■ 紛れもなく漫才界の最高峰・中川家。さりげない会話がすでに彼らのコント

中川家は素晴らしい。彼らが登場するだけで、受け手は「笑う準備」がすでにできているように思う。漫才でもコントでも、自然体で繰り出す、兄・剛と弟・礼二の掛け合いは、一般の人々の会話をそのまま切り取ったようでありながら、笑いとしてのクオリティーが極めて高い。同じネタであっても、少しずつ違う。何度でも見たい、笑いたい、もう一度おかわりしたいと感じさせてくれる。「あ、知ってるネタや」とがっかりさせることなく、「待ってました!」と拍手喝采させる2人は、紛れもなく漫才界の最高峰だ。

そんな中川家が出演する「ねじの世界」(テレビ大阪系)という6分のミニ番組がとても面白い。舞台は大阪のとある町工場。礼二が工場長役で、剛は従業員役だ。オープニングで、互いにさりげない会話をするのだが、それがすでに彼らのコントになっている。ほどなく近くにあるテレビから、毎回どこかのねじ工場のVTRが流れてくる。これは実在する会社のもので、その映像を見ながら、ちょこちょこと剛と礼二が絶妙なツッコミを入れる。2人の言葉で、VTRがさらに魅力あるものに変わるから不思議だ。

「ねじのサンコー書」というコーナーも。番組スポンサーの、ねじ専門商社の社長が「ねじを愛し・ねじに愛された男」として登場し、ねじに関するミニ知識を中川家に披露する。ここでも2人の人間味あふれるツッコミで、社長をきちんと生かす。

テレビ大阪は、以前も家電量販店チェーンをスポンサーに据え、中川家のミニ番組を放送していた。終わって寂しく思っていたところだったので、「ねじの世界」が始まったことをとても嬉しく思う。ただ、番組は6回で終了すると聞いた。あまりにもったいない。

「中川家の〇〇の世界」として対象業界を広げ、ぜひシリーズ化して欲しいと思う。

【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。(関西ウォーカー)