にほんブログ村「コミックエッセイ」ランキングでTOP10に入るなど人気を博している、元アルコール依存症のアラサーOL・かどなしまるさん(「お酒がないと××できません」/@marukadonashi)。新卒で入った会社で人間関係に悩まされ、「ダメだ」とわかっていながらも、お酒を飲んでから出勤するようになってしまったという。その体験記を新たに描き下ろしてもらったマンガがウォーカープラスで連載中。初めて出勤前にお酒を飲んでしまったときのエピソードが描かれる第2回の掲載に合わせ、当時の体験を振り返る。

――新卒で入った会社でアルコール依存症になってしまったということですが、その頃はどんなお仕事をされていたのですか。

「小さなメーカーで事務の仕事をしていました。出勤したら、まずは社内での挨拶まわりからはじまり、引っ切りなしにかかってくる電話の対応をしながら、書類作成やお茶くみをするという、これといった特色のない業務です。頭も体もそこまで使わず、残業も月20時間ほどだったのに、パワハラ・悪口が横行する陰鬱な雰囲気の職場で常に緊張感があったせいか、どっと疲れてしまっていました」

――もともと思い描いていた社会人生活と、実際に入った職場との間にはどんなギャップがありましたか。

「業務内容などはイメージ通りでした。ギャップがあったのは、人生の中での仕事の立ち位置や、仕事に向き合う自分の気持ちですね」

「社会人の醍醐味といえば、働いた後のビールのおいしさや、たまの連休に羽を伸ばして仕事への英気を養うこと。趣味を充実させて“推し”のために仕事を頑張ったり、ときには生活のため以上に仕事に熱中したり、たとえつらいことがあっても前向きに消化し、喜怒哀楽をくるくるくり返していく…。仕事とは、そんな感覚で人生のかたわらに置ける存在だと思っていました。青臭いですね、恥ずかしいです(笑)」

「しかし、実際には、仕事に対する思いは『行きたくない、帰りたい』という負の感情に支配されていました。いずれ慣れて生活のルーティンのひとつとして流せるようになるという気配が一向に訪れず…。こんなにも嫌なものは嫌なままで、日ごとに憎悪が増していくというのが想定外でした」

――マンガの中に登場する“繊細先輩”のように、自分が傷つけられた悲しみのあまり、他人の気持ちを考えられなくなり、人を傷つけてしまうという人は実際にいますよね。

「弱ってるからしょうがないし、優しくしたいとは思うのですが、自分に余裕のないときには、『自分のことを棚に上げて人に期待しすぎなんじゃないの』と、悪い方向に反応してしまいます。実は私の中にもその繊細先輩のような“かけら”があって、相手を通して鏡写しのように自分を見ているからこそ、同族嫌悪的に過剰に反応してしまったんだと思います。要注意です」

――初めて出勤前にお酒を飲んでしまったときのエピソードを教えてください。

「『もう、私ではだめだ』と思ったんです。選手交代。自分に取って代われるのは、“酔っぱらったときの自分”だと。夜な夜な酔った頭で、『この状態で出勤なら朝が多少楽だな』という考えが頭をもたげていたので、ある朝、仕事に行きたくないという感情がピークになった瞬間に『酒だ』と。『飲んじゃおっか』『いや、ありえない』『でももう素の自分で挑む気力は生み出せない』『正気の沙汰じゃないよ』という自問自答を経て、『じゃあ、今日だけ…!』。その1回がすべてのはじまりでした」

――マンガで描かれた、気持ちが追い詰められてお酒に走ってしまうかどなしさんの恐ろしい表情が印象的でした。どんな思いで描かれましたか。

「いつだって葛藤していて…それでも飲むことが勝ってしまっていました。そして、過剰に思いのこもった期待の眼差しでお酒を見ていました。『お願いだから何とかしてくれ!私が会社に行くためにはこれしかないんだ!頼んだよ!』という風に、すがるべきじゃないとわかってはいるけど、今の私を救ってくれるのはお酒しかないと。自分ではなくお酒なら信じられたんです」

――最後に、これからはお酒とどんな風に向き合っていきたいですか。

「何もかもお酒中心の生活からは抜け出せたので…これからは、お酒を飲むことに対して“人と同じ感覚”でいたいです。歯切れの悪い言い方で、ハードルが低いかもしれませんが…これがいまの私の精一杯です」

取材協力:かどなしまる(「お酒がないと××できません」/@marukadonashi)

※飲酒の際は、食物をとりながら、自身にとって適切な量をゆっくりとお楽しみください。自分で飲酒の量やタイミングをコントロールできず、お悩みの場合は、専門の医療機関を受診してください。
※20歳未満の飲酒は法律で禁じられています。


※飲酒の際は、食物をとりながら、自身にとって適切な量をゆっくりとお楽しみください。自分で飲酒の量やタイミングをコントロールできず、お悩みの場合は、専門の医療機関を受診してください。
※20歳未満の飲酒は法律で禁じられています。