ジャッキー・チェンが映画『キャノンボール2』でドライブした日本車はいま、北米で人気があるのでしょうか。最新オークション結果から調査しました。

北米で「コンクエスト」という名のクルマは、日本名「スタリオン」だった

 クライスラー「コンクエスト」がアメリカ・フロリダ州のフォートローダーデールで開催されたRMサザビーズオークションに出品された。

 コンクエストとはなんぞやと思った人も、写真を見て納得した人もいるはずだ。というのもこのクルマは、三菱が1988年から1990年まで製造・販売をしていた「スタリオンGSR−VR」なのだ。

●北米やオーストラリアにも輸出されていた「スタリオン」

 スタリオンは、1982年に登場している。当初は、G63B型2.0リッター4気筒キャブターボエンジンを搭載したGXもあったが1年少しでカタログ落ちとなっている。電子制御式燃料噴射を採用したモデルはGSRというグレード名が与えられた。

 当時発売されていたのは、仕様が違うGSR−I/GSR−II/GSR−III/GSR−Xというグレード。その後この2.0リッターエンジン搭載車は、1984年にマイナーチェンジをうけ、GSR−Vへと進化。さらに1987年には、ブリスターフェンダーを装備し、前後に215/60R15というサイズのタイヤをセットした、ワイドボディのGSR−VRが限定車として登場している。

 2.6リッターターボエンジンを搭載したGSR−VRが登場したのは、1988年になってからのことだ。ワイドボディであることは2.0リッターバージョンと同じだが、タイヤサイズはフロントが205/55R16、リアは225/50R16と、前後異サイズを設定。

 そんなスタリオンは、オーストラリアやヨーロッパ、北米にも輸出されていた。それと同時に、当時三菱と提携していたクライスラーにもスタリオンは供給され、1986年までは「ダッジ・コンクエスト」、そして「プリムス・コンクエスト」というモデル名で販売されていた。

『キャノンボール2』でジャッキー・チェンが乗ったクルマの落札価格は?

 今回紹介する1988年式クライスラー「コンクエスト」は、ダッジ・コンクエスト、プリムス・コンクエストの後継モデルとなるもの。車体やエンジンは同じだが、1987年から販売ブランド名がクライスラーの名前となった、そのモデルである。

前後のブリスターフェンダーが迫力あるスタイリングに貢献している(C)2022 Courtesy of RM Sotheby's

●有名な映画の劇中車としては意外な落札価格

 当時北米では、5速マニュアルトランスミッションと4速オートマチックトランスミッション車を販売していたが、今回紹介する個体は5速MT仕様。TSiというグレードは、フロントにインタークーラーを装備したワイドボディ車を表している。

 オークションに出展されたときの走行距離は、2万6533マイル(約4万2700km)にすぎず、2021年8月には4126ドル(邦貨換算約52万円)をかけて外装の手直しをおこない、さらに10月には、1500ドル(邦貨換算約19万円)で小さな修復をおこなっている。

 さらにこの個体には、スペアホイールやジャッキ、サービスインボイスや説明書が付属している。腐食しやすく、社外品へと交換されていることが多いマフラーだが、純正マフラーも揃っている。ホイールも純正品が装備されている。

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 このような、年式からすれば極上といっていい状態のコンクエストなのだが、注目の落札価格は2万5850ドル(邦貨換算約330万円)だった。

 これは昨今の北米におけるヤングタイマー人気、日本車人気ということを考えると、お値打ちといっていいだろう。とくに北米で人気が高いA80型「スープラ」やR34型「スカイラインGT−R」などは、映画『ワイルドスピード』でその人気に火がついたといわれているが、実はスタリオンだって映画『キャノンボール2』にジャッキー・チェンがドライブするクルマとして登場している。

 有名なクルマが登場する映画の劇中車として登場しておりながら、『ワイスピ』の劇中車のように人気に火が付いていない理由は、映画そのものの人気の差なのか、クルマ自体の人気の差なのかは不明だ。ただし、発売当時の1980年代にスタリオンに憧れていた人にとっては、魅力的な落札価格なのではないだろうか。