2022年7月21日、ホンダは同年秋に発売予定の新型「シビックタイプR」を公開しました。世界的なスポーツカー人気の高まりを受け、スマッシュヒットを記録しそうな新型はどのような進化を遂げているのでしょう?

世界市場で高い評価を得ている第2世代タイプR

 ついに初公開されたホンダ新型「シビックタイプR」。現時点ではまだ、エンジンなどのスペックは明らかにされていませんが、今後、詳細の発表が楽しみな1台です。

 1992年の「NSX R」に端を発するホンダのタイプRは、レーシングカーが持つ速さと圧倒的なドライビングプレジャーの両立をねらった、ホンダのなかでも特別なモデルとして位置づけられてきました。

 そうしたタイプRのコンセプトが変化したのは、先代のシビックタイプRから。世界トップレベルの速さを手に入れつつも、日常でも快適に使える新時代のタイプRへと変化を遂げたのです。

 そんな第2世代のタイプRは、グローバルマーケットで好評を博します。たとえば先代のシビックタイプRは、全世界で4万7200台というセールスを記録。これは歴代のタイプRのなかで、もっとも多い販売台数となりました。

 なかでも北米市場は、日本市場の約3倍もの台数をマーク。先代の後期モデルは、工場閉鎖などの事情があったものの、限定モデルではないにもかかわらず発表と同時に売り切れたのは記憶に新しいところです。

●タイプRとしての機能美と質感にこだわった

 最新のタイプRである新型シビックタイプRを見ての第一印象は「スマートになったな」というもの。ベースモデルである「シビック」のフルモデルチェンジがそうであったように、タイプRもまた、先代モデルの“ガンダムチック”なスタイルから、新型ではシンプルなフォルムへと進化を遂げています。

 そうした印象を受けるのは、付加的なパーツが減ったことが大きいかもしれません。先代モデルのボディパネルはフロントフェンダーだけが専用品でしたが、新型はフロントフェンダーに加え、リアドアやリアフェンダーも専用品を採用。これにより、先代モデルでは別体パーツがあしらわれていたリアのオーバーフェンダーが廃止され、フェンダーそのものがワイドにふくらんでいます。またリアウイングも、堂々としたサイズ、かつ複雑な形状だった先代モデルのそれに比べ、かなりスマートになりました。

 もちろんタイプRだけに、機能性の追求にも抜かりはありません。冷却効率を高めるフロントのグリル開口部、ホイールハウス内の圧力を軽減して空気をスムーズにサイドへと流すフロントフェンダーダクト、リアタイヤ前の空気の流れを整えるサイドシルスポイラー、高いスタビリティを実現するディフューザーなどを装着。とはいえ、それらが悪目立ちしないのは、タイプRとしての機能美と質感にこだわった“デザインの力”といえるでしょう。

 ちなみに、標準モデルのシビックと共通のボディパネルは、フロントドア、ルーフ、ピラーのみ。ベースモデルとここまでつくりわけられたのは、シビックタイプRの歴史上、初めてのことです。

●新型は歴代タイプRで一番のヒットモデルになる!?

 性能に関する詳細が明らかになるまでにはもう少し時間が必要とのことですが、エンジンは2リッターの4気筒ターボを継承し、一部でウワサされていたモーターの追加などはないようです。

 エンジンに関して、プレスリリースには「より高出力・高レスポンスとなるように極限まで追求した」と記されていますが、具体的にはターボチャージャーの効率とレスポンスが高められているようです。

 また、エンジンの性能アップによるものなのか、それともギア比の見直しやエアロダイナミクスの向上によるものなのかは不明ですが「最高速度も向上している」とのこと。これにより、ニュルブルクリンクでのタイムアタック時などには、長いストレートでタイムを削り取ることができそうです。

 一方、新型シビックタイプRは、旋回時の限界能力といったコーナリング性能やブレーキング時のフィールなど、フットワークに関してもあらゆる部分の性能が磨き上げられたといいます。

 なかでもサスペンションには、先代モデルと同様、電子制御式のショックアブソーバーを採用。かつてのタイプRは、快適性を捨ててストイックに速さを求めた硬い足が定番でしたが、第2世代となる最新モデルは、スイッチひとつでコンフォートな乗り心地を得ることができるのです。

 深紅のホンダエンブレムの採用や、往年のF1マシンを想起させるボディカラー“チャンピオンシップホワイト”の設定など、ホンダのラインナップでも特別な仕立てとなるタイプRですが、新型シビックタイプRのインテリアには、オーナーの心をくすぐる“あの演出”が盛り込まれています。真っ赤なフロアカーペットの復活です。

 赤いフロアカーペットは、かつてのタイプRの象徴でした。気づけばいつの間にか、その“お約束”は失われていましたが、新型シビックタイプRで見事に復活。先代モデルのそれに比べて、より鮮烈な赤となったフロントシート表皮も相まって、ドライバーの気持ちを高揚させ、普通のクルマとは違うことを直感的にアピールしてきます。

 そのほかインテリアには、アルミセンターコンソールパネル、偏光ガンメタリックアウトレット、シリアルナンバープレート、「+Rモード」専用グラフィックを盛り込んだ専用メーターパネルがあしらわれ、所有欲をかき立てます。

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 スポーツカーならではの熱さと、イマドキの高性能モデルらしいクールさを兼ね備えた新型シビックタイプRは、世界的なスポーツカー人気の高まりを受け、おそらく先代モデルを超えるヒットを記録することでしょう。気になる発売は2022年秋の予定です。