京都・宇治市が観光PRを目的に制作した、スマートフォン向けの無料ゲームアプリ「宇治市〜宇治茶と源氏物語のまち〜」が往年のゲームファンから注目を集めている。

"モンスターに奪われた宇治市の魅力を、主人公のKEMARIOが取り戻す"という、世界観からしておもしろさを意識している、横スクロールのアクションゲームだ。迫りくる敵を次々と倒していくと、各所に散りばめられた宇治市の観光名所や歴史などを学べるストーリーとなっている。

さらに、最後に登場するボスを倒すためには、実際に宇治市に行かなければクリアできないという新しい要素も話題に。ユーザーがプレイした感想をSNSで探ってみると、「狂気を浴びられる激ヤバゲームだ!」「なんだこの狂ったゲームは…」など、おもしろがるプレイヤーが続出している。

一体、どのような思いでこのスマホゲームは世に出されたのか。このゲームプロジェクトに関わった、宇治市秘書広報課の田中さんにその制作秘話について話を聞いた。

―そもそも、このプロジェクトがスタートした経緯について教えてください。

「きっかけは、2017年3月に公開したプロモーション動画です。宇治市をPRするにあたり、インターネットなどを使って広く多くの方に見てもらうためにインパクトがある内容にしたいと考え、ゲーム風の作品を制作しました。この作品が思いのほか反響が大きかったので、次なる手立てとしてゲームを活用して魅力をもっと発信しようということで、この企画はスタートしました」

―レトロゲーム仕様にしたことや、ツッコミどころをたくさん散りばめたのは、どのような理由があったのですか?

「PR動画の時に、メインターゲットを30〜40代としていました。その世代が子供時代にプレイしていたスーパーファミコンなどの世界をコンセプトにすれば、深く伝わるはずだという意図です。ツッコミどころについては…ゲーム制作を委託した業者の方に宇治市出身者が多くて、宇治市に詳しかったのでそういったギミックをうまく仕掛けられたのだと思いますね」

―行政PR動画という意味ですごく挑戦的だと思うのですが、その部分でご苦労はなかったのですか?

「正直、庁内などで色々な意見を突き合わせて議論した結果、担当課として本当にこのゲーム風のみの世界観で良いのだろうかという葛藤はありました。宇治市ならではのキレイな写真などは使用しないのかと…。ただその不安を振り切り、思い切った表現をしたおかげで予想を超える反響をいただいたので、結果として良かったです」

―リリースされた後、ユーザーの方からどのような声が届きましたか?

「賛否はありますが、おおむね良い反応ですね。否定的な意見についても、ゲームをプレイした上での意見ですので、実際にゲームをしていただいただけでも感謝の気持ちです」

―あれだけキャラクターや世界観が際立っていると、次なる展開が気になるのですが…今後の展開は?

「今は、多くの人にダウンロードしてもらえるようにプロモーションを展開していきたいと思っています。また、本ゲームは宇治市に来ていただくということを重要な要素としています。新型コロナウィルス感染症の状況もありますが、新しい生活様式を参考にしながらご自身の安全を考慮し、ぜひ宇治市に来ていただけたらと思っています」

このアプリはIOS・Android対応、完全無料配信となっている。重厚な歴史や雅な佇まいといった、既存の宇治の魅力とはまた違ったスマホゲームの世界。ぜひ一度プレイしてもらいたい。

取材・文=橋本未来