10周年を迎えた名古屋駅のミッドランド スクエアに、7月28日(金)、グルメ店が6軒オープンする。先行して行われた内覧会で「文化洋食店 nouveau(ヌーヴォ)」へ足を運び、さっそく新店の味をチェックしてきた。

「文化洋食店」とは、名古屋・池下に本店を構える老舗洋食店で、ハンバーグやカニクリームコロッケなど“昭和”な洋食メニューで人気を博している。

このミッドランド スクエアの新店舗で注目なのは、新規出店のために開発されたというメニューの「ローストビーフ牛カツ」(1620円)。凝縮された肉の旨味とパリっとした衣が楽しめる絶品メニューという。

テーブルに運ばれた瞬間は、肉の断面は見えない。が、8等分にカットされた隙間に箸を入れると、同席している者たちから歓声があがる。もちろん自分も声を出してしまった。ほんのりピンク色の、まだレア感の残った断面が顔を出したからだ。

さっそくひと口食べてみる。気づかされるのは、臭みがないこと、そして肉が柔らかいこと。これはこの店だからこそ出てきた感想だろう。

いまや全国あちこちに牛カツは存在するが、「文化洋食店」は、肉を“低温調理”で仕上げているところがポイント。低温で肉に熱を通し、後から衣をカリッと揚げることで、外はカリッ、中は柔らかという食感を実現させている。

なお皿にはワサビが添えられているが、ワサビで相殺するほどの脂っこさはなく、さらっと食べられた。ワサビは途中で味の変化を楽しむのに使うといいだろう。

ほかにも、店の看板メニューの「文化洋食店のカニコロ」(1296円)と、「ハンバーグ」も実食。

「カニコロ」は、言うまでもなくカニクリームコロッケなのだが、コロッケを割ってまず気づくのは中身が茶色いこと。一般的なカニクリームコロッケは、白いベシャメルソースがびっしり詰まり、ほんのり牛乳の風味を残すが、これはその常識をくつがえす一品だった。

コロッケの“タネ”にベシャメルソースは使われているものの、時間をかけて炒めたタマネギやマッシュルームなどが加わることで、独特の旨さと色味を具現。牛乳の生臭さがなく、カニの旨味とコクが溶け込んだ味に、新たな発見をさせられた。実においしく、人気メニューなのもうなずける。

また、ハンバーグは4種類ほどあるうちから、「焦し醤油ハンバーグ」(1296円)を選択。

ミョウガやシソがアクセントにのるなど、味付けの工夫は楽しいが、実は「味付けはなくてもいい」というのが正直な感想。「旨い肉は何もつけずに食べるのがいちばん旨い」が持論の自分としては、その域に達したハンバーグだった。聞けば味付けは塩とコショウのみで、牛7:豚3の比率で肉をミックスしているとのこと。ただし牛肉・豚肉は、それぞれ数種類の銘柄のものをブレンドして、味の深みを出しているのだそう。何十年もかけてこの味にたどり着いたレシピとのことで、店の歴史を感じさせられる逸品だった。

しかし、贅沢を言うならば、余分な味付けなしで、肉のみで食べたいハンバーグだった。

1983(昭和58)年の創業以来、古きよき洋食店として味を守り続けている名古屋の名店。あらためてその実力を感じさせられた。【東海ウォーカー/勝野哲史】