マツダ渾身のニューモデル「CX-60」。日本仕様の正式受注が2022年6月24日にスタートするのを前に、その詳細が明らかになりました。今回はその魅力を「CX-5」との比較で検証。そこで浮き彫りとなったのは、CX-60の恐ろしいほどのハイバリューでした。

DセグメントSUVのライバルと肩を並べたボディサイズ

「CX-60」はマツダ渾身のニューモデル。既存車種のフルモデルチェンジではなく、新たにラインナップへ追加されるニューカマーだ。

 CX-60は2列シートモデルでありながら、全長4740mmとボディサイズが大きい。これまでのマツダ車には存在しなかったポジショニングだ。それだけに、クルマの全容をなかなかつかめない、という人も多いのではないだろうか。

 そこで今回は、これまで日本市場向けとして2列シートSUVのフラッグシップを担ってきた「CX-5」などとの比較を通じて、CX-60の素性を解き明かしていきたいと思う。

 まずボディサイズから見ていこう。全長4740mm、全幅1890mmと、CX-60はCX-5に対して165mm長く、45mmワイド。端的にいえば、ひと回り大きい。しかし全長に関しては、トヨタの「ハリアー」と同じといえば、思ったほど大きくはないと感じる人も多いのでは?

 参考までに、マツダのフラッグシップセダンである「マツダ6」の全長は4865mmだし、そのステーションワゴンは4805mmだから、CX-60はそれらより全長が短いことになる。ただCX-60はワイドなので、駐車場に停める際などには注意をする必要がありそうだ。

 CX-60のサイズ設定が意味するところは、国際的な“Dセグメント”SUVに照らしあわせてみるとよくわかる。代表的な車種であるハリアーをはじめ、トヨタ「RAV4」、ボルボ「XC60」、メルセデス・ベンツ「GLC」、BMW「X3」、そしてアウディ「Q5」などと比べてみると、CX-5はそれらよりひとまわり小さい。一方、新しいCX-60は、ライバルと並ぶサイズとなったわけだ。

 厳密にいうと、CX-60はライバルに比べてわずかに大きいが、その差はライバルたちがフルモデルチェンジした際にサイズアップするのを見込んでのことだろう。

●大排気量の直6&後輪駆動を採用した理由

 そして、CX-60とCX-5を比べた際、ボディサイズ以上に大きく異なる点がメカニズムだ。4気筒エンジンを横置きにレイアウトする前輪駆動ベースのCX-5に対して、CX-60は直列6気筒エンジン(4気筒の設定もある)を縦置きに搭載する後輪駆動ベースとなっている。

 そもそも、昨今はエンジンの大きさや排気量を小型化するのが一般的。コンパクトカーの世界では、4気筒どころか3気筒も一般的な状況になりつつある。そんななか、マツダは新規プラットフォームの開発に際して、あえて直列6気筒エンジンの搭載を前提としてきたのだから驚かされる。

 この点について、開発陣は次のように説明する。

「直列6気筒エンジンを採用した最大の理由は、力強さと環境性能を両立するためです。パワーと環境性能を両立させるには、実は排気量を大きくした方がいいのです。同じトルクを発生させるのであれば、一般的に、排気量が大きい方がエンジン回転数を下げられるからです。

 そのため今回、シリンダーを増やした6気筒エンジンを搭載したのですが、V型ではなく直列を選択したのは、これまでの4気筒エンジンで培ってきたノウハウを生かすためです。さらに、そんな直列6気筒エンジンを収めるため、横置きではなく縦置きレイアウトを採用しました。

 その結果、駆動方式は後輪駆動ベースとなったのですが、後輪で大地を蹴るドライブフィールと、サスペンション設計の自由度が高まったことによるドライバビリティの向上もあって、走る楽しさもアップしています」

CX-60の3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジン

 加えて新プラットフォームは、エンジンルームでストレートにフレームを通せることによる衝突安全性の向上や、伸びやかなプロポーションによるデザイン性のアップといったメリットもCX-60にもたらした。さらに“後輪駆動”という記号性も、前輪駆動ベースのライバルに対し、特別感を与える要素となるだろう。マツダにとってスポーツカー以外では21年ぶりという後輪駆動レイアウトへの転換が、どのような成果を挙げるか興味深い。

CX-5よりも格上げされた上級グレードのパワートレイン

 CX-60に用意されるパワートレインは全部で4種類。3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボと、そのマイルドハイブリッド仕様、2.5リッターの直列4気筒自然吸気ガソリンエンジンと、そのプラグインハイブリッド仕様が用意される。

XDハイブリッド プレミアムスポーツのリアスタイル

 2.5リッター4気筒ガソリンエンジンをベースとするマイルドハイブリッド仕様はマツダ初にとって初のプラグインハイブリッドで、この点もCX-5との大きな違いとなる。

 2.5リッター4気筒エンジン+大型モーターが発生するシステム最高出力は323ps(欧州仕様)。これはマツダ車史上最強の数値で、停止状態から100km/hまでの加速はわずか5.8秒(欧州仕様)という俊足を発揮する。単に燃費がいいとか、燃料消費を節約できるというだけでなく、走る歓びを味わわせてくれるプラグインハイブリッドといえるだろう。ちなみにこちらの詳細は、追ってアナウンスされる予定となっている。

 一方ディーゼルエンジンは、先述したようにCX-5のそれよりも大排気量化とマルチシリンダー化が図られた。CX-5では2.2リッターの4気筒だったのに対し、CX-60のそれは3.3リッターの6気筒となっている。

 それにともない、マイルドハイブリッド用モーターのつかないピュアディーゼル車どうしの比較では、最高出力はCX-5の200psから231psへ、最大トルクは450Nmから500Nmへとアップした(マイルドハイブリッド仕様は254ps/550Nmとエンジン自体がさらに強化されている)。

 とはいえ、排気量が1.5倍になった割に、パワー、トルクともにそれほど上がっていないと感じる人も多いだろう。実はここが、新しい直列6気筒エンジンのポイントなのだ。排気量アップで生じる余裕を最高出力化ではなく高効率化へと振ることで、燃費アップ(=環境性能の向上)を実現しているのである。

 結果、ピュアディーゼル車は、WLTCモード燃費で最高19.8km/Lと目を疑うような数値をマーク。これは、CX-5ディーゼルの17.4km/L(前輪駆動/AT仕様)をはるかに凌駕する数値であり、マツダは発想の転換でこれまでの常識を覆すことに成功したようだ。

●欧州プレミアム勢をも凌駕する凝ったインテリア

 もうひとつ、CX-60を知るためのキーワードとなりそうなのが“高価格帯への挑戦”だ。CX-60には500万円オーバー、最高で626万4500円という高価格帯グレードも用意されている。

 これは、CX-5や従来のマツダ車では考えにくかったチャレンジといえる。しかし、都内のとあるディーラーで受注状況をたずねてみたところ、「現時点でオーダーを受けている3分の2は、500万円以上の上級グレードです」との答えが。スタートダッシュは大成功のようである。

 ちなみに、この上級グレードはプラグインハイブリッド、もしくはディーゼル・マイルドハイブリッドを搭載する仕様だが、それらは欧州のプレミアムブランドのモデルを凌駕するほど、凝った仕立てのインテリアを採用している。こうしたプレミアム領域へのチャレンジも、CX-60の大きなトピックといえるだろう。

XDハイブリッド プレミアムスポーツのコックピット

 ただ勘違いすべきでないのは、単に高価格化=高級化ではないということ。たとえば、CX-5比でエントリー価格が大幅にアップしているかといえば、決してそんなことはない。

 特別仕様車を除く通常グレードで比較した場合、CX-5のボトムグレードである「20Sプロアクティブ」が290万9500円(消費税込、以下同)である一方、4気筒ガソリンエンジンを搭載するCX-60の「25S Sパッケージ」は299万2000円。わずかな価格アップに抑えているのだ。

 しかも、CX-5のエンジンは2リッターなのに対し、CX-60のそれは2.5リッターと排気量がアップしている。つまり内容を考えると、CX-60の方がCX-5よりもリーズナブルといえるのだ、CX-60のバリューの高さは、まさに恐るべきレベルにある。

●Mazda CX-60 XD-HYBRID Premium Modern
マツダ CX-60 XDハイブリッド プレミアムモダン
・車両価格(消費税込):552万7500円
・全長:4740mm
・全幅:1890mm
・全高:1685mm
・ホイールベース:2870mm
・車両重量:1940kg
・エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ+モーター
・排気量:3283cc
・駆動方式:4WD
・エンジン最高出力:254ps/3750rpm
・エンジン最大トルク:550Nm/1500〜2400rpm
・モーター最高出力:16.3ps/900rpm
・モーター最大トルク:153Nm/200rpm
・燃料消費率(WLTC):21.0km/L
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)235/50R20、(後)235/50R20

●Mazda CX-60 XD-HYBRID Premium Sports
マツダ CX-60 XDハイブリッド プレミアムスポーツ
・車両価格(消費税込):554万9500円
・全長:4740mm
・全幅:1890mm
・全高:1685mm
・ホイールベース:2870mm
・車両重量:1940kg
・エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ+モーター
・排気量:3283cc
・駆動方式:4WD
・エンジン最高出力:254ps/3750rpm
・エンジン最大トルク:550Nm/1500〜2400rpm
・モーター最高出力:16.3ps/900rpm
・モーター最大トルク:153Nm/200rpm
・燃料消費率(WLTC):21.0km/L
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)235/50R20、(後)235/50R20

●Mazda CX-60 XD L Package
マツダ CX-60 XD Lパッケージ
・車両価格(消費税込):430万6500円
・全長:4740mm
・全幅:1890mm
・全高:1685mm
・ホイールベース:2870mm
・車両重量:1890kg
・エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ
・排気量:3283cc
・駆動方式:4WD
・最高出力:231ps/4000〜4200rpm
・最大トルク:500Nm/1500〜3000rpm
・燃料消費率(WLTC):18.3km/L
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)235/50R20、(後)235/50R20

●Mazda CX-60 25S S Package
マツダ CX-60 25S Sパッケージ
・車両価格(消費税込):299万2000円
・全長:4740mm
・全幅:1890mm
・全高:1685mm
・ホイールベース:2870mm
・車両重量:1680kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHC
・排気量:2488cc
・駆動方式:RWD
・最高出力:188ps/6000rpm
・最大トルク:250Nm/3000rpm
・燃料消費率(WLTC):14.2km/L
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)235/60R18、(後)235/60R18