警視庁では2024年4月1日より、放置駐車違反金において「PayPay(ペイペイ)請求書払い」に対応しました。これまで全国では兵庫県警、山口県警、千葉県警、埼玉県警も放置駐車違反金のペイペイ払いに対応していますが、交通違反の反則金には使えず、あくまで放置駐車違反のみとなります。その理由とはどういうものなのでしょうか?

兵庫県警、山口県警、千葉県警、埼玉県警に続き警視庁もペイペイ払いに対応

 スマートフォンとバーコードの組み合わせで簡単に支払いができるPayPay(ペイペイ)は、日常の買い物、公共料金の支払い、さらには個人間の送金ツールとしても広く活用されています。

 そのPayPayが2024年4月1日から、警視庁の「放置駐車違反金」の決済にも対応しました。

 つまり「PayPay請求書払い」により、コンビニや銀行、郵便局に足を運ぶことなく、手元のスマートフォンで納付書のバーコードを読んでの支払いが可能となったのです。

 ここまで読んで「お、交通違反の反則金もPayPayで払えるようになったのか。悔しいけど便利だな」と思った人がいるかもしれません。

 じつはそれは早合点で、支払うことができるのは、あくまで「放置駐車違反金のみ」です。

 ではなぜ反則金がNGで、放置違反金がOKなのでしょうか。

 それを知るには、反則金と放置違反金の違いを理解する必要があります。

 交通違反の反則金とは「交通反則通告制度」の手続きにより支払うものです。

 本来、道路交通法に違反した行為は刑事手続き、つまり警察、検察による取り調べ、起訴された場合は裁判を経て、処分が決まります。しかし1960年代のモータリゼーションの進展により、クルマやバイクによる交通違反は増大し、そのすべてに刑事手続きを行うことが、検察庁や裁判所に多大な負荷をかけるようになりました。

 そこで1968年、交通違反のうち、軽微な違反については警察官が「交通反則告知書(いわゆる青キップ)」と「納付書」を違反者に渡す、交通反則通告制度を導入したのです。

 具体的には、青キップと納付書を受け取った運転者が、納付書に記された納付期限内に反則金を金融機関で納付することで、違反は刑事手続きに移行することなく処理されます。

 もし期限内に反則金を納めなかった場合や、納付書を紛失、毀損した場合でも、交通反則通告センター(地域によっては警察署、出頭できない場合は郵送手続きも可)で納付書の再交付を受け、反則金を納付すれば、同様です。

 なお、運転者が交通反則通告制度に応じるかどうかは任意であり、刑事手続きを希望することも可能ですが、実際にはほとんどの運転者がより簡易な反則金の納付を選択しています。

 その意味で、導入の本来の目的である「検察庁や裁判所の負荷軽減」は実現しているとみていいでしょう。

反則金と放置違反金との最大の違いとは

 一方、放置違反金は、こうした交通反則通告制度とはまったく異なる仕組みです。

「交通反則告知書(いわゆる青キップ)」の反則金はペイペイ払いには対応していない

 駐車違反の取締りにおいては、運転者がその場にいないため、「だれが違反したのか」の特定が困難であるという課題がありました。

 そこで2006年の道路交通法改正により、警察官、交通巡視員、さらに新たに導入された民間の「駐車監視員」が違法な放置駐車(運転者がクルマを離れ、すぐに運転できない状態)を現認した場合に「放置車両確認標章」をクルマに取り付け、運転者が出頭した場合は交通反則通告制度として処理し、運転者が一定期間出頭しない場合は「クルマの使用者(車検証に記載された使用者)」に「放置違反金仮納付書」などを送付し、駐車違反の反則金と同額の放置違反金を科すこととしたのです。

 この放置違反金は、駐車違反そのものに対しての反則金とは異なり、車両の使用者責任を問うものであるため、運転免許の違反点数は科されません。ただ使用者が同じクルマで一定期間に一定回数以上放置違反金納付命令を受けた場合は車両の使用制限が命じられるほか、放置違反金を納付しなかった場合は車検拒否の対象となるという、かなり重い制裁が待っています。

 そして「決済」という視点から見た場合の反則金と放置違反金との最大の違いは、その納付先です。

 じつは反則金は国の収入ですが、放置違反金は都道府県の収入なのです。つまり反則金決済の仕組みは国全体での対応が必要となりますが、放置違反金は都道府県単位であることから、警視庁(=東京都を管轄する警察)での放置違反金のPayPay決済が可能となったのです。

 なおPayPayによると、警視庁以外にも、すでに兵庫県警、山口県警、千葉県警、埼玉県警も、放置違反金のPayPay請求書払いに対応済みとのことです。

※ ※ ※

 では、反則金のキャッシュレス決済への対応は、どうなっているのでしょうか。

 じつは2022年11月に施行された「キャッシュレス法(情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律)」により、パスポートの発行手数料、車検の手数料、登記関連の手数料など、行政手数料がキャッシュレスに対応することが決まっており、反則金もそのなかに含まれています。

 ただしその時期については、今年度末からはじまる「免許証とマイナンバーカードの一体化」を踏まえて整備することとされていることから、当分先になりそうです。