2022年6月12日、上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」が5歳に。本来は2020年12月31日までに中国へ返還することが決まっていたが、コロナ禍の影響もあり何度も変更。そして、2022年6月現在、同年12月31日(土)まで返還の延期が決定している。そんな「シャンシャン」に、これまでありがとう、これからもよろしくね、と言う思いを込めて、上野動物園教育普及課の課長、大橋直哉さんのお話と共に、成長ぶりを振り返っていこう。

■お母さんパンダの「シンシン」出産
のちに「シャンシャン」と名付けられるジャイアントパンダの赤ちゃんが生まれたのは2017(平成29)年6月12日の午前中。飼育係が午前11時52分に子供の産声を聞き、午後12時38分に1頭の子供の姿をモニターを通じて確認した。お母さんの「シンシン」とお父さんの「リーリー」が2011(平成23)年に来園して以来、待ちに待った2頭目の赤ちゃんの誕生となった(1頭目は生後6日で亡くなった)。

2日後の身体検査で体重は147グラム、体長14.3センチと測定された。性別は不明。飼育係が24時間体制で観察を続けた。

10日齢を迎えた赤ちゃんは、3回目の身体検査でメスと判明。体重は283.9グラム、体長は17.6センチ。日を追うごとに耳や目の周りが黒みを増し、白と黒がはっきりとしていった。

■生後3週間すぎると産毛も白黒に
着実に体重が増えていくにつれ、肌にも変化が。生後約3週間後には地肌の黒い部分には黒毛が、肌色の部分には白い毛の密度が増してきた赤ちゃんパンダ。

お母さんパンダの「シンシン」は子育て中の2017(平成29)年7月3日に12歳の誕生日を迎えた。

大橋さんは「飼育係は赤ちゃんを見守るだけではなく、『シンシン』への乳房マッサージや搾乳、栄養補給などのケアも行い、母子への徹底的なサポートを24時間体制で行いました」と話す。

こうして迎えた40日齢。赤ちゃんは体重1656.5グラム、体長34.1センチとますます成長。目もうっすらと開きかけ、前足と後ろ足を使って床を這うように!

■名前の募集も開始!32万2581件から8点に絞られて…
生後1カ月半程度になると、待ちに待った名前の募集が開始。2017(令和29)年7月28日から8月10日の間に、32万2581件の応募があり、件数の多かった上位100件の中から選考委員会が8点の候補を選んだ。最終結果は9月下旬に発表されることに。

■すくすく育って生後100日!名前も決定!
その後も、体は大きくなり、のびのびと成長を続ける赤ちゃんパンダ。生後100日を迎えるころには、体重は6キロ、体長は65センチになり、上下左右の犬歯も生えてきた。

そして、いよいよ赤ちゃんパンダの名前が決定。待ち望んだその名は「香香(シャンシャン)」。花開く明るいイメージから名づけられたものだ。

応募総数32万2581件のうち、「香香(シャンシャン)」への応募は5161件。他の候補は、レンレン、ヨウヨウ、マオマオ、シンリー、ルールー、シュウシュウ、リーシン。また、応募の多かった名前の上位3件はルンルン、メイメイ、ノンノンだったそう。

■いよいよ母子パンダ一般公開!
その後も順調に体重を増やし、段差も超えられるようになった「シャンシャン」。丸太の上によじ登るようになり、母親の食べるタケを噛んでみたりする姿も見られるようになった。

こうして順調に育った「シャンシャン」は、2017(平成29)年12月19日、母親と共にパンダ舎の屋内展示室で一般公開へ。

12月25日に行われた21回目の身体検査では、体重が14.5キロ。木登りも上手になり、木の上で眠る姿もたびたびみられるようになった。

2018(平成30)年の2月ごろにはさらに活発に動き回り、体重も17.5キロに。時々、水にも興味を示すようになった。

■1歳の誕生日おめでとう!
一般公開を無事迎えた「シャンシャン」は、2018年6月12日に1歳に。周囲のあらゆるものに興味津々で、お母さんにもじゃれついて元気いっぱい!まだまだ母乳が必要だが、リンゴも食べられるようになった。

■ひとり立ちへ訓練を開始
ジャイアントパンダは群れをつくらず単独で行動する動物なので、幼いころは母親や兄弟と共に暮らしていても、成獣になると縄張り争いが起こる可能性がある。

「シャンシャン」は2018(平成30)年10月のはじめごろから成獣と同じものが食べられるようになったことに加え、人工乳が飲めるようになったので、1歳半を迎える12月をめどに、ひとり立ちすることになった。

ステップ1は、午前中のみ母子別居、ステップ2は日中のみ別居、ステップ3は夜間別居、そしてステップ4で終日別居のひとり立ち、というスケジュールだ。

ステップ1から順調に進んだひとり立ち計画は「ステップ3になると、同居時には『シャンシャン』が母親の後をついて回るなどの行動が見られましたが、『シンシン』は積極的には相手をせず、すぐに授乳を受け入れなかったり、途中で切り上げたりすることが多くなりました」と大橋さん。

こうして静かに慎重に進められたひとり立ち計画は、12月10日、ステップ4である「シンシン」との終日別居へと歩みを進めた。これを機に「シャンシャン」は、完全に別居生活に突入、見事にひとり立ちを果たしたのだ。

■2歳の誕生日にはたくさんのイベントも開催
2019(令和元)年6月12日、「シャンシャン」は2歳に!

「体重も5キロを超え、タケやササで十分に栄養もとれるようになったので、5月24日をもって人工乳も終了しました」

2歳の誕生日には、数々の祝賀イベントも開催された。

「その一環として『シャンシャンのおとしもの』と題したパネル展を実施したんです。『シャンシャン』のフンを観察することで成長を知ることができるパネルを6枚も作りました」と大橋さん。フンも貴重な情報源、成長が進むにつれ大きくなり、健康状態もわかるそうだ。

■休園のなか、3歳の誕生日をSNSを通じてお祝い!
「シャンシャン」が生後約2歳6カ月を過ぎたころ、世界を震撼させていた新型コロナウイルス感染症が日本でも猛威を振るうようになった。その影響で、上野動物園も前代未聞の長期休園を余儀なくされる。来園者の姿がまったくない、静まりかえった上野動物園の園内で、2020(令和2)年6月12日に3歳を迎えた「シャンシャン」のために、大橋さんたちは、SNSを使って「みんなでいっしょに祝おう! 考えよう! シャンシャン3歳記念パンダアクション」と題したお祝いを企画。6月12日〜14日の間に「#シャンシャン3歳おめでとう」のハッシュタグをつけてメッセージを投稿しようというものだ。

「その結果、短期間にもかかわらず上野動物園オリジナルの塗り絵に色をつけたものや、投稿者のパンダへの想いが527件もアップされたんです。パンダのために行動を起こす『パンダアクション』は、野生のジャイアントパンダの保全につながります。ぜひ今後も継続していただけたらと思います」と大橋さんは振り返った。

■4歳の誕生日にはすっかり大人のパンダに!
2021(令和3)年6月12日、4歳になった「シャンシャン」は、体重も約90キロ、体も大きく、すでに立派な大人のパンダに。

同年6月23日、「シャンシャン」には、オスの「シャオシャオ」とメスの「レイレイ」という双子の弟、妹もできた。

■2022(令和4)年6月12日、5歳の誕生日おめでとう!
こうして、順調に大人のパンダへと成長してきた「シャンシャン」。2022年12月31日(土)まで中国への返還が延長され、「シャンシャン」に会えるチャンスが増えたこともうれしい。

さて、そんな「シャンシャン」の最近の動向は?

「タケを選り好みすることがたびたびあります。時には飼料として購入したタケを全く食べないために、園内のタケを刈り取って与えることもあるんですよ。採食や休息などの行動パターンに加え、季節ごとの生態が大人のパンダと同じものになってきましたね」と大橋さん。

最後に大橋さんは「上野動物園では2021年6月23日に生まれたジャイアントパンダの双子『シャオシャオ』『レイレイ』の1歳と、お姉さんパンダである『シャンシャン』5歳の誕生日を祝うイベント『明るい未来へ! 上野で生まれたパンダたち』を実施します。長い歴史を持つこの園で生まれ育ったパンダにスポットを当て、パネル展示やクイズラリー(各〜7月3日(日))などを展開していますのでぜひ遊びに来てください」と締めくくった。

シャンシャンを観る場合、予約は必要なし。上野動物園の入園料(一般600円)のみ支払えばOKだ。(日時指定のオンライン決済も可)。観覧時間や観覧条件、休演日などは公式サイトで最新情報をチェックして。日本で会えるのはあとわずか?かもしれない「シャンシャン」。これまでの感謝と誕生日を祝いに上野動物園へ行こう!


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取材・文=田村のりこ