2022年3月に日本に上陸したDSオートモビルのフラッグシップサルーンが「DS9」です。ミディアムクラスのいわゆるEセグメントに属するモデルですが、ドイツ車や日本車にはないフランス流の魅力にあふれたセダンです。実際乗ってみてどうだったのでしょうか。

見た目もその搭載技術も「フレンチラグジュアリー」を体現

 シトロエンから派生した高級ブランドの「DS」は、芸術の国フランスらしい遊び心を持った内外装のデザインで、乗る人を飽きさせないところが魅力です。

見た目のデザインだけでなく機能にも最新技術を取り入れた革新的な面も持っています。

 2022年春に登場した「DS9」にはPHEVもありますが、今回試乗したのは1.6リッター直列4気筒ターボチャージャー付きガソリンエンジン車の「DS9オペラ」です。

 流麗なクーペスタイルの4ドアセダンですが、同じミディアムクラスのラグジュアリーサルーンであるメルセデス・ベンツ「Eクラス」、BMW「5シリーズ」、アウディ「A6」というドイツグループとはまた違った色気を感じさせてくれます。

 キーを持ってクルマに近づくとロックが解除され、ポップアップ式アウタードアハンドルが飛び出してきます。軽く引くとドアが開くので女性にも優しい感じでした。

 乗り込んでドアを閉めたときのドアの閉まる音がバスッという重厚感がある音で、DS9が高級車だということを教えてくれます。

 いろいろな仕掛けがありますが、まずはエンジンスタートのときから始まります。

 ダッシュボード中央のモニター画面の上部にある「エンジン・スタート・ストップ」と書いてある四角いスイッチを押します。エンジンが掛かると同時に、そのスイッチの上にB.R.M.のアナログ時計が縦回転しながら登場します。

 センターコンソールの電子シフトのATセレクター周辺にあるパワーウインドウスイッチ、ドライブモードの切り替えスイッチ、インストルメントパネルの表示など、目に見えるところは角のある四角をテーマにデザインされているので、DSに乗っていることをずっと意識させられます。

 DS9オペラにはナッパレザーを使ったシートが採用されています。座面とバックレストのデザインは腕時計のバンドをイメージしたもので、見た目は亀の甲羅のようにも見えてきます。細かい革のパーツを組み合わせてつくったように見えますが、実はバックレスト、クッション部はそれぞれ1枚革でできているそうです。

 もちろん座り心地は抜群にいいです。昔からシトロエンのシートは評判が良く、筆者も好みのシートです。

 シートクッションの硬さの具合、形状、シートフレームのしっかり感などさらに磨きがかかって、長距離ドライブでも疲れず、ドライバーをしっかり支えてくれるのでワインディングロードでも快適です。

乗り心地がいい上にハンドリングもいい

 ミディアムクラスのラグジュアリーサルーンといっても、DS9のハンドリング性能はスポーツサルーンの領域に入ります。

「DS9」の走り

 ワインディングロードではコーナリングが楽しくなります。

 直線からカーブに入るときにブレーキをゆるめながらハンドルを優しく切っていくと、ノーズは躊躇なくインに切れ込んでいきます。

 FWD(前輪駆動)ですが、フロントの重さを感じることなくコーナリングしていきます。タイヤが路面をつかむ感触が意外とダイレクトでよいです。コーナー出口が見えたところでアクセルペダルを踏み込んでいくと、最大トルク300Nmを発揮するターボエンジンがぐいぐい加速していき、ここでも気持ちのいいドライビングを楽しめます。

 ハンドルのニュートラル付近は遊びが感じられないほど締まっています。小さな舵角でもきちんと反応してくれるフランス車の味です。それを感じながらハンドルを持っていると、素晴らしい直進性によって高速道路も快適に走れます。

 ワインディングでも高速道路でもパーキングスピードでも操舵力は軽めです。軽いのにダイレクト感があり操作しやすいという高度な味つけがされています。

 市街地走行時には車両感覚をつかみやすいので助かります。ボンネットのうねりによって左右の車幅感覚がつかみやすく、ボンネットセンターにはクロームのリブが前に向かって1本通っているので、これも左タイヤがどこを走っているかの目印になり、市街地でも高速道路でも走りやすいです。

 試乗車にはナイトビジョンが装備されていました。見にくい夜間に効果を発揮しますが、歩行者検知は黄色で示してくれる最新鋭の安全装置です。

 加速のよさには車両重量が1640kgしかない軽量ボディも貢献しています。トルクの立ち上がりで小さなターボラグを感じますが、トルク不足とは感じません。これは軽いボディのおかげでもあります。

 もちろんこれは燃費にもプラスになっています。WLTCモード燃費は14.4km/Lで燃料タンクは60リッター。計算上はガソリン満タンで864km走れることになるので、長距離ドライブも得意とするところです。

 乗り心地は、上下のストローク感がたっぷりしていてソフトなようにも感じますが、コーナリングはロールが小さく安定感があります。乗り心地がよくてハンドリングもいいというお手本になるクルマです。

 トランクは奥が深いのでたくさん入りそうですが、敷居は高めで開口部はさほど広くはありません。ただしこれがボディ剛性のアップには効いていそうです。

 DS9は乗っているといろいろなところに仕掛けがあって面白いので、思わず友人を誘って自慢したくなるクルマです。

「DS9」のインテリア

DS9 OPERA PureTech
DS9 オペラ ピュアテック

・車両価格(消費税込):699万円
・全長:4940mm
・全幅:1855mm
・全高:1490mm
・ホイールベース:2895mm
・エンジン形式:直列4気筒ターボ
・排気量:1598cc
・駆動方式:FWD
・変速機:8速AT
・最高出力:225ps/5500rpm
・エンジン最大トルク:300Nm/1900rpm
・車両重量:1610kg
・タイヤサイズ:235/45R19
・WLTCモード燃費:14.4km/L