セイコーは2024年7月、プロスペックスよりダイバースキューバモデルの新作を3機種リリース。早くも欧米のファンから「Ninja」と呼ばれていますが、その理由を探りました?

●最初に“サムライ”があった

 突然ですが英語圏では、ブランドがつけた正式名称のほかにファンが独自のニックネームでプロダクトを呼称する文化があります。そしてそれは時計の世界でも同じこと。

 2024年7月に登場したばかりの「セイコー プロスペックス ダイバースキューバ」の新作は、早くも海外の時計ファンの間で「これぞNinja!」と興奮気味に語られているタイムピースなんです。

 200mの空気潜水用防水に対応し、ムーブメント「4R35」を搭載した最新の機械式ダイバースキューバが「Ninja(忍者)」と呼ばれるようになった理由を探るうえで外せないのが、“SAMURAI(サムライ)”と呼ばれるダイバーズの存在です。

 “サムライ”とは、現行機種ではPADI限定の「SBDY123」がその系譜を受け継ぐ、プロスペックスダイバーズに与えられたニックネーム。

 まるで刀で切り落としたかのような造形のケースや、“柄巻き”と呼ばれる日本刀の握り部分を思わせるりゅうずの菱形模様など、いくつものディテールが侍のアイコンである日本刀を思わせるというのがその名の理由のようです。

 そして今回の新作は、“サムライ”をリファインした後継機的な存在ですが、幅43.8mmとダイナミックなサイズ感のサムライに対し、やや小ぶりな41.7mmを採用。

 同時に、大胆に削ぎ落とされたシルエットに仕上がっているせいか、海外ファンはTwitter(現X)で「Slim SAMURAI(スリム侍)」と表現するポストも見受けられました。

 セイコー プロスペックスシリーズはこれまでにも、例えば怪物の牙のようなカッティングを施されたベゼルを持つ「MONSTER(モンスター)」や、缶詰のような外胴プロテクターを持つマリーンマスター プロフェッショナルの「TUNA-CAN(ツナ缶)」など、様々なニックネームが与えられ時計ファンに愛されてきました。

 色味を押さえたスタイルが、“姿を隠し隠密行動を行うニンジャ”を連想させるのでしょう。

 ステルスな印象を醸し出す黒系アイテムを「Ninja(忍者)」と表現する文化があるせいか、かつて黒で統一されたツナ缶の限定モデルが「Ninja tunacan」と呼ばれていたことも。

 とくに今回登場したダイバースキューバには、ケースやダイヤル、それにラバーストラップまでをも黒で統一した「SBDY133」がラインアップされるなど、“Ninja”と呼ばれるのはもはや必然。

 ファション界隈で注目される、「ノームコア(究極の普通)」というミニマルなスタイルにも、色味を押さえた本作は好相性といえそう。

 ブラックアウトした「SBDY133」のほか、ステンレススチールの地色にブラックのダイヤルを備えた「SBDY131」とダークレッドダイヤルの「SBDY129」も用意され、ネット上では「黒もいいけど赤もいいね」など、各モデルに好意的な意見が寄せられています。

 こういった熱心なファン文化を本家のセイコーがどう考えているのか、興味深いところ。

 ですがセイコーはニックネームのムーブメントに対し「私たちが企業としてそのような名称を掲げているわけではない。自然発生的にそうなった」とオフィシャルサイト「異名を持つ時計たち。」の記事の中で見解を説明。

 どうやら好意的に解釈しているよう。これからも異名の文化は時計ファンを楽しませてくれそうです。

●製品仕様
・型番:SBDY131(ブラック)SBDY129(ダークレッド)、SBDY133(ラバーバンド)
・価格(消費税込み):8万3600円(SBDY131、SBDY129)、7万9200円(SBDY133)
・ケース素材:ステンレススチール
・ブレスレット素材:ステンレススチール(SBDY133のみシリコンラバー製)
・ガラス:ハードレックス
・防水性能:200m空気潜水用防水
・ケースサイズ:横41.7mm、縦49.5mm、厚さ12.3mm
・ムーブメント:4R35
・巻上方式:メカニカル 自動巻(手巻つき)
・時間精度:日差+45秒〜−35秒
・パワーリザーブ:最大巻上時約41時間
・石数:23石