今、ゆりかもめ「台場駅」に降り立つと、続々と人々が向かう場所がある。この春からお台場をにぎわせているシルク・ドゥ・ソレイユ「トーテム」だ。1992年に最初の演目「ファシナシオン」が上陸して以来、「サルティンバンコ」「ドラリオン」「クーザ」など、10作品が公演され、すでに日本でも多くの“シルクファン”がいるが、今回の「トーテム」、すでにご覧になっただろうか?

シルク・ドゥ・ソレイユの魅力は、人間の肉体の可能性を超越した圧倒的なパフォーマンスだ。誰もが公演時間中、ずっとお口「あんぐり」状態になる。驚きと興奮で空いた口がふさがらないのだ。

シルク・ドゥ・ソレイユの公演にはそれぞれテーマがあるが、今回「トーテム」が描くのは「人類の起源と進化の旅」。それを知って作品を鑑賞するのとしないのでは、面白さがまったく違う!

オープニングアクト「カラペース」の、殻の中から飛び出してくる様子は“生命の誕生”だ。

空中ブランコで男女が絡むアクト「フィックスト・トラピス・デュオ」では、異性に興味を持ち始めた男女の気持ちが見え隠れし、まさに“愛の起源”。見ているこっちがドキドキしてしまう。

最高の見どころ「ロシアンバー」では、パフォーマーが宇宙服のヘルメットのようなかぶりものをつけて登場。ありえない細さのバーの上で飛び跳ねる様子は、まるで進化を遂げた人間が無重力の宇宙へ飛び出すかのよう。

アクトの合間には、おなじみのお笑いシーンも健在。「トーテム」では、動物→猿→人間と進化を表現したユニークなシーンもあり、“動く人類の進化行進図”には思わず吹き出す観客が続出だ。

■ プロジェクションマッピングがトーテムの世界観を後押し!

さらに今回注目したいのは、ステージの背景に広がるプロジェクションマッピングの映像。今までの作品も、パフォーマーのパントマイムや表現力で実際には見えないものを巧みに表していたが、「トーテム」では、そこに最新技術の映像背景が加わったことでステージ上の世界が何倍にも広がった!火山からはマグマが流れ、カエルが湖の中を泳ぎ、降り注いだ雨が水面に波紋を作る。加えて、ステージが可動式で反り返ったり浮き上がったり、今までの演目にはない最新技術を駆使した演出も見どころとして押さえておきたい。

■ トーテムのロゴに日本人アーティストが起用!?

CMでもよく見るトーテムのロゴ。パフォーマーが「T」の字を作っているのはおなじみだが、実はこの方、日本人!他の作品を含め、日本人がロゴに登場するのは初めてだ。彼が登場するのは鉄棒とトランポリンが融合したオープニングアクト「カラペーズ」。他にももう一人、 女性の日本人が活躍しているので、探しながらショーを鑑賞するのも一興だ。

■ ハラハラドキドキ、大いに笑って楽しむべし!

2年前「オーヴォ」が上陸した際、パフォーマーへの編集部インタビューで「日本人はシャイだから恥ずかしがるかもしれないけれど、ぜひ大きな声で笑ったり、パフォーマーがボケたらつっこんでほしい(笑)」という話を聞くことができた。他国の公演では、そういった観客とのコミュニケーションが楽しいと。確かに日本人はそういったことが苦手かもしれない。ところが今回の会場で感じたのは、以前と比べると、大きな声をあげて遠慮なく笑う観客や、「ヒューヒュー」という指笛や「ブラボー!」と歓声をあげる人がとても増えたことだ。おとなしく、お行儀よく見ているより何倍も楽しい!日本人も進化し、こういった作品を楽しむ素養が培われたのかもしれない。そんな今は絶好の鑑賞時!「トーテム」の公演も残すところ あと1か月!ぜひ、会場でこの世界観を目と耳と肌で体感してほしい。

写真=OSA Images, Matt Beard Costumes: Kym Barrett (C) 2010, 2014 Cirque du Soleil