7月28日に放送が始まった2017年夏ドラマ「あいの結婚相談所」。山崎育三郎さん演じる「藍野真伍」が所長を務める「あいの結婚相談所」を舞台に展開されるストーリー。相談所アシスタントの「シスター・エリザベス」を高梨臨さんが演じる、今後の展開が非常に楽しみなドラマのひとつです。

舞台となる「あいの結婚相談所」のように、異性との出会いや結婚相手を探すためのサービスは、世の中に色々とあります。いわゆる出会い系サイトや街コン、一昔前のテレクラなども、広い意味では同種のサービスカテゴリと言えるでしょう。

今回は、そんな「異性との出会い」に関するサービスについての疑問を弁護士の先生にぶつけてみました。今回お答え頂いたのは、アディーレ法律事務所の正木裕美先生です。

--記者
まず、結婚相談所、結婚相談ビジネスとは、法律的にみるとどのような立ち位置・見解になるのでしょうか?異性の出会いを斡旋するようなビジネス自体は特に法律違反にはならないのでしょうか?

--正木先生
結婚相談所・結婚相手紹介サービス自体は違法なものではありません。契約が2か月を超え、かつ5万円を超える入会金や会費などを払った場合、「特定商取引に関する法律」41条1項に定める「特定継続的役務提供」にあたります。この場合、業者は一定の書面の交付が義務づけられる、クーリングオフの対象になる、中途解約金に法律上の上限が設けられるなど、様々な規制があります。

しかし、法律を守ってされるものであればビジネス自体は違法とはいえませんが、業者の中には、執拗な勧誘をする、虚偽の情報を伝える、事前の説明のないお金を請求するなどの悪質な業者や違法行為をおこなう業者がいるのも事実で、国民生活センターなどにも多数の苦情が寄せられ、公表されています。

大切な婚活で時間やお金の無駄は避けたいでしょうから、まずは、業者の説明を鵜呑みにせず、業者に関する情報を自分で集め、法律上問題のない業者なのか、法律上問題がないとしても自分の婚活に求める条件や方法を提供してくれる業者なのかなど、契約をする前にしっかりと見極めることがトラブル防止のためには大切ですね。怪しい・評判の悪い業者、問題、苦情や相談の多い業者は利用しないようにしましょう。

--記者
結婚相談所、出会い系サイト、街コンなど、異性の出会い・カップリングを目的としたサービスはいくつもあります。一昔前のテレクラなどもそれに当たるかと思います。なんとなく、出会い系サイトやテレクラは違法性が強い印象があるのですが、これらのサービスの内容や金額などによって法的に明確な差別化はされていないのでしょうか?

--正木先生
イメージ的にも違いがあると思いますが、出会いを目的とするサービスでも、サービスや業務内容、業務形態などにより、関わってくる法律が変わるという意味で法的にも差はあります。

たとえば、出会い系サイトについては、

・児童保護を目的とした出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)
・通信販売業者あたるので特定商取引法
・ウソや大げさな消費者を騙す広告を規制する景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)

などが関わってきます。

テレクラは、法的には性的なサービスを提供する性風俗関連特殊営業とされ、風営法の対象ですし、青少年保護育成条例やテレクラ規制条例の対象になったりもします。有料の街コンは、運営者が旅行業者でないのに、有料で貸し切りバスでの移動や宿泊の手配などを自分達ですると旅行業法違反になります。業者・運営者は、様々な法令、規制を熟知する必要がありますね。

--記者
未成年の場合は当然NGでしょうが、例えば既婚者との出会いを斡旋するようなサービスの場合は、何か法的に引っかかる部分はありますか?趣味サークルのようなサービスと同等の扱いになるのでしょうか?

--正木先生
以前、「アシュレイ・マディソン」という不倫専門のサイトで、ハッキングによる大量の情報漏洩も報じられたことがありました。離婚は考えていないけれど、割り切った関係や配偶者では埋められない恋愛関係を求めるなど、様々な理由からあえて不倫サイトを利用する方もいるようです。

まず、不倫に対する刑罰はありません。しかし、結婚相手以外の異性と性的関係を持つ不倫は、法的には不貞行為と呼ばれ、不倫相手と不倫をした側の配偶者は、不倫をされた配偶者に対して損害賠償義務を負う民事的な違法行為になります。そのため、不倫専門サイトだと銘打ったサイトの場合、違法な不貞行為をそそのかした・不貞行為をしやすくしたということで、不倫をした当事者の共同不法行為者として、損害賠償責任を負う可能性が考えられます。

--記者
最後に、結婚相談所・出会い系サイトに関する相談や裁判など、実際に過去に起こった事例や判決について、具体的な例をいくつか教えて頂けますでしょうか?

--正木先生
そうですね、多額の料金請求・不当請求などの相談も多いですが、出会い目的のサービス・ビジネスでよく問題になるのがサクラです。詐欺罪で逮捕されることもありますし、民事の裁判例では、サクラの存在を認め、原告の支払ったサイト利用料約600万円の損害賠償請求を認めた事案、インターネット上で有料メール交換サイトを営む会社がサクラを使ってメールを送信し、利用者をサイトに誘い込み、サイト利用代金名下に多額の金員を詐取したとして、2000万円の損害賠償請求が認められた事案などもあります。

婚活、恋活なんて言われるようになりましたが、現実には簡単ではないので需要の多い分野のビジネスではあると思うのですが、顔や素性の見えない人を相手にするものですし、トラブルが数多く報告されているのも事実で、やはり自己防衛が一番大切だと思います。

怪しいサイト・業者は利用しない、身分確認などがしっかりしているサイトを利用するほか、利用前・利用後問わず、疑問や不安があればすぐに専門家や相談窓口に相談するなど、“犯罪やトラブルを起こさない・巻き込まれない”を常に意識して、健全かつ充実した婚活・恋活ライフを送って欲しいですね。

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というワケで、今回は結婚相談所・出会い系サイトについて、弁護士の正木裕美先生に色々とお話を伺いました。利用者にとっては切実な悩み、真剣な思いで利用される結婚相談所。トラブルの無い婚活をおこなうには、最低限の自己防衛は必須と言えそうです。また、異性との出会いを斡旋するサービスの中でも、その業態やサービス内容によって、関わってくる法律も変わってくるとの事。

これだけ多種多様なサービスが乱立している世の中ですから、自分が利用しようとしているサービスが、どのような法律下のもとで運営されているのか、きちんと理解した上で活用する事は、もはや利用する側の責任なのかもしれません。

・取材協力
正木裕美(まさきひろみ)弁護士(愛知県護士会所属)
弁護士法人アディーレ法律事務所