いまは9割以上のクルマがオートマ(AT)で、マニュアル(MT)車はほとんど見ません。運転免許を取得する約7割もAT限定免許といいますが、いま新車で楽しいMT車が続々と登場しています。その理由はなんなのでしょうか。AT車にはないMT車の楽しさとはなんでしょうか。

新型車でも続々とMTが選べるクルマが増えている

アメリカのクルマはAT(オートマチックトランスミッション)ばかりでMT(マニュアルトランスミッション)車に乗る人はいないと思っていましたが、最近では意外にもMT愛好家が増えているとのことです。

 MT車に乗っているだけで運転がうまい人という評価をされるという話も聞きます。

 日本でもクラシックカーを愛する多くの人たちは、MTをうまく操って乗っています。

 世の流れは電動化一筋でMTとかクラッチペダルは死語になるのかと思っていたところ、最近の新型車でもMTが増えてきました。

 トヨタ「スープラ」や「GR86」、「GRカローラ」、SUBARU「BRZ」、さらに日産新型「フェアレディZ」にもMTが用意されます。

 長い歴史を持つクルマたちにもMT車は生き残っています。30年の歴史を持つマツダ「ロードスター」はその代表でしょう。スズキ「スイフトスポーツ」、「アルトワークス」、さらに「ジムニー」もあります。また誕生から20周年を迎えたダイハツ「コペン」もMTで走れます。

 右足でアクセルペダル、左足でクラッチペダル、両手でハンドルを操作するMT車は、改めて運転すると楽しいのです。原点に戻ってクルマを動かしている感触が伝わってきて、単なる移動が楽しいドライブに変化します。

 1991年11月からAT免許が創設されました。つまり1973年以前に生まれ、18歳になってすぐに運転免許をとったおおむね50歳過ぎの人は、いわゆるMT車も乗れる運転免許を持っていると思います。

 これまで子育てのためにミニバンやSUVに乗っていた人も、心機一転MT車に乗って見ませんか?奥さんと一緒にスポーツカーライフも楽しいと思います。

 そういうと皆さん「長年MT車に乗ってないから、運転できるかなあ」と心配されます。でも昔はMT車に乗っていたのですから、すぐに思い出せます。

 心配するのは大きくふたつでしょう。

「アクセルの踏み具合とクラッチミートがうまくいかなくてエンスト(これも死後になりそうだった)するのではないか」とか、「坂道発進のときにずるずると後退して後ろのクルマにぶつけてしまうのではないか」
だと思います。

 最初の心配は、最近のエンジンは低速トルクが太いので基本的に発進が楽になっているので昔とは大違いです。意外と発進は楽にできます。

 もうひとつ、もしエンストしてもアイドリングストップ機能が付いているクルマなら、クラッチペダルを踏み込めば自動的に再始動してくれるので心配は無用です。

マニュアル車をスムーズに運転するコツとは

 MT車をスムーズに発進させるコツがあるので、それを頭に入れてトライしてください。

 クラッチペダルを戻してくると、エンジンとトランスミッションが少し繋がる半クラッチの場所があります。

 この半クラッチになる前の4分の1クラッチ(ほんの少しだけ繋がる感じ)のところでクラッチペダルを止め、そこでアクセルペダルをゆっくり踏み込みながらクラッチペダルを戻してくるとスムーズに発進できます。

 慣れてきたら4分の1クラッチの場所までスパッと戻せば、発進も素早くできます。

 アクセルペダルを少し踏み込んでからクラッチペダルを戻していくという運転は、昭和のドライビングです。

 登り坂での問題の解決は、令和のいまはクルマがしてくれます。

 最近のクルマには「ヒルスタートアシスト」が装備されていて、ギアを入れてブレーキペダルを戻してから2秒間は4輪のブレーキが効いています。この2秒の間に、ブレーキペダルからアクセルペダルに足を乗せ替え、クラッチを繋げばいいのです。つまり坂道でも1cmもバックしないで発進できるのです。

 そこまで解決してもまだ心配する人がいます。「渋滞にはまるとクラッチペダルを踏む左足がつってしまうのではないか」と。

 今のクラッチペダルは軽いので、足がつることはないと思います。

 もしつるようであればドライビングポジションが遠いせいかもしれません。クラッチペダルの4分の1とか半クラッチまでは踵をフロアに付けて足首の動きで調節すればいいのです。半クラッチだけでAT車のクリープのように進めることもできます。

※ ※ ※

 MT車の楽しさは、運転する実感です。

 AT車のような「乗せられている感」がないのです。自動車ジャーナリストのインプレッションの中に「ダイレクト感がある」という表現がよくありますが、まさにMT車はこのダイレクト感の連続なのです。

 エンジン回転数のトルクの太い領域をうまく使って走ると気持ちがいいし、低いギアで高回転まで回してエンジンサウンドを楽しむこともできます。

 もうひとつ、シフトダウンのときに自動的にエンジン回転を合わせてくれるというお助けモードが付いたクルマも増えてきました。
 
 そして何よりペダルの踏み間違いでクルマが暴走するのも、AT車がほとんどでMT車の暴走はあまり聞きません。
 
 ドライビングはスポーツ!というのを実感できるMT車は、シニアの人にもおすすめします。