1充電での航続距離がネックとなっていた電気自動車(EV)ですが、高効率のEV、メルセデス・ベンツ「ヴィジョンEQXX」が100kWhのバッテリーで1202kmを走行するという記録を打ち立てました。

メルセデスのEV史上もっとも優れたエネルギー効率を実現

 独メルセデス・ベンツは2022年6月23日、実走可能な次世代型バッテリーEVコンセプトカー「ビジョンEQXX(VISION EQXX)」が、ドイツ・シュツットガルトから英国シルバーストーンサーキットまで、1充電で1202kmという距離を走行したと発表しました。

 ヴィジョンEQXXは、2022年1月3日に世界初公開された、メルセデス・ベンツのEV(電気自動車)「EQシリーズ」に登場した新しいコンセプトモデルで、4ドアクーペスタイルのボディタイプです。

 全長4977mm×全幅1870mm×全高1350mm、ホイールベースは2800mmと発表されており、フラッグシップEV「EQS」とミドルサイズEV「EQE」の中間のボディサイズとなっています。

 その最大の特徴は高効率化です。100km走行あたり10kWh以下という、メルセデス・ベンツのEV史上もっとも優れたエネルギー効率を実現しているといいます。また自社で設計/製造した画期的な新システムで、バッテリーからホイールまでの効率は95%を実現しています。

 ビジョンEQXXのバッテリーはおよそ100kWhのエネルギー容量を持ちながら、EQSに搭載したバッテリーパックよりも体積が50%小さく、さらに30%軽量化されているといいます。

 またCd値(空気抵抗係数)0.17という驚異的なエアロダイナミクスも実現。さらにボディだけでなく、空力特性を最適化した超低転がり抵抗のタイヤと軽量マグネシウムホイールを搭載することで航続距離を最大化しています。また、ブレーキシステムもアルミ合金製の軽量ブレーキディスクを採用し、軽量化に貢献しています。

 2022年4月には、シュツットガルトからスイスアルプス、北イタリアを経て、南フランス・コートダジュールのカシスに到着するまで1008kmの一般道を走行。ドイツのアウトバーンでは最高140km/h、その他の場所では制限速度に近い速度で高速巡航をつづけるなど、通常の道路走行でおこなわれたといいます。

 その結果、到着時のバッテリーの充電状態は残り約15%で、残りの走行可能距離は140km、平均消費電力は8.7kWh/100kmという記録的な結果を残しました。気温は摂氏3℃から18℃だったといいます。

 今回のチャレンジでは、アルプス山脈のような過酷なエネルギー使用が要求されるわけではありませんでしたが、最高30℃という気温と、シュツットガルトおよびイギリス南東部の交通渋滞が最大の問題だったといいます。それでもヴィジョンEQXXは、その革新的な熱管理システムのおかげで、最後まで走り切ることができました。

 気温が高く、交通量の多いルートの走行でも100kmあたりの平均電費8.3kWhを記録しました。走行時間は14時間30分で、平均速度は83km/h、最高速度は140km/hでした。

 そして最後、シルバーストーンサーキットでは、最初に充電をした後、メルセデスEQフォーミュラEのドライバーを務めるニック・デ・フリース選手がヴィジョンEQXXに乗り込み、サーキットで11周のテスト走行を実施しました。

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 2022年6月23日から開催されているグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでは、過去・現在・未来のメルセデスのアイコンとともにヴィジョンEQXXは登場します。そしてヒルクライムに挑戦する予定です。