創業から60余年を数える天然とんこつラーメン専門店「一蘭」。くさみの少ないとんこつスープと特製の生麺、そして味にパンチを加える赤い秘伝のたれで知られる。現在は九州はもちろん全国・海外にも展開、全85店舗を擁する人気店だ。

「一蘭」の特徴としてもう一つ知られるのが、隣席との間を区切る「味集中カウンター」。本来は「ラーメンの味に集中してほしい」との観点から生まれた工夫だが、withコロナ時代の昨今はスタッフとも最低限の接触で済む注文システムと合わせて、「フィジカルディスタンスの先駆者」として脚光を浴びている。

■一蘭史上初のカップ麺が満を持して登場
前置きはさておき、そんな一蘭から史上初となるカップ麺「一蘭 とんこつ」が2021年2月15日(月)に発売される。先日お披露目会が行われいち早く味わってきたので、レポートをお届けしたい。

最初に伝えられたのは「先入観をなくすため、あえて具を入れずにお出しします」というひと言だった。この時点では「新商品の発表」としか伝えられておらず、事前資料や情報もなし。そのためカップ麺だとは思わず「店舗で出す新しい商品の発表」だろうと考えたまま、筆者も試食に臨んだ。

■「まるで生麺」完成度の高い味わいに驚き!
どんぶりに入った白く濁ったスープ、細めの麺。見た目はいつもの一蘭のラーメンだ。ただ具が入っておらず、赤い秘伝のたれも「とても辛いので」ということで別の器で提供された。

最初にスープをひと口。ほのかに感じるニンニクの香り、通常の一蘭のスープよりは気持ちライトに思うが、その分いくらでも飲めてしまいそう。麺はつるつると滑らかで、ほんの少し硬め。正直おいしい。赤い秘伝のたれはいつもとちょっと見た目が違うかも。少し入れると確かに辛いが、麺の旨さを引き立てる。要するに具はないけれど、慣れ親しんだ一蘭の味だった。

しっかりおいしく味わった後、これが今度発売するカップ麺だと明かされた。そう聞かされても「ホントに?」という感じ。完成度の高さに驚くばかりだ。

■とんこつラーメンらしい麺を実現
実は一蘭には20年以上も前から、カップ麺の共同開発のオファーが様々な企業から来ていたそう。しかし、いずれも満足のいく仕上がりにならなかった。特にネックとなったのが麺。とんこつラーメンの麺は硬さが特徴だがカップ麺にするとこれがデフォルメされ、口当たりがよくなかったり、一蘭らしい滑らかさが出なかったり、納得できる仕上がりにならなかった。これが今回実現し、発売の運びとなったわけだ。

■社内でも4人しかレシピを知らない「赤い秘伝のたれ」
赤い秘伝のたれも、開発には困難を要した。たれのレシピは一蘭社内でもわずか4人の職人しか知らないという、秘伝中の秘伝なのだ。それゆえカップ麺の開発でも、職人が麺やスープとの相性を考慮し試行錯誤を重ねて、カップ麺のためだけのたれが開発された。

スープは豚骨の旨味を最大限に引き出しつつ、特有のくさみを抑えた仕上がり。粉末と液体の2種類を合わせることで味わいに奥行きを生み出し、口当たりも滑らかに。

■ラーメン本来の味を楽しんでほしいから、あえて具は入れない
今回発売される「一蘭 とんこつ」は、ラーメン本来の味を楽しんでほしいとの理由から具材は入れず、麺とスープ、赤い秘伝のたれのみ。純粋なラーメンの味が楽しめる。価格は490円(税込)で、一蘭店舗、一蘭公式通販のほか、一部コンビニ、小売店などでも発売予定。

一蘭広報の坂根愛野さんは「このカップラーメンは一蘭の味を再現したのではなく、専門店ならではのおみやげラーメンを味わえるものとしてお届けします。自宅やキャンプなどいつでもどこでも、一蘭の味を気軽に味わっていただければ」と今回のカップ麺について語った。

取材・文=鳴川和代