おまけ付きのお菓子「食玩」を卸値で販売する大阪・松屋町の「食玩王国」。秋葉原や大阪・日本橋のフィギュアショップも仕入れで利用している食玩専門問屋だ。「チョコエッグ」に代表されるフィギュア系やカード系などを常時取りそろえ、新商品の入荷も早い。さらに、個人でも気軽に購入でき、リーズナブルな価格で大人買いできるとマニアの間で話題だ。

今回は、最新情報やイチオシ商品、箱買いの秘密など、「食玩」の魅力に迫ってみた。

■欲しいものが出たときに高揚感と至福感が味わえる「食玩」
まずは、株式会社食玩王国の代表取締役・森本浩司さんに、最近の傾向やコロナ禍の動きなどについて聞いてみた。

――「食玩王国」は、どういったお店ですか?
「食玩(しょくがん)がいくつかセットになった箱を卸価格で手っ取り早く買うことができるお店です。近くのスーパーやコンビニで気軽に買え、福袋やガチャガチャに代表される日本独特の文化『ブラインドボックス』で、何が出るかわからないドキドキ感、ダブったら損してしまう恐怖感。そして、低価格でありながら、欲しいものが出たときに高揚や至福を感じられるのが『食玩』。専門店だからこそ確保できる圧倒的な在庫数や、新商品の情報の早さがウリです」

――食玩とはどのようなものですか?
「『食玩』とは食品玩具の略称で、玩具などを『おまけ』として添付した菓子や食品の総称。チョコエッグがブームになった2000年代初頭から広まった言葉で、それまでは『玩具菓子』や『玩菓(がんか)』などと呼ばれていました。

煙草に付けたタバコカード(シガレットカード)にルーツがあるといわれていて、昭和に入るとアニメキャラクターを使用したシールやフィギュアなどの玩具が付いた菓子が販売され、絶大な人気を博しました」

――最近の傾向を教えてください。
「近年は、菓子と玩具の役割が逆転し、本来おまけであった玩具がメインとなっている商品が大多数です。生産が終了すると入手が困難になるので、なかには人気を見越して、先物取引のように扱われる商品もあります。最近の風潮は、玩具と一緒にSNS用の写真を撮ったり、YouTubeでの開封動画も増えてきました。

客層としては30代以上で、なかには不動産屋の社長やお医者さんなどもいらっしゃいます。本格的な方は1人5〜6万円ぐらい購入される場合も。女性のコレクターも目立ちます」

――コロナ禍の動きはどうですか?
「中国などのアジア圏を中心に、世界的に『食玩』という名前は認知されており、コロナ以前はインバウンドのお客さまも多かったのですが、現在は皆無です。ただ、コロナ禍においては巣ごもり需要で、食玩をネットで箱買いされるお客さまが多くなるなど、おかげ様で順調です」

■売れ筋は人気キャラクターやミニチュア玩具
続いて、森本さんに売れ筋を教えてもらった。

「現在の売れ筋は、『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『ツイステッドワンダーランド』などのキャラクター商品や、『ぷちサンプルシリーズ』と呼ばれるミニチュア食玩。そのほか、お菓子付きカード(トレーディングカード)から進化した『色紙ART』も好評です。低価格で買える宝石『セボンスター』は、段ボール買いするお客さまもいます」とのこと。

そして、「『あの頃、私とサクラクレパス。』8個入り4004円(定価6160円)、『FW GUNDAM CONVERGE ♯Plus01』6個入り4633円(定価5940円)、『呪術廻戦ウエハース』20個入り2059円(定価2640円)、『ポケモン テラリウムコレクション9』6個入り3432円(定価5280円)。この4種類は発売前から多くの予約が入りました」とも。

新作は毎週月曜(コンビニの流通日と同じ)にそろうので、気になる商品がある場合は前もって公式サイトのチェックや、予約をするのがオススメだ。

■社長イチオシの8つはコレだ!
森本さんイチオシの商品を8つ教えてもらい、その特徴などを聞いてみた。

まず1つ目は、黒猫やフクロウ、ロッキングチェアなどで、魔女の家をイメージした「魔女の住む家」。

「食玩メーカー『リーメント』の『ぷちサンプルシリーズ』のひとつ。西欧の古い民家にひっそりと住む魔女の家をイメージし、一度はあこがれる大鍋や魔導書、あやしい光の鉱石などを精巧なミニチュアで再現しています。遊べるギミック(仕掛け)も盛りだくさん。子供から大人まで楽しんでいただける商品です」

2つ目は、「鬼滅の刃」の登場キャラクターのディフォルメフィギュアシリーズ第2弾「鬼滅の刃 ADVERGE MOTIONセット」。

「約55mmのデスクトップフィギュアで、映画効果もありダントツに売れた商品。躍動感のあるアクションポーズ造形と細かな彩色で、キャラクターの魅力を再現しています」

3つ目は「てのりフレンズ2」。手に乗せて収まりのよいサイズ感が好評のシリーズだ。

「オトナかわいいデザインの『フレンズソフビシリーズ』より、大人にも子供にもファンが多い生き物シリーズ第2弾として『てのりフレンズ2』が登場しました。キュートな小型動物が中心のラインナップに注目を」

4つ目は、コンビニでは定番のお弁当からホットスナックまで幅広くラインナップした「いつもそばにはコンビニ」。

「生活に寄りそうコンビニがミニチュアフィギュアになりました。普段、何気なく買っている食品から日用品までのミニチュアが大ヒット中!」

5つ目は、ピカチュウとピチューのセットやカイリューなどをラインナップした「ポケモン テラリウムコレクション9」。

「モンスターボールのクリアカプセルに入ったポケモンたちの情景がかわいらしい!細かなパーツもカプセルに入っているので『掃除も簡単』と大好評のヒットシリーズです」

6つ目は、ペンダントアクセサリー「セボンスター 202012」。ペンダントトップは宝石のようにキラキラで、魅力的なデザインにコレクション性も高い。

「乙女心をくすぐるペンダントアクセサリーです。子供だけでなく、昔を懐かしんで購入する大人のファンも多く、幅広い世代に支持されています。色違いを含めると85種類もあるので全種類そろえるのは過酷かも…」

7つ目は、VSシリーズ13弾「ウイングキットコレクションVS13」。ベトナム戦争ではミグキラーとして知られたF-8クルセイダーなどがそろう。

「1/144スケールモデルの戦闘機のミニチュアコレクション。第2次世界大戦中など当時の戦闘機を集めるシリーズで、約15年も続いて今なお継続されているほど根強く人気があります。飛行機系は、当時の世界観を再現するためには何体も同じ機体が必要なので、ダブりも歓迎できるのが魅力です」

そして8つ目は、クルクル回るクールなナッツがコンセプトの「クーナッツ」。回したり、弾いたり、揺らしたりして、キュートな動きが楽しめる。

「ナッツ型のフォーマットに、セーラームーンなど様々なキャラクターを描いたコレクションアイテムです。コマのように回して遊べるんですよ」

■段ボール買いしてもそろわない!?その秘密は…
2006年2月1日に創業した「食玩王国」。食玩に特化した卸問屋を開業したいきさつや、長年専門に取り扱ってきたからこそわかる、「チョコエッグ」を段ボール買いしてもそろわない理由についても聞いてみた。

――「食玩王国」を開業したきっかけを教えてください。
「実家が松屋町で戦前から続く菓子問屋で、当時兄と一緒に手伝っていて、私は食玩を担当していました。2001年に『チョコエッグ』が段ボール300個分も売れたことがありまして、『これはイケる!』と、2006年に食玩専門問屋として独立しました。

最初は1人のお客さまが『チョコエッグ』をたびたび買いに来ていて、『チョコエッグは段ボール買いしてもそろわない』と言われているので、なかなかフィギュアがそろわないのかなぁと思っていました。次第に段ボールで買うようになって、来るたびに数も増え、結局トータルで段ボール300個分を買われたんです。個人の趣味では多過ぎると思っていると、ほかにも買いに来る人が出てきて、仕入れで購入していることがわかったんです」

――「チョコエッグ」は段ボールで買ってもそろわないのですか!?
「『箱の中身を入れ替えてるやろ!』と言われるお客さまもいますが、1箱10個入りで、これが正直、本当に何が入っているかはわからないんです。中国からフィギュアの入ったカプセルが日本に送られてきて、それを、例えば18種類あるとしたら、各種類同じ数だけ機械に入れられてランダムでチョココーティングされて出てくるんです。それを銀紙で包装してパッケージに入れ、箱に詰める。だからどの箱に何がどれだけ入っているのかわからないのが事実なんです。

ただ、シークレットだけは一定の割合で必ず入っています。なので、場合によっては段ボールごと買っても全種類そろわないことも。でも、そろわないのも醍醐味の一つととらえるツウも多いです」

――改めて、「食玩」の魅力は何だと思いますか?
「低価格でお小遣いの範囲で利用できる。個人で集めるのももちろんですが、家族のコミュニケーションツールとして、家族で一緒にはまるお客さまも多いです。食玩がきっかけで子供の頃の思い出を家族で語り合っているというお話を聞くと、こんな小さな会社でも人の役に立っているかな?と勝手な想像をして幸せな気分になります。

子供が男児のみで、家に雛人形が飾れないというお母さまからのお声があり、2010年にミニチュア化した雛人形を販売したことがあります。全8種類そろえると五段飾りが完成する商品でした。店舗がある大阪・松屋町は、高価な商品を扱う人形問屋さんばっかり。それを羨ましく思っていましたが、逆に安価な価格(当時380円)でミニチュアの雛人形を販売し、お客さまに喜んでもらえたときは、自分の中で『この商売をはじめてよかった!』と思った経験があります。

初めてご来店するお客さまの中には、品ぞろえの豊富さに『夢の世界や!』と感動される方もいて、店舗販売の意義を感じています。とてもありがたいことです」

最後に、森本さんに今後の展望と聞くと「誰もが何かしら、子供時代に戻れる思い出のキャラクターが存在します。当社の玄関先のショーウインドーには過去のフィギュアが陳列していて、道行く人が足を止めます。先々は、長年の経験や素材を活かすために食玩ミュージアムの展開や、卸価格で販売しているのと、家族全員が楽しめる利点を活かして、アウトレットモールでの出店などを検討中です」と語ってくれた。

取材・文・写真=下八重順子

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