2022年11月10日、日本イーライリリーによるイベント「円形脱毛症と向き合うプロジェクト『見る目を、変えよう。』プレスセミナー」が開催。

円形脱毛症を取り巻く環境の課題や、プロジェクトの推進役として公式アンバサダーに起用された「リカちゃん」からの“手紙”が発表された。

■円形脱毛症≠心の弱さ。根本的な原因は“免疫の異常な働き”
イベントではまず、浜松医科大学皮膚科学講座准教授・病院教授の伊藤泰介氏が、「円形脱毛症の病態と治療法」について解説。「円形脱毛症の発症は、“精神的ストレス”が原因だと言われがちだが、“免疫の異常な働き”による自己免疫疾患が根本的な原因なので、誰にでも起こり得るもの。この病気の発症のメカニズムを正しく理解するためには、『原因(体質)』と『きっかけ(環境要因)』という考え方が重要で、環境要因は、ウイルス感染や精神的ストレス、疲労、ワクチン接種、出産などいろいろあります」と説明した。

また、円形脱毛症の病態が科学的に明らかになってきたことで、既存薬とは別の作用で免疫反応を抑える分子標的治療薬「JAK(ジャック)阻害薬」が開発されたことにも触れた。これは、円形脱毛症の発症に関与するサイトカインの働きを抑え、免疫細胞による毛根への攻撃を抑えるもの。伊藤氏は「脱毛症状をきたす疾患はさまざまであり、それぞれ病気の成り立ちや治療が異なりますが、治療が困難であった重症患者にとって、新しい治療でパラダイムシフトが起きています」と現況を語った。

続いて、西新宿サテライトクリニック院長で、東京医科大学名誉教授の坪井良治氏が登壇した。ここでは、日本イーライリリーが一般生活者250人、円形脱毛症患者(過去も含む)47人を対象に実施した意識調査の結果をもとに「円形脱毛症を取り巻く環境の課題」について提起。

坪井氏は「一般生活者の80%、円形脱毛症患者でも70%が円形脱毛症の原因を『ストレスだ』と考えており、『円形脱毛症は免疫異常が原因』と認識している人は4人に1人以下の割合に留まっていた。多くの患者が、発症したことで『自分の心が弱いと思った』と答えており、“自責の念”が強調される結果でした」と、その誤解に懸念を示した。

さらに「円形脱毛症によって行動や考えが変化したか」というアンケートでは、「自分の姿を見るのが嫌になった」「帽子をかぶるようになった」という回答が多数挙がったことについて言及。「最終的には『仕事/学校をやめた』や、『結婚をあきらめた/考えられなくなった』という、かなり深刻な状況になった人も10%以上いました。これは解決しなければならない問題。そしてもう1つ、円形脱毛症に対して思うことについても聞くと『その名前を変えてほしい』という意見もありました。円形脱毛症というのは必ずしも病気の重症度を表していないと感じているので、個人的にも『自己免疫性脱毛症』という名前がいいのではないかと思っています」と、坪井氏は話していた。

■円形脱毛症と向き合うプロジェクト「見る目を、変えよう。」
新プロジェクトでは、円形脱毛症への“思い込み”を解き、患者を取り巻く社会が“思いやり”のある環境へと変わっていくことを期待して、誰からも親しまれているリカちゃんを公式アンバサダーに起用した。

リカちゃんは専門医や患者にインタビューし、その内容をニュースレターで発信。リカちゃんはこの取材活動を通じ、「円形脱毛症は周囲の理解と共感がとても重要な疾患である」ということに気づかされたそうで、今回、円形脱毛症に悩んでいる患者のために、特設WEBサイトにて手紙とメッセージムービーを公開するに至ったという。