生誕50周年のランボルギーニ「カウンタック」のなかでも、もっとも価値があるとされる「LP400」の最新オークションレポートをお届けします。

市販カウンタックの中でもハイエンドな“ペリスコピオ(潜望鏡)”とは?

 2021年11月19日、RMサザビーズ社が仏・ポールリカール・サーキットを会場としておこなった「ギカス・コレクション(Guikas Collection)」オークションは、主に1970年代以降のレーシングスポーツカーを中心に、77台もの希少なクラシックカーが全車「Without Reserve(最低落札価格なし)」、つまり売り切りで競売に登場した。

 その中には、2021年に生誕50周年を迎えてマーケットも好況となっているランボルギーニ「カウンタック」が2台も含まれていたことも話題を呼んだ。今回は2台のうちでも真打的存在、歴史的にもそしてマーケット評価ももっとも高い「LP400」と、そのオークション結果についてお伝えさせていただこう。

●55台目のカウンタック

 市販型カウンタックの開祖となった「LP400」は、1973年3月のジュネーヴ・ショーにて正式デビューを果たし、翌年からデリバリーが開始された。

 のちのカウンタックに見られるようなオーバーフェンダーやエアダムスカートなどの付属ボディパーツを一切持たない、シンプルかつスリークな美しさ。

 あるいは「ペリスコピオ(Periscopio:潜望鏡)」なる愛称の語源となった、ルーフ上に薄い後方確認用リアウインドウと、それを収めるためのくぼみを設けるなど、LP400固有の魅力が、このモデルこそ鬼才マルチェッロ・ガンディーニの溢れる才気を最も鮮烈に体現したカウンタックであるという評価をもたらしてきた。

 LP400は、1977年までに157台(ほかに152台説など諸説あり)が、サンタアガタ・ボロネーゼ工場からラインオフ。その希少性も相まって、現在ではコレクター人気のもっとも高いカウンタックとなっている。

 このほど「ギカス・コレクション(Guikas Collection)」オークションに出品されたLP400ペリスコピオは、1975年にミラノ在住の初代オーナーのもとへ新車としてデリバリーされた1台。ランボルギーニによって生産された、55台目のカウンタックとみられている。

 ボディカラーは当初から現在と同じ「ネロ(黒)」ながら、インテリアはもともと赤い本革レザー仕立てだったとのこと。しかし、のちに現在のブラック本革に張り替えられ、ダークで荘重な雰囲気を醸し出すことになった。

 その後、1977年にはボローニャの2代目オーナーに譲渡されたものの、同じ年に米国に輸出され、ペンシルベニア州ピッツバーグの「オートパレス(Auto Palace)」社を介して、このあと12年間所有することになる3代目オーナーが入手。さらにその後3名の所有者は、いずれもカリフォルニア州在住だったといわれている。

 またこのアメリカ時代、2003年に出展されたコンクール・デレガンス「カリフォルニア・コンクール(California Concours)」では、ダッシュボードに、カウンタックの創造主のひとりとして世界的な名声を誇るレジェンド、ガンディーニ氏のサインが記されることになったという。

ロッド・スチュワートの元愛車「LP400」より高額で落札されたお値段とは?

 今回のオークション出品にあたって添付されるドキュメントによると、2006年から2007年の間に、カリフォルニア州の「ボビレフ・モーターカー・カンパニー(Bobileff Motorcar Company)」に約6万ドルを支払って、大規模なメインテナンスやリペアがおこなわれたことが明らかになっている

 このサービスの際には、最高出力375psの4リッターV型12気筒4カムシャフトのエンジンをオーバーホールしたほか、ボディワークやペイント、あるいはインテリアについても必要に応じてリタッチを施しているとのこと。そしてこの修復を終えた直後に、このLP400ペリスコピオは30年ぶりにヨーロッパへと復帰。ドイツ在住の先代オーナーが、2007年に購入したとのことである。

 オークション出品に際しては、整備記録簿やマニュアル、新車時以来の古いイタリアの登録プレート、スペアホイールとツールキットも完備した状態で出品されることになった。

文句なしに1億円のプライスがついた「カウンタックLP400」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●予想落札価格を上回るハンマープライス

 カウンタックは間違いなく20世紀の代表するスーパーカーのひとつであり、とくにファーストモデルであるLP400ペリスコピオは、当時のランボルギーニのビジョンをもっとも明確に表すことから、歴史家や識者からも高く評価されている。

 それゆえに、1988年に登場したファイナルバージョン、イタリアでは「Jubilio(ユビリオ)」とも呼ばれている「アニバーサリー」に至る歴代カウンタックの中でも、LP400は現在におけるマーケット価格が群を抜いて高価なことでも知られるが、今回のオークション出品に際して、RMサザビーズ欧州本社はギカス氏との協議のもとで、75万−90万ユーロという、かなり強気ともとれるエスティメート(推定落札価格)を設定した。

 そして11月19日の競売は、超高額落札が見込まれるこの種のロットとしては珍しくリザーヴ(最低落札価格)なし、つまり売り切りでおこなわれたにもかかわらず、オークションハウス側の期待に応えてエスティメート上限を若干ながら上回る90万5000ユーロ(邦貨換算約1億1580万円)という目覚ましい価格でハンマーが落とされることになったのだ。

 これは、今回のオークションで同時出品された1981年型「LP400S」の43万2500ユーロという落札価格の2倍以上に相当するものであり、現代の国際マーケットにおけるLP400ペリスコリピオの圧倒的支持がうかがわれよう。

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 ちなみに、同じRMサザビーズ欧州本社が、同じ2021の2月に開催した「PARIS」オークションでは「ロッド・スチュワートの元愛車」という付加価値のついたLP400が77万5625ユーロ、当時の日本円換算では約9920万円で落札されたことを思えば、やはり「カウンタック50周年」の始まる前と後では、マーケットの熱度もそれなりに異なるかに思われたのである。