メルセデス・ベンツのEV「EQシリーズ」に、新たにSUVタイプのモデル「EQS SUV」が登場しました。どんなモデルなのでしょうか。

350馬力の「EQS450SUV」と544馬力の「EQS580SUV」を用意

 メルセデス・ベンツ日本は2023年5月29日、ラグジュアリーSUVタイプの電気自動車(EV)、「EQS SUV」を発表、発売しました。

 グレードは2種類で、消費税込みの車両価格は「EQS 450 4MATIC SUV」が1542万円、「EQS 580 4MATIC SUV Sports」が1999万円です。

 新型EQS SUVは、2022年4月19日に世界初公開した、メルセデスブランド初のオール電化のラグジュアリーSUVです。

 セダンモデルの「EQS」「EQE」につづき、プレミアムクラスのEVのための新モジュラーアーキテクチャー「EVA」に基づく3番目のモデルで、SUVとしては初のモデルとなります。

 全長5130mm(EQS580SUVは5135mm)×全幅2035mm×全高1725mm、ホイールベースは3210mmという大型SUVで、大人7人が快適に過ごせる質感の高い室内空間と、SUVならではの使い勝手の良さを加えたラグジュアリーSUVです。

 エクステリアはキャブフォワードデザインなど内燃エンジン搭載車とは大きく異なるスタイリングが特徴です。フロントフェイスは「ブラックパネル」ユニットに統合されており、ライトバンドでつながっている左右のヘッドライトと、ディープブラックのフロントグリルによって、フロントフェイスが形成されています。

 ドアハンドルは、格納式のシームレスドアハンドルが標準装備。ドアミラーはエアロダイナミクスとエアロアコースティスク(空気音響学特性)を高める観点から、ベルトラインに配置されています。

 これらにより、SUVパッケージでありながらCd値は0.26という優れた空力を備えています。さらにNVH(騒音/振動/ハーシュネス)対策も徹底的に行われ、高い静粛性を実現しています。

 インテリアは一貫したデジタル化が施されています。MBUXハイパースクリーンは3枚の高詳細パネル(コックピットディスプレイ/有機ELメディアディスプレイ/有機ELフロントディスプレイ【助手席】)とダッシュボード全体を1枚のガラスで覆うワイドスクリーンで構成されています。

 2列目シートは前後130mmの電動スライド機能を標準装備。またバックレストは電動リクライニング機能を備えています。2列目シートのバックレストは40:20:40の分割可倒式で、ラゲッジルームは645リッターから最大880リッターまで無段階に拡張が可能で、5人乗車時にはゴルフバッグを4つ積み込むことが可能です。また2列目シートを倒すと最大2100リッターとなります。

 また7席すべてを使用する場合でも、3列シート後方に195リッターのスペースがあります。

 シートヒーターを備えた3列目シートは標準装備されます。これはラゲッジルームフロアから起こして使用するもので、前に倒した状態では平らなフロア面となります。

 パワートレインは2種類。EQS SUVは前後アクスルに電動パワートレイン(eATS)を搭載し、電気モーターには永久磁石同期モーター(PSM)が採用されています。

 新型EQS SUVはすべて4MATIC(4WD)です。トルクシフト機能によってフロントとリアの電気モーター間で駆動トルクの連続可変配分が行われるため、前後駆動力配分は常に効率的かつ最適化されています。
 
 EQS450 4MATIC SUVはトータル出力360馬力・トルクは800Nmを発生、EQS580 4MATIC SUVは544馬力・858Nmを発生します。107.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載、WLTCモードでの一充電航続可能距離はEQS450が593km、EQS580が589kmです。直流急速充電(CHAdeMO規格)の10%から80%への充電時間は、50kWタイプで100分、90kWタイプで53分、150kWタイプで49分です。

また日本仕様の特別な機能として、EQS SUVから車外へ電力を供給できる双方向充電(V2H)が可能です。家庭の太陽光発電システムで発電した電気の貯蔵装置にもなるほか、停電した場合などに電気を家庭に送る予備電源としても利用できることになります。

 サスペンションはフロント:4リンク、リア:マルチリンクを採用。また連続可変ダンピングシステムADS+と、エアサスペンションを組み合わせたAIRMATICを標準装備しています。

 さらにリアアクスルステアリング(4WS)を標準装備。これにより最小回転半径が5.1mとなり、コンパクトカー並みに用意に扱うことが可能です。