボード、シフトノブなどは取り外されることなくオリジナルのまま、です。いくつかパーツが“足りない状態”とのことですが、そこまで大きな問題ではなさそうです。

 つまり現状の個体は、レストモッド(レストアと改造)しやすい状態である、といえるかもしれません。

 専門のショップに任せるもよし、DIYするもよし、想像力次第でレストモッドで有名なシンガー・ポルシェに勝る「911」をつくれることでしょう。しかも当該車両は右ハンドル。日本でもウケそうな上に使い勝手もよさそうです。

 最終的には32件の入札があり、3万5275ポンド(約569万円)で落札されたそうです。バラバラの上に走れる状態に仕上げるまでかなりお金がかかりそうですが、やはり「911」は腐っても鯛ですね、でも、たとえ改造に1000万円掛かったとしても、今の相場であれば魅惑的な物件と呼べるのかもしれません。「911」は本当に高嶺の花に昇華してしまいました……。