新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、日本酒を楽しみながら学べるオンラインセミナー「SAKE(日本酒)x NOMY(学)」第3弾が5月23日(土)、開催された。WEB会議ツール「Zoom」を使って、自宅で日本酒を味わいながら参加できる新感覚のイベントの様子をお届けする。
「SAKE(日本酒)x NOMY(学)」は、中田英寿氏が代表取締役を務めるJAPAN CRAFT SAKE COMPANYが、飲食店の営業自粛やイベント開催自粛で影響を受ける日本酒業界を盛り上げるため開催するオンラインイベント。毎回、有名蔵元をゲストに招き、日本酒や酒蔵の歴史や哲学、酒造りのこだわりなどを聞くことができる。参加者のもとには当日蔵元が紹介する厳選した日本酒が事前に届けられ、人気酒蔵の逸品をテイスティングしながら参加できるのも特長。さらに、ZoomのQ&Aフォームから蔵元に対して直接質問や感想を送ることもできる。
第3回のゲストは、「No.6」や「Colors」などの日本酒で知られる秋田県・新政酒造の佐藤祐輔氏。セミナーはまず、佐藤氏のナビゲートによる新政酒造の酒蔵案内からスタートした。伝統的な酒造りを志し、木桶をはじめ木製品を多く使用する新政酒造の内部や実際に仕込んでいる途中の日本酒の様子などをライブ映像で巡る。

「古い素材、地元の素材、伝統製法の集積が新政酒造の造り方。お酒の味も大事ですが、こうした素材や伝統を続けていくために酒造りをしています」と、脈々と伝わる日本酒の製法へのこだわりを語る佐藤氏自らの解説とともに、オンラインで酒蔵見学が楽しめた。

酒蔵案内の後はセミナーパートに。ワイン、スピリッツ、および日本酒の資格を認定する世界最大の教育機関のWSETSake Educator である鈴木更紗氏がMCとなり、新政酒造の日本酒『No.6 X-type essence』『colors エクリュラベル 別誂中取り』『Private Lab 陽乃鳥(ひのとり) 別誂中取り』をそれぞれ味わいながら、佐藤氏による詳細な香りや味わいの特長の説明に耳を傾ける。学んだ情報を実際に手元の日本酒ですぐに確かめることができるのも同イベントの魅力の1つだ。
また、新政酒造が日本醸造協会で頒布している最古の酵母「六号酵母」発祥の蔵であることから、酵母ごとの味わいの傾向や遺伝的な特徴といった専門的な内容も。新政酒造が現在も使用する「六号酵母」系について佐藤氏は「現在の酵母は六号酵母に個性をプラスしたものなので、六号酵母そのものには相対的に特筆すべき個性はないんです。逆に言えば酵母の特徴が穏やかなので、酒質が過度に酵母に依存することなく、米の質や麹といったその他のパーツの存在感が強くなる」と特徴を教えてくれた。

そして、作り手とともに日本酒3種のテイスティングパートでは、3種の日本酒の味や香りの特長だけでなく、佐藤氏個人の感覚に基づいた有名酒蔵の味の傾向や、製造者ならではのティスティングの方法やコツの実演など、普段はなかなか知ることができない情報も語られた。
佐藤さんはセミナーの最後に、「飲食店や量販店もそうであるように、新型コロナウイルスの影響で酒蔵も大変な状態」と現状に触れながらも、「今年はどこの蔵もいい酒ができているようで、年末までの間にどの酒蔵もいろいろなお酒を少しずつでもリリースすると思います。情勢が落ち着いたら、無理しない範囲でいいので、ぜひこれからも日本酒に目を向けて楽しんでいただければ」と参加者へメッセージを送った。

1時間30分にわたる大ボリュームで酒に対する学びと味わいの両方を楽しめる、日本酒好きなら満足すること間違いなしのオンラインセミナー。5月30日(土)には「仙禽」で知られる栃木県の酒蔵・株式会社せんきんの薄井一樹氏がゲストに迎えた第4弾が開催される。申し込みは5月28日(木) 10:00まで。興味を持った人はぜひ参加してみてほしい。