気軽に入れて、その町その店独自の味が楽しめる――老若男女に愛されるカルチャーとして人気を博している「町中華」にフォーカス。VAGUE編集部オススメのお店の魅力を紹介していきます。

昭和23年創業、76年続く浅草で続く町中華の店

 気軽に入れて、その町その店独自の味が楽しめる――老若男女に愛されるカルチャーとして人気を博している「町中華」にフォーカス。VAGUE編集部オススメのお店の魅力を紹介していきます。

「最初はおばあちゃん、おじいちゃんがね、ラーメン、おでん、焼きそば、甘味なんかを出す店だったんですよ」と話す3代目店主の川瀬茂高さん。

 戦後の浅草は履き物問屋も多く、仕入れに来た人たちの手荷物預かり所兼、食事ができるところとして営んでいたとのこと。

 そういえば浅草って、昭和の時代は靴屋さんが多かった記憶があるなぁ。

「店のある花川戸は昔から卸売の店が並んでいてね。今でも『花川戸靴・はきもの問屋街』として、靴や鞄、革製品などを扱う店が並んでいるんですよ」

 おお〜、そうなんですね。それなら食べた帰りに、靴を探しに行こうかなぁ。3代目の茂高さんになって、甘味やおでんなどのメニューはなくなり、中華料理中心のメニューに。それでも、「オムライス」は今でも人気メニュー。メニューに唯一残る洋食です。

 そんな、浅草の戦後から続く店のおすすめ料理、3品を紹介します。

まずはこれでしょ! ゴハンにもビールにも合う手作り餃子

「餃子はラーメン、チャーハンと並ぶ人気メニューですね。毎日、具から作っている手作り餃子です」と店主。

 中身は挽肉、キャベツ、ニラ、生姜、ニンニク。キャベツがやや多めのバランスです。食べてみると、皮は程よくむっちり、そして焦げ目はカリッと。中身は野菜多めながらも、肉の旨みをしっかり感じます。

 最初は醤油だけ、あとはラー油たっぷりにしても旨みが負けない。これは、ビールにも合うし、ごはんにワンバンしてから食べても美味しい! 

 日曜の昼から、ここにきて餃子とビールでリラックスして、シメで麺類。最高だろうなぁ。インバウンドで大混雑の浅草だけれど、ここならゆったり過ごせそうです。

香ばしさとほろっと感と。鉄鍋で炒めるからこその美味しさがある「ニラレバ炒め」

餃子(5個)500円。皿の横に醤油スペースがある餃子専用皿も、昔ながらで嬉しくなる

 そして、炒め物として絶対に注文したいのがレバニラ炒め。もやしなど野菜はシャキッと、そして少し焦げたところが香ばしいレバーは、噛むとほろっとほどけていく感覚。ガツンとくるけれどどこか優しい、作り手の気持ちが伝わってくるような美味しさです。

「国産のレバー、ニラ、もやし、玉ねぎを醤油ベースの味付けですね。これもゴハンにもお酒にも合いますよ」。

 このレバニラ炒め、ライス300円とワカメスープ300円をプラスして、勝手に定食にしちゃうか、スープ付きのチャーハン1,000円を頼んでリッチなセットメニューにしちゃうか、でも生ビール(中)700円がやっぱりいいよなぁ。酎ハイ500円、ホッピーのセット600円もいい。

 そうなると、シュウマイ3個600円とか、ザーサイ400円も追加注文して、一人宴会コースを作りたくなってくる。レバニラが美味しいお店にハズレなし。もっと色々なものが食べたくなってきます。

程よい辛みが食欲をさらにアップさせる!とろみもたまらない「麻婆メン」

シャキシャキのもやしやニラ、そして香ばしさのあるレバー。冷めても美味しい&臭みがない!

 そして、ぼたんに行ったらぜひ味わって欲しいのが麻婆メン! 『あん』となる麻婆豆腐は単品のメニューと同じ作り方で、店主が鉄鍋で豆腐や挽肉を炒め、作っていきます。

 それと同時に4代目の二朗さんが麺を茹で、スープを器に入れ、麻婆豆腐が完成するタイミングで土台となるラーメンを作ります。出来立ての麻婆豆腐をラーメンの上に乗せて完成。阿吽の呼吸で作られる麻婆メンです。

「スープは鶏と豚、タレはチャーシューを煮た際に出来る醤油ダレがベースです。仕上げにごま油を入れています。

 麺は若干太めの麺ですね。ラーメンはちぢれ細麺ですが、麻婆メンはちょっと太めの方がいいんですよ」と店主。

麻婆豆腐の餡の下から麺を持ち上げると、中から湯気がブワッ。ワクワクしてくる!

 実際に食べてみると、麺を持ち上げた瞬間、中から湯気が。麻婆豆腐のとろみとごま油で、しっかりフタがされている状況。ずっと熱々です。

 とろっとした麻婆豆腐のあんから麺を引っ張り出すと、麻婆のとろみがしっかり麺に絡み、旨みたっぷりで口の中に。

 熱い、でも旨い! 辛さはさほど激しさはく、むしろスッキリした華やかな味わい。

 もしお腹に余裕があれば、まず麺を一気に食べ切って、残ったスープに白ごはんを入れてもう一杯分楽しみたい! 

 スープそのものの旨みと、麻婆豆腐のとろみと辛みと挽肉由来の旨みが融合した、ずーっと食べ続けていたくなる一杯です。

左から、3代目の茂高さん、千秋ママ、4代目と共に店を盛り上げる香菜子さん、4代目の二朗さん

「先代から教わったことをなるべく変えないようにしています。お客様には気軽にきていただきたいですね」と話す店主。

 お客様の多くは地元の人、または地元で働いている人。そのため、お客様も3代、4代にわたって通い続けている、というケースも多いそう。76年続く店ならではの常連さんです。

 取材日はゴールデンウィーク明け。もう少しで三社祭が始まるのを家族皆さんで楽しみにしている、アットホームな雰囲気のお店でした。