スバル「フォレスター」と「クロストレック」に乗って、冬の酸ヶ湯温泉をドライブしました。高いAWD性能の実力とともに、堪能した名湯を紹介します。

名湯「酸ヶ湯温泉」へ 雪の残る道中での2モデルの印象は

 スバルの最新SUV「フォレスター」と「クロストレック」の試乗会が青森県青森市を中心に開催されました。
 
 日本有数の豪雪地帯としても知られる名湯・酸ヶ湯温泉を、2モデルを乗り比べながら目指します。

 試乗は青森港周辺から開始しました。目前にはかつての青函連絡船を記憶する「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」も見えます。

 当日の天気は晴れで雪も少ない状態でしたが、市内のところどころには残雪もあり、大通りからひとつ曲がると路面は圧雪状態となっている箇所もありました。

 まずはフォレスターから試乗します。現行フォレスターは2018年6月に登場した6代目で、2023年8月には先進機能強化などの改良が行われました。

 現在スバルのSUVにはクロストレックや「レヴォーグ レイバック」、「レガシィ アウトバック」がありますが、こうしたモデルよりも全高が高く、さらに“0次安全”として視界の良さを追求していることもあり、前方に広がる八甲田山の雄大な景色もよく見えます。

 今回は「アドバンス」グレードを試乗しました。インテリアはシルバーのダブルステッチがドアトリムやセンターコンソールに施され、さらにオプションのブラウンナッパレザーを装備しており、上質で所有欲を満たしてくれる仕上がり。旅への期待をさらに高めてくれます。

 多くの装備を標準装備する上級グレードであっても、価格(消費税込)は339万9000円と比較的リーズナブルに設定されていることも大きな魅力です。

 市街地を抜けると徐々に雪も増え、路面もほとんどが圧雪状態です。道路に設置されている気温計もマイナス3度を下回り、ところどころ凍結しているのではないかとドキドキする場面も増えてきました。

 そこでコンソールの「X-MODE」ダイヤルをひとつ左に回すだけで、「SNOW・DIRT」モードに切り替わります。

 重量バランスに優れたスバル独自の「シンメトリカルAWD」との組み合わせにより、滑りやすい路面でも、車体の姿勢が崩れたり、意図しない方向へクルマが動くといったことはありません。

 下り坂では自動的にヒルディセントコントロールが作動することで、積雪路に慣れていない編集部員でも恐怖を感じることなく、難なく走行できます。

 また、路面は大きな雪の塊が落ちていたり、深いわだちなど、凹凸のある箇所にも遭遇しましたが、高い最低地上高や衝撃をうまくいなしてくれるサスペンションによって、舗装路とあまり変わらない快適さを保っています。

 全モデル標準装備のシートヒーターを作動させていれば、助手席の乗員は安心して眠気を感じることもあるでしょう。

 やがてフォレスターは酸ヶ湯温泉旅館へと到着。道中にはフォレスターの高さ並みの雪壁もあり、何度か除雪車ともすれ違うなど、青森の厳しい冬を実感させます。

 ストックを持ったスキーヤーの姿も見えますが、駐車場には新旧スバル車がちらほらと見られ、ここ東北地方でスバル車が支持されていることがうかがえるとともに、仲間意識のような感覚が芽生え、なんだか嬉しくなります。

 酸ヶ湯温泉は、昭和29年(1954年)に、全国温泉のなかでも「国民保養温泉地第1号」の指定を受けた由緒正しい温泉です。

「ヒバ千人風呂」は時代を超えたヒバ造りの大空間が広がる

 その起源は江戸時代まで遡り、地元の猟師が仕留め損じた鹿を追っていたところ、発見したとの伝説が残されています。そして、江戸時代から湯治客が欠かさず訪れていたといい、現在でも人気温泉地としても知られています。

 風情を感じる建物に入ると、すでに硫黄泉特有の匂いが感じられます。青森の伝統的な夏祭りである「ねぶた」を模したミニねぶたも展示されていました。

 館内を進んでいくと男湯と女湯に別れますが、一番の見どころはやはり「ヒバ千人風呂」でしょう。

 ヒバ千人風呂は畳160枚分もの大面積を誇る混浴の大浴場で、温泉の匂いとヒノキの一種であるヒバ造りによる香りがミックスされた湯けむりが立ち込めています。

 早速入ってみることにしましょう。

酸ヶ湯温泉の心地よさに驚き! 「クロストレック」で楽しい帰路へ

 中には4つの風呂があります。手前の「熱の湯」は湯名に反して比較的ぬるめで、長時間入っていられる印象です。白濁したお湯は酸性で、傷口には少ししみることもあるかもしれませんが、上がって時間が経過しても全身がポカポカと温められた状態が続きます。

 奥の「四分六分の湯」は熱の湯に比べると少し熱めですが、入っていられないような湯温ではなく、むしろこちらのほうが心地よいと感じる人もいそうです。

 これ以外にも38度ほどでかけ湯向きの「冷の湯」、高さのある源泉から落下して身体をほぐしてくれる「湯滝」もあります。

湯上がりは「酸ヶ湯そば」を楽しむ

 ヒバと温泉の香りに癒やされていると、時間はあっという間に過ぎていきますが、短期間の入浴を繰り返す湯治にはちょうど向いているのではないかと感じます。

 そして入浴後には食事処「鬼面庵」で名物「酸ヶ湯そば」を頂きます。

 酸ヶ湯そばはつなぎを使用せず、そば粉だけで作られる独特な食感と、陸奥湾のいわし焼干を主原料としただし汁の旨味が魅力です。

 だし汁は湯上がりにはちょうど良い濃さで用意され、濃厚なそば湯と混ぜて味わう楽しみもよいかもしれません。

 また、八甲田山の清水やそば茶も提供されているほか、汗をかいて火照った身体に優しい甘さのそばプリンも頂くことができます。

 全身が十分に温まったところで、フォレスターからクロストレックに乗り換えます。

 クロストレックは、従来の「XV」の後継車として登場したコンパクトSUVです。初の“3眼”となり、検知精度が向上した「アイサイト」や、全車ハイブリッドパワートレイン「e-BOXER」を搭載しています。

 先程のフォレスターとは違い、低い全高やスポーティなデザインなどから、雪上とわかっていてもついついハイペースでドライビングを試してみたくなります。

 クロストレックでは2ピニオン電動ステアリングを採用したことで、素直で滑らかなステアリングフィールを実現。AWD制御のサポートも入るため、安全で楽しいドライビングが可能です。

 なお、酸ヶ湯温泉周辺は雪壁が多いだけでなく、観光バスや除雪車ともすれ違うため、全幅の大きなSUVでは不安に感じることもあるかもしれませんが、クロストレックのサイズや取り回しの良さによって、運転に慣れていない人でも怖い思いをしなくて済むでしょう。

スバルの最新SUVは湯めぐりにちょうどよい相棒だ

 下り坂では、残雪と雪解け水によって路面が濡れており、スリップも頭をよぎりますが、クロストレックはそうした挙動は見せず、むしろパドルシフトを使いこなしでスイスイとコーナーを抜けて走行できました。

 市街地ではストップアンドゴーが増えますが、e-BOXERの静かでスムーズな走りは、先程までややハイペース気味に走行していたのと同じクルマとは思えない上質さを備えていることもわかります。

 しばらくして新青森駅に到着するも疲労感はなく、まだ乗っていたいなと感じさせてくれます。

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 往復100キロ程度のショートトリップでしたが、積雪量では度々ニュースにも登場するような日本有数の豪雪地帯である酸ヶ湯温泉周辺を、一切の不安を感じさせずにドライブできました。

 酸ヶ湯温泉の良質な湯に加え、冬温泉めぐり旅の道中を安心かつ楽しくサポートしてくれるよき“相棒”として、フォレスターとクロストレックは大活躍してくれました。

 特にAWD性能やX-MODEの制御は目を見張るもので、1970年台初頭に初めて乗用タイプの量産AWD車を発売したスバルならではの、卓越したパフォーマンスはまさに冬ドライブの心強い味方となってくれます。