はじめてのフェラーリライフを送るのに、コストパフォーマンスがもっとも高いのは年式を考慮しても「360モデナ」でしょう。F1マチックではなくMTだとなおさらよいのですが、安く手に入れるならF1マチックです。

はじめてのフェラーリに最適な「360モデナ」とは

 RMサザビーズが開催した、2021年12月の「オープン・ロード・オークション」に、実に魅力的なフェラーリ「360モデナ」が登場した。360モデナは、「F355」の後継車として1999年に誕生。出品されたのは、その最初期型となる1999年式のモデナ、すなわちクーペで、フェラーリはこのモデルに6速MT、もしくは6速F1マチックの両ミッションからの選択を可能にしたが、出品車は後者の「360モデナF1」である。

 前作のF355で実用化されたF1マチックとの大きな違いは、シフトダウン時にブリッピングの制御が入るようになったこと。それによってドライバーは、コーナーの進入時にはステアリングとブレーキの操作に、より専念できるようになった。

 360モデナは、完全にアルミニウムで生産された最初のフェラーリでもあった。パートナーはアルコア社で、両社のパートナーシップにより、ボディサイズはF355時代よりも10%増加したにもかかわらず、重量は28%減少。剛性は40%も向上するという結果をもたらした。

 リアミッドに搭載されるエンジンは、400psの最高出力を発揮する3.6リッターV型8気筒DOHC40バルブ。車名の360といいう数字はその排気量を意味している。モデナはフェラーリが本社を置くマラネロがイタリアのモデナ県に属することからサブネームとして与えられたものだ。

 エンジンフードがガラス製のファストバックスタイルとされたため、外観からでも容易にエンジンを認識することが可能になった。デザインを担当したのはもちろんピニンファリーナである。

 360モデナがデビューした1999年当時、フェラーリが発表したデータによれば、最高速は295km/h、0−100km/h加速は4.5秒だったというから、現在でもその運動性能は十分に高い水準にあるといえるだろう。

新車同然の「360モデナ」の評価はいかに

 それでは、オープン・ロード・オークションに出品された360モデルを見てみよう。

 年式は1999年。ボディカラーは珍しい「ジョッロ・モデナ」と呼ばれるイエローである。インテリアを見てみると、デイトナ・スタイルのイエローが差し色に入ったブラックレザーシートが目を引く。

ボディカラーは特別なイエロー「ジョッロ・モデナ」を選択するなど、ファーストオーナーのこだわりが垣間見られる(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●走行距離が少なくとも整備は完璧

 タイミングベルトの交換など、多くのメンテナンス作業を受けた結果、前オーナーは2万6000ドル(約300万円)の支払いをおこなった請求書も残されているようだ。

 さらにF1マチック用のバッテリーと油圧ポンプ、ヒューズ、リレー類とともに、エンジンマウントも交換されているというのだから、初めてのフェラーリとして購入するにはベストな1台といえるだろう。

 それにしても内外装ともに新車同然の美しさであるが、走行距離が3300km弱であるのでそれも納得である。

 このほとんど新車に近いコンディションの360モデナF1の落札価格は、9万3500ドル(邦貨換算約1080万円)であった。

 同じオークションで、走行距離4800km未満のフェラーリ「F355スパイダー」が14万8500ドル(邦貨換算約1700万円)で落札されていたが、こちらはMTであった。もし、360モデナがMTだったらどれくらいの評価になったのか、非常に興味深い。