ポルシェのEV「タイカン」のオールラウンダーモデル「タイカン・クロスツーリスモ」がギネス記録を打ち立てました。この記録は内燃機関モデルでは到達できない、EVならではのものだといいますが、どんな記録なのでしょうか。
5573.979mという最大高度変化記録
独ポルシェAGは2023年9月12日、チベットのホントィゥダバーンで、ポルシェのEV「タイカン・クロスツーリスモ」によって電気自動車による最大高度変化の新記録、5573.979mを達成したと発表しました。
タイカンは2019年に、ポルシェ初の市販EVとして登場した4ドアモデルです。
2021年にはタイカンをベースにしたオールラウンダーモデル「タイカン・クロスツーリスモ」が世界初公開。このモデルは難易度の高いオフロード地形の走行も可能で、標準装備の「グラベルモード」がラフロード走行への適合性を向上させています。
今回の挑戦では、中国の自然な地形のなかでもっとも低い地点から、もっとも高い国道の頂上まで到達する、総走行距離2783kmの過酷な道を完遂したものです。標高マイナス218.845mのアイディン湖をスタートし、標高5355.134mのホントゥダパン登頂に成功しました。
新疆-チベットルートには、複雑で変化する地形や道路状況と異常気象が組み合わさり、生存の限界に挑戦する荒涼とした景色が特徴です。そんななか、タイカン・クロスツーリスモのオフロード性能、長距離での快適性、確かな信頼性が十分に実証されました。
今回、挑戦した2台の「タイカン4 クロスツーリスモ」は、トムール グランド キャニオン、タリムポプラの森、三沙砂漠高速道路など、未舗装の道路と穴だらけの砂利道を走行。ただ走り抜けるだけでなく、安定した走行をおこなったといいます。
また崑崙山脈と天山山脈には全長760kmにわたる無人地帯があり、そこでの充電はポルシェ・ベンチャーズが戦略的に投資している新興企業、「EnjoyElec」のスマートエネルギー管理システムを活用。突然の雨や予期せぬ雪に見舞われながらも、クルマは標高4,900メートル以上の4つの連続山頂に挑戦しましたが、インテリジェントな熱管理システムにより車両コンポーネントの最適な動作温度が保証され、タイカンは高いレベルの充電効率を維持することができたといいます。
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タイカン・クロスツーリスモは、2022年11月にも4842.967mという最大高度変化のギネス記録を米国ミシガン州で打ち立てています。今回は、自身の持つ世界記録を更新したものです。
また2022年8月には、「タイカンターボS」がニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)で、市販車EVで最速記録となる7分33秒350というラップタイムを計測しています。