日本仏教の母山と称される京都・⽐叡⼭の麓を流れる高野川のほとりに“生まれ変わりを体感する宿”が新たに開業。古来より療養の地といわれ⾃然豊かなこの場所で、お茶と蒸湯を中心に、体を内外からめぐらせる体験ができる注目の宿泊施設です。

心も身も解き放ち“Rebirth”できる宿

 京都・⼋瀬に“⽣まれ変わり”をコンセプトとする宿泊施設「moksa(モクサ)」がグランドオープン。企画運営は、放送作家・小山薫堂氏が率いるオレンジ・アンド・パートナーズと、IMD Allianceの合弁会社が手がける。

 深緑広がる⽐叡⼭の麓を流れる、高野川のほとりに建つ「moksa」。この地域は、古くは壬申の乱で背中に⽮キズを負った⼤海⼈皇⼦が体をいやすため、村⼈が献上した“⼋瀬の窯⾵呂”を起源とした歴史ある療養の地といわれている。

 そんな地に誕生した「moksa」の特徴について、プロデューサー・佐藤さんは次のように語る。

「『moksa』とは、サンスクリット語で“解脱”や“解放”を意味する⾔葉です。喧騒から離れ、いやしの地・八瀬で心身を清めて生まれ変わるようなひとときを過ごしていただきたいとの思いが込められています。

『moksa』では、⼋瀬の歴史や⽂化、そして⼟地性を活かし、“お茶”と“蒸湯”を中⼼に、体を内外からめぐらせる体験を通じて“⽣まれ変わり”を感じていただける、心地いい滞在を演出いたします」

体を内外からめぐらせる“お茶”と“蒸湯”のパワー

 佐藤さんの解説にもあるように、本施設での滞在の軸となるのが、“お茶”と“蒸湯”の体験だ。

“お茶”は、施設にある茶室「帰去来(ききょらい)」で体験可能。苔(こけ)庭を眺めながら茶をたしなむ、カウンター4席だけの空間だ。茶は4系統用意され、薬膳茶は「hahahaus」、中国茶と台湾茶は「⼩慢」、⽇本茶は「⼀保堂」の茶葉を使⽤。それぞれ好みの1杯が提供される。

 また予約制ながら、茶会も催される。なかでも特別なイベントでは、陶芸家で茶⼈の市川孝氏による、宿オリジナルの“茶⾞”を⽤いた茶会を屋外で開催。季節に合わせた「御菓⼦丸」の和菓⼦も登場するという。

 一方の“蒸湯”は、⼋瀬に伝わる“窯⾵呂”という⽇本最古の蒸湯⽂化にインスピレーションを受け、完全予約制のプライベートサウナ「蒸庵(じょうあん)」を設けた。

「『蒸庵』には、趣の異なる3タイプのプライベートサウナをご⽤意いたしました。かつて薪や炭を売り歩いていた行商人である小原女(おはらめ)文化を象徴し、炭化した薪をイメージした『炭蒸』。さらに、比叡山に多く自生し、神聖な木材とされる檜をテーマにした『檜蒸』。そして、体内のコラーゲンを活性化させる特殊な光を用いたミストサウナ『美蒸』の3タイプです。

 ちなみに⽔⾵呂には、⽐叡⼭の地下⽔を使用しています。また『蒸庵』の空間は、サウナの聖地とされる静岡の「サウナしきじ」のプロデュースによって新設されました」(佐藤さん)

写真は、比叡山に多く自生し、仏教や神道でも神聖な木材とされる檜をテーマにしたサウナ「檜蒸」の内観。⽔⾵呂には⽐叡⼭の地下⽔が使われる

●現代作家たちとつくり上げた⺠俗的でモダンな空間

 全31の客室は、眺望を庭と川から選ぶことができる。⾼野川を見渡せる「リバースイート」、⽐叡⼭を眺められる「ガーデンスイート」、くつろぎの「リラックススイート」、そして、ひとり旅でも利用できる「スタンダード」と、4タイプが用意される。

 また館内は、京都のギャラリー「tonoto」がプロデュース。八瀬に伝わる⽂化や歴史からひも解いた独⾃性をテーマに、気鋭の現代作家たちの作品をしつらえ、民族的でモダンな空間を演出している。自然素材を用いた陶芸や立体作品、書などが配された館内は、滞在中のちょっとした移動でも五感を刺激してくれる。

 館内に併設されたレストラン「MALA」は、地域の⼩原⼥⽂化に着想を得た薪⽕料理を中⼼としたダイニング。隣接する⼤原の農家をはじめ、京都近郊から届けられた選りすぐりの食材が用いられる。四季折々変化する優美な⽇本庭園を眺めながら、薪⽕を囲むライブ感あふれるカウンター席で旬のメニューを堪能できる。

 朝食は、和⾷、洋⾷、養⽣朝⾷からセレクト可能。おすすめは、おかゆに湯葉と柚⼦のあんをかけた養⽣朝⾷で、疲れた胃腸にやさしく体がととのうメニューが提供される。

 実はこうした食体験は、チェックインの際から始まっている。宿に到着すると、宿泊客の体質や体調に合わせて選べる養⽣茶と、季節の⼩菓⼦が迎えてくれる。

宿に到着すると、宿泊客の体質や体調に合わせて選べる養⽣茶と、季節の⼩菓⼦が迎えてくれる。また、施設にある茶室「帰去来」では、苔庭を眺めながら茶をたしなむことも可能だ

 さらにルームサービスでは、果実やハーブを漬け込んだオリジナル薬酒3種セットがサービスされる。また、夕食後に小腹を満たしてくれる夜⾷には、⼤原の旬野菜をつかった⾹の物がついた“季節の深夜⾷”も用意される。

 古くからの療養の地で、趣向を凝らしたサウナと清らかな比叡山の地下水で“ととのい”、体が求める養生茶や食を味わう。日々の生活から離れ、心身を生まれ変わらせる時間を過ごせそうだ。

●施設概要
・施設名:moksa
・客室数:31室
・宿泊料⾦/2名1室利用時(消費税込):3万5000円〜(1名・1泊2食・サービス料込)
・チェックイン/チェックアウト:14時/11時
・付帯施設:レストラン、バー、宿泊ゲストラウンジ、プライベートサウナ、露天風呂、ランドリー