音楽の街、福岡で生まれた伝説のロックと言えば“めんたいロック”。今回はレジェンド・オブ・めんたいロックの名曲5曲を紹介。今聞いても色褪せないカッコ良さに、かつてのロック少年魂が騒ぎだす。

■そもそも“めんたいロック”ってどんな音楽?
1970年代から80年代にかけて“日本のリバプール”と呼ばれた福岡。街には音楽が溢れ、チューリップ、海援隊、長渕剛など多くのフォーク・ポップミュージシャンが登場した。その一方で、革ジャンや派手な衣装のロックバンドも台頭。キャッチーなメロディーとビートに、特徴のあるエッジの効いた歌詞をのせたサウンドが、当時の若者たちのハートを鷲掴みにした。聴く者の胸に “ピリリ”と突き刺さる福岡発のロックは、いつしか“めんたいロック”と呼ばれるようになった。

■THE MODS(ザ・モッズ)「激しい雨が」

1971年に前身となる、THE MOZZを結成した森山達也(vo、g)率いる4人組バンド。1981年、THE MODSとしてデビューし、今もツアーを行なっているバリバリの現役だ。

バンド名が物語るように、1960年代のブリティッシュビートをベースに、パンクロック的な要素も加えたスピード感とドライブ感が魅力。博多ロックキッズたちの“兄貴分”的な存在で、ライブは革ジャンの男たちであふれ、アンコールでは「森山出てこい」という声が飛び交っていた。(一見こわもてだが、ファンはみんな純粋で優しい人々ばかり!)

4thシングル「激しい雨が」は、カセットテープのテレビCMにも起用された代表曲。激しい雨が、風が、ビートがコロナ禍をぶっ飛ばす!!
「HANDS UP」(アルバム) / 全10曲 / MHCL-30040(2013年4/20再発売) / エピックレコードジャパン
オリジナルは1983年11月発売。マクセルのCMソング「激しい雨が」、TBSドラマ「もう高校はいらない」のエンディングテーマ「バラッドをお前に」ほかを収録した本アルバムは、自身最高の売り上げを記録し、ゴールドディスクを獲得。ホーンセクションやキーボード、女性コーラスなどを起用し、音楽的にも多彩な面を打ち出している。2013年にBlu-spec CD2仕様で再発売。

■SONHOUSE(サンハウス) 「レモンティー」


博多でいち早く金髪に染めたと言われている菊こと柴山俊之(vo)と、ロック界のレジェンド、鮎川誠(g)がツートップのブルースロックバンド。1970年に結成され、1978年に解散後は、バンドとしてのリリースはないが、菊はソロ、鮎川はシーナ&ザ・ロケッツで、どちらも現役ロッカーとして活躍。SONHOUSE名義でのライブも時おり行なっている。

「レモンティー」はシングルのカップリング曲だが、イントロのギターワンストロークだけで熱狂が起きるライブになくてはならない代表曲。「レモン」と「ティー」に込められた暗喩は、当時のティーンエイジャーたちにとって衝撃的だった。「クレイジー・ダイアモンズ」は、1983年に日比谷野音で行われた再結成時のライブを収録したもの。
「クレイジー・ダイアモンズ」(アルバム) / 2枚組全20曲 / VIH-28148 / ビクターエンタテインメント
1983年9月23日、日比谷野音で行われた再結成ライブの模様を収録。「キング・スネーク・ブルース」「レモンティー」などファンお馴染みのナンバーだけでなく、「センテ」や「ステディ・ドライバー・マン」、「ダイナマイト」などの新曲も収録。新たに「ロックンロールの真最中」と「ミルク飲み人形」が追加された新マスタリングの完全盤だ。

■TH eROCKERS(ザ・ロッカーズ)「可愛いアノ娘」
俳優、タレントとして第一線で活躍中の陣内孝則。高校生だった1976年にTH eROCKERSを結成し、1980年にデビュー。当時の陣内は、デビッド・ボウイを意識した派手なメイクにカラフルなスーツのグラムロックスタイルで、マイクスタンドを使った、“陣内ジャンプ”と呼ばれる派手なステージパフォーマンスも人気だった。

片思いの男の気持ちをロックにのせた、当時からの代表曲が「可愛いアノ娘」。ストレートなサウンドと歌詞は、時代を超えて男心をくすぐる普遍的な1曲。1982年に解散したが、再結成、メンバー変更を経て現在も活動中だ。2019年にリリースされたアルバム「Rock'n Roll」には、現メンバーでパフォーマンスした「可愛いアノ娘」のセルフカバーが収録されている。
「Rock'n Roll」(アルバム) / 全12曲 / PCCA-04778 / ポニーキャニオン
「WHO TH eROCKERS」(1980年9月発売)でのデビューから、1982年6月の解散まで、メジャーでの活動期間はわずか2年ほどながら、いまだに多くの音楽ファン、現役ミュージシャン、クリエイターの間で伝説として語り継がれるTH eROCKERS。本アルバムは、2018年から19年にかけ、制作された新生ザ・ロッカーズの最新作。新録オリジナル・アルバムとしては実に38年ぶりの新作だ。

■ザ・ルースターズ「Rosie(ロージー)」
ザ・ルースターズは1979年に北九州で結成され、1980年に「Rosie」でデビュー。R&Bやパンクロックに影響されたスピード感とキレのあるサウンドは、福岡の音楽好きはもちろん、多くのアーティストを魅了した。

「Rosie」の冒頭を聴くだけでも、東京スカパラダイスオーケストラ(ザ・ルースターズのトリビュートアルバムに参加)が影響を受けているのがよくわかる。歌詞の世界は耽美で、デカタンで、エロティック。生と死、歓喜と狂気は表裏一体…初期のボーカル・大江慎也のシャウトには、ただ明るくてポジティブなだけではない、人間の本能を震わせる不思議なエネルギーが感じられる。
彼は彼女(Rosie)が望むものを与えられたのか?
「ザ・ルースターズ ゴールデン☆ベスト」(アルバム) / 2枚組全38曲 / COCP-35449-50 / 日本コロムビア
1980年のデビュー以降、ハイテンションなサウンドを中心にカリスマ的な人気を獲得し、現在も多くのミュージシャンに支持される伝説のロックバンド、ザ・ルースターズ。“ロックのルーツ”とも言うべき彼らの代表曲全38曲を収録。デビューアルバム「THE ROOSTERS」から1988年の「FOUR PIECES」まで、彼らの軌跡をこれ1枚で辿ることができる。

■ARB(エー・アール・ビー)「魂こがして」
北野武監督の「BROTHER」出演などで、今は役者としてのイメージ強い石橋 凌だが、原点はARB(1978年デビュー)のボーカル。石橋の骨太な演技同様、楽曲もメッセージ性が強いロックバンドだ。

デビュー曲は自分の弱さを認め、強くありたいと誓う名曲「野良犬」。彼らの労働者をテーマにした多くの曲は“WORK SONG”と呼ばれ、ライブでは拳を掲げて熱唱された。3rdシングル「魂こがして」はセットリストの最後に置かれることが多かった曲。歌詞に“yeh”の連呼があり、そこで、バンドとファンが一体となり最高潮に盛り上がる。『孤独だって突っ走っていくぜ♪』という超前向きな歌詞にも勇気づけられる。

石橋 凌は故・松田優作とも関係が深く、映画「ア・ホーマンス」で共演。松田優作が初めて監督を手がけた同作のテーマ曲「AFTER’45」も、こんな時だからこそ聴き直したい、心の復興を歌う名バラード。機会があれば、こちらもぜひ聴いてみてほしい。

「BAD NEWS」(アルバム) / 全16曲 / VICL-64744 / ビクターエンタテインメント