クラシック・ランボルギーニの市場価格が上がっていますが、ネオヒストリックともいえる「ディアブロ」も近年、その価値を高めています。コレクションモデルといえる「ディアブロVTロードスター」は、驚きの落札価格となりました。

「カウンタック」に続き「ディアブロ」まで高額落札される

 RMサザビーズ社が2022年3月末にアメリカのフロリダ州で開催した「フォートローダーレール・オークション」は、5月のモナコ、8月のペブルビーチというビッイベントを控える中において、盛況のうちに終了した。

 トップセールスを記録したのは63万8000ドル(同8200万円)での落札となった2005年式のフォードGTだったが、これに続いた2位と3位はいずれもランボルギーニだった。2位はすでにVAGUEで既報の「カウンタックLP5000S」であるが、今回は3位の1988年式の「ディアブロVTロードスター」を紹介しよう。

 ランボルギーニのファンにはあえて詳しく解説するまでもないが、1990年に誕生したV12気筒モデルのディアブロは、それまでのカウンタックのパワートレイン・レイアウトをそのまま継承したモデルだった。それはV型12気筒エンジンを縦置きミッドシップするために、かのパオロ・スタンツァーニが考案した、エンジンを最後部に搭載し、そこから取り出したトルクを最前方にマウントされるギアボックスに伝達。ここで再び180度方向を転換したトルクを後輪へ伝えるというものである。

●スタンツァーニは、4WD化を視野に入れていた

 後にスタンツァーニ氏にインタビューした時に、氏はこのパワートレイン・レイアウトによってカウンタックの4WD化も想定していたというが、残念ながらその夢は叶うことはなかった。

 それがようやく実現したのが1990年にスタンツァーニがその基本設計を担当したブガッティ「EB110」であり、また1993年に誕生したランボルギーニのディアプロ「VT」にほかならなかったのだ。

 VTの文字が意味するもの。それはビスカス・トラクションであり、すなわちこのモデルはビスカスカップリングをセンターデフとして用いることで、通常時の0:100から、25:75までの前後駆動力配分を無段階に調整するシステムを備えていたのだ。

 ちなみにリアミッドに搭載されるエンジンは、492psの最高出力を誇る5.7リッターV型12気筒。さらにこのVTの誕生とともに、メーターパネルがよりコンパクトな仕様へと変更され、前方の視認性がよくなったことも忘れてはならない。

希少な「ロードスター」とはいえ、驚愕のプライスだった「ディアブロ」

 一方このモデルのもうひとつの特徴である、ロードスターのスタイルもまた魅力的だ。ランボルギーニは1992年のジュネーブ・ショーで、ロードスターのプロトタイプを発表しているが、実際にプロダクションモデルへと移行されたロードスターはよりシンプルに、ルーフ部分のみをタルガトップとし、オープン時にはそれをエンジンルーム上にフィットさせるというデザインが採用されていた。

ルーフ部分のみをタルガトップとし、オープン時にはそれをエンジンルーム上にフィットさせるというデザインを採用した「ディアブロVTロードスター」(C)2022 Courtesy of RM Sotheby's

 フロントピラーやフロアパネルにはさらに補強が施され、ボディーサイドのエアインテークも限定車として誕生した「SE30」と共通のデザインに改められるなど、独自のディテールも数多い。

 4WDモデルがもっとも大きな優位性とするのは、やはりそのトラクション性能の高さにある。ランボルギーニがアウディ・グループに入って以降、そのラインナップがすべて4WD化されたことや、後継車たる「ムルシエラゴ」、「アヴェンタドール」が4WDモデルであったことも、それを証明する事実といえるだろう。

●「ディアブロ」も6000万円に!

 RMサザビーズの調査によれば、この「ディアブロVTロードスター」の生産台数はわずかに200台。とくにこの1998年式は、リトラクタブルヘッドランプを備える──いわゆるシリーズ1ともいえるスタイリッシュなスタイルの最終年式なので、ワンオーナー車であることも含め、その価値はさらに高いという。

 新車時からの走行距離はわずかに3067マイル(約4936km)。エアコンやオーディオはもちろんのこと、キャビンのコンディションもエクステリアと同様に新車時のそれと変わらない。まさにタイムカプセルから出現したかのような個体である。

 注目の落札価格は46万7500ドル(邦貨換算約6000万円)であったが、十分に納得のいくものと評価できる。