各SNSを海水浴場に見立てた「SNS海水浴場」や、2021年から大流行した音声SNS「Clubhouse」をモチーフにした漫画など、ポップなイラストで時事ネタ作品を発信しているうのきさん(@UNOKINOKI)。毒っ気がありながらもクスッと笑える作品の数々は、SNSでバズることもしばしば。

うのきさんの作品はどれも、人々が“思っているけどなんとなく口に出せないこと”を表現している。今回は、制作秘話や話題になった作品の裏話などを聞いた。

■「ネタはすべてニュースから」時事ネタがひと目でわかる作品たち
毎日のように作品を投稿しているうのきさんだが、ネタが尽きないのは「毎日ニュースを見ているから」だという。

「ネタ収集は、主にテレビやネットニュースからですね。あとはお風呂に入っている時にふと思いついたりとかが多いかもしれません。日々落書きをしながら、ネタになりそうなものをとにかくずっと探しています」

また、イラストを描くうえで大切にしていることは「ちゃんと意味や意図が伝わるように描くこと」とうのきさん。「自分のイラストは“ネタありき”なので、絵でものを足すというよりはどれだけ引けるかが大事。足し算より引き算を意識しています」と話してくれた。

■共感の嵐を呼んだ「SNS海水浴場」
うのきさんの代表作とも言えるのが、2018年に話題となった「SNS海水浴場」という作品だ。FacebookやTwitterなど、4つのSNSの性質の違いを第三者の目線から皮肉った4コマ漫画で、「的を射ている!」と7万件もの“いいね”を獲得した。

実は「SNS海水浴場」が話題になったのは同じ内容のツイートを4回した時だったという。最初に投稿したときは反応も薄く、2回目と3回目も鳴かず飛ばず。それでも諦めなかったうのきさんが4回目に投稿すると、まさかの大反響。WEBメディアでの紹介や雑誌に掲載されるなど、一気に話題となった。

「必ずしも『反応が薄い=ネタがおもしろくない』ではなく、『見てもらえさえすれば評価してくれる』ということを理解しました。なのでSNSでは作品を見てもらえる導線作りが大事なのだと、この時に学びましたね」と、“発信し続けること”の大切さを話してくれた。

■熱狂的な「Clubhouse」ブームも一刀両断⁉
2021年に入り、音声SNS「Clubhouse」が大流行。招待制であることや、有名人の素のコメントが聞けることが相まって熱狂的なブームとなった。「SNS海水浴場」に引き続き、うのきさんは「Clubhouse」もイラスト化。

「異常な盛り上がり方がおもしろくもどこか滑稽で、すぐに『描こう』と思いました。『ウケるだろうな』という感覚ではなく、いつもの流れで普通に時事ネタとして制作しましたね」とうのきさん。しかしこの作品も、4.2万件の“いいね”がつく大反響。予想外の出来事にうのきさんも驚いたという。

■2匹のネコのほのぼのストーリーに癒やされる「まるとしっぽ」
Twitterでの投稿が人気のうのきさんだが、他にもさまざまな活動をしている。その1つが、Instagramで投稿している4コマ漫画「まるとしっぽ」という作品。Twitterで投稿している作品とは打って変わる「まる」と「しっぽ」という2匹のネコが繰り広げるほのぼのストーリーだ。

「2匹のネコがイタズラをする1枚イラストを描いていた頃、漫画サイトで4コマ漫画として連載することになりました。連載終了後、自分的にしっくり来ていなかったので、再度Instagramで描き始めました。フォロワーさんが尻尾を見て『まるとしっぽ』と呼んでくれたので、それをそのままタイトルにしました」

なかでも、うのきさんのイチオシは「救出」という作品。昔はまるのイタズラの話がメインだったが、いつしかしっぽの成長記録に方向性が変わっていったそうだ。

「昔に比べて、まるがしっぽに対してめちゃくちゃ優しくなったんです。これは自分の心境の変化や、今の時世がそうさせたのかもしれません」

うのきさんはイラストレーターとしても活躍中。株式会社おやつカンパニーが販売する「ベビースター」のパッケージや、不動産サイト「SUUMO」のWEBCMのイラスト、お笑い芸人のオジンオズボーン・篠宮暁さんのサムネイルイラストなど、の活動は多岐にわたる。さらに2021年4月からは、カルチャーメディア「FREAK」にて4コマ漫画を連載予定だそうだ。

SNSだけでなく、イラストレーターとして多方面で実績を残すうのきさん。「アパレルブランドのキャラクターデザインや、アニメーションのキャラクター制作など、とにかく絵に関するお仕事なら、どんなものでも積極的に取り組んでいきたいと思っています」と、イラストレーターとしての意欲を見せた。

ポップな色味とかわいいタッチで、社会にチクリと針を刺すイラストを描き続けるうのきさん。これから起こるさまざまな出来事もイラストにして、私たちの心を軽くしてくれるだろう。今後の作品も見逃せない!

取材・文=福井求