アルファ ロメオも例外ではない、世界的に進む電動化への流れ。とはいえ、その“エンジン”に魅力を感じていたファンも多いのではないでしょうか。ブランド110年の集大成として登場した、世界限定500台の「ジュリアGTA/GTAm」は、そんな人たちへの最後の贈り物。ブランドの歴史を体現した走りの一端をお伝えします。

日本に84台のみ正規導入された貴重な「ジュリアGTAm」

 14ブランドを抱える巨大グループとなったステランティス。世界的に進む電動化への流れを最大限に利用して、グループで使うバッテリーパックの内製化や4種類の共有電動プラットフォームの構築などを推進し、電動ブランドの覇者を狙う。

 アルファ ロメオも例外ではない。2024年以降に登場する次世代モデルは「アルファeロメオ」となって、電動化がいっそう進む。つい最近には初の電動モデル(プラグインハイブリッド)SUV「トナーレ」が登場した。

 とはいえアルファ ロメオといえば“エンジン”に魅力を感じていた人も多いはず。そんな昔ながらのファンは今のうちにエンジンのみを積んだ高性能アルファ ロメオを手に入れておいたほうがいいかもしれない。アルファ ロメオ史上、最強スペックのエンジンを積んだ「ジュリアGTA&GTAm」は、ブランド110年の集大成として登場したエンジン付きアルファ ロメオファンへの最後の贈り物となりそうだ。

●もはやレーシングカー、最大のテーマは軽量化

 両モデル併せても僅かに500台の世界限定モデル。日本へはそのうちなんと84台がやってきた。アルファ ロメオの限定車に対する日本のマニアの熱狂ぶりは昔からイタリア本国も認めるところで、過去のモデルも他の国より相対的に(時に絶対的にも)多かった。通常この手の限定車の場合、アルファ ロメオに限らず日本市場への割り当ては10分の1から20分の1だから、今回もまた極めて多いといっていい。

 改めてGTA&GTAmの概要を振り返っておこう。「ジュリアクアドリフォリオ」をベースとしたスーパーセダンだ。F1エンジニアリングを採り入れて開発されたエアロパーツや広げられたトレッドを覆う厳しいオーバーフェンダー、落とされた車高に20インチのセンターロックホイールが、どちらかというと撫で肩美人だったジュリアを一気に筋骨隆々な見かけへと変貌させている。

 トラック仕様というべきGTAmのインテリアはもはやレーシングカーだ。ボディ色に塗られたロールケージの下にシートはなく、アルミ製のボックスで軽い荷物しか置けない。リアセクションのウインドウは全て薄いポリカーボネートである。

 GTAと謳うからには“軽いクルマ”でなければならない。付け足されたエアロデバイスは複雑なデザインにもかかわらずほとんどがプリプレグ成型のカーボンファイバー強化樹脂(CFRP)製で、見るからに高価そうだ。

 そのほかフロントガラスの肉厚を減らし、内装のパーツは必要最小限の機能に絞るなど、徹底的な軽量化とパワートレイン、シャシ&サスペンションチューンがGTAのキモである。

ハードコア仕様の「ジュリアGTAm」は、日常でも使えるのか?

 100mも走れば特別なクルマであることを確信する。乗り続けて100kmを超えた頃にはスタンダードのクアドリフォリオとまるで違うクルマであることを理解する。さらにテストを続けて共に過ごした距離が500kmを超えた頃には、もうすっかりGTAmの虜になっていた。

前後のトレッド幅は50mm拡大。20インチのセンターロックホイールを装着する(C)茂呂幸正

●クルージングでは優れたGT、ベースモデルより乗りやすくて速い

 走り出してすぐに実感できることは、相当にクイックなハンドリングマシンであるということ。そのぶん乗り心地は典型的なフラット&ソリッド。薄いバケットシートのおかげで頑丈な板の上に座って転がっているかのような感覚を覚えるが、それでいてショックそのものはよくいなされている。硬めの乗り心地が嫌いでなければ街中でも意外に使えそう。

 高速道路を小一時間も流すと、V6ツインターボのエンジンフィールがクアドリフォリオ用とはまるで違うことがだんだんとわかってくる。フェラーリ製ユニットの中身はおそらくほとんどが新設計になっているのだろう。フケの鋭さ、トルクのつき、高回転域におけるパワー感など、全域に渡って格別だ。アルファ ロメオのためにフェラーリが作った最後のエンジン、その究極バージョンを手に入れたと思えるだけでも価値がある。

 京都にたどり着く頃には、このクルマが優れたGT(グラントゥーリズモ)であることを確信した。高速域でのエアロダイナミクスが非常に優れているのだ。スムースに空気を流して走っていると実感できる。高速クルージングにおける安定感はクアドリフォリオの比ではない。

 あとはサーキットで試してみたいところだが、流石に友人とはいえオーナー車なのでそれはまた別の機会にチャンスがあれば。とはいえ大いに期待が持てることは確かだ。なぜなら総合的に見て、GTAmはクアドリフォリオよりも“クセのない”クルマだったからだ。これならサーキットでも不安なく試せそう。最新モデルらしくパワートレインやシャシの制御が行き届いているからだ。

 GTAmにはアルファ ロメオ110年の歴史が確かに詰まっていた。

●Alfa Romeo GIULIA GTAm
アルファ ロメオ・ジュリアGTAm
・車両価格(消費税込):2198万円
・全長:4669mm
・全幅:2024mm
・全高:1397mm
・ホイールベース:2820mm
・車両重量:1580kg
・エンジン形式:V型6気筒ツインターボ
・排気量:2891cc
・エンジン配置:フロント縦置き
・駆動方式:後輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:540ps/6500rpm
・最大トルク:600Nm/2500rpm
・最高速度:300km/h
・燃料タンク容量:58L
・タイヤ:(前)265/30R20、(後)295/30R20
・ホイール:(前)9.5Jx20、(後)11.0Jx20