「イエローバード」の通称で有名な「ルーフCTR」ですが、それ以前にもポルシェのチューニングをおこなっていました。その世界的に有名になる前のルーフが手掛けたポルシェにはプレミアムがつくのでしょうか。

ポルシェのチューニングで有名な「ルーフ」の始まりとは

 Ruf Automobile GmbH、一般的にはシンプルにRuf(ルーフ)社と呼ばれる、このファミリー企業ともいえる規模の自動車メーカーは、1939年にバイエルンの小さな街であるファッフェンハウゼンにアロイス・ルーフ・シニアが開いた整備工場として、VWをメインとしたディーラー、そしてチューナーを営むことからはじまった。

●小さいながらも自動車メーカー

 現在のようにポルシェとのフレンドリーな関係が築かれるのは1963年、ポルシェ「356」のセールスを開始してからのことで、それをきっかけにRufはVWと同様にポルシェのチューニングを開始。

 1974年に社長のアロイス・ルーフ・シニアを失うと、その息子であるアロイス・ルーフ・ジュニアを新たな社長に、さらにポルシェとの関係を深めることになる。

 そしてRufにとってさらに大きな転機となったのは、1981年にドイツの自動車工業会から独立した自動車メーカーとしての認定を受けたこと。これによって正式にRuf Automobile社は誕生したのである。

 Rufの名前を一躍世界に轟かせた原動力となったのは、1987年4月におこなわれた最高速テストにおいて、強力なライバルの存在を抑えて322km/hを記録し、当時の世界最速車となった「CTR」の存在が大きい。

 今回RMサザビーズのオープン・ロード・オークションに出品された「BTRカブリオレ」は1985年式であるから、まだその名声が広まる以前の作ということになる。

 ベースとなっているのは930型の「911ターボ」で、1985年式はカブリオレとタルガに、出品車のようなターボルックがオプションで設定された初めての年である。

「イエローバード」以前のルーフは注目株となるか!?

 Rufの製作するモデルというと、エアロダイナミクスの高効率化からナローボディが選択される例が多いが、ターボルックと専用のリアウイング、そして5本スポークのホイールによるフィニッシュが魅力的だ。

ナローボディを選択することが多いルーフであるので、ターボルックのワイドボディは極めて貴重(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 ボディカラーはインテリアとも巧みにマッチングするプルシアン・ブルー・メタリック。走行距離はRMサザビーズがカタログを製作した時点で4万9398kmと年式を考えれば少ないほうだ。

 リアに搭載されるエンジンは、Rufによって排気量を3.4リッターに拡大された水平対向6気筒ターボ。最高出力は369psと発表されたが、これはオリジナルの3.3リッター仕様と比較して実に69psの強化したことになる。

 Rufはまず1983年モデルで復活を遂げていた911カブリオレのホワイトボディ等々のパーツ一式(前で触れたオプションのターボルックを含む)をハンブルグのディーラーを通じて購入すると、それをこのBTR仕様へとコンバートしたのだった。

 参考までにその最高速は304km/h、4.3秒で発進から96km/hまでの加速が可能だったという。

●極上ルーフの気になる落札価格は

 出品車のコンディションを見てみよう。内外装の状態は、生産からすでに30年以上を経過しているとは思えないほどに美しく、ボディカラーにマッチするインテリアも時間の流れを感じさせないほどの状態に保たれている。

 さらにサービスブックやオーナーズマニュアルもきちんと残されている。その信頼感、そしてBTRがルーフにとって初の、とくにこの3.4リッターエンジン+カブリオレ+ワイドボディという組み合わせが、きわめてレアな存在であることが、10万5600ユーロ(邦貨換算約1380万円)という落札価格の大きな理由になっているものと思われる。

 将来のさらなる値上がりを見越しても、その存在は見逃せない。