早いところでは9月から始まる紅葉シーズン。四季がある日本では昔から、色付く木々や山肌を愛でる風習「紅葉狩り」がある。今回は「NHK趣味の園芸」で講師として活躍している確実園園芸場の川原田邦彦さん監修のもと、紅葉狩りの歴史や由来、マナー、楽しみ方まで、知っておくともっと紅葉狩りが楽しくなる知識を紹介しよう。

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■紅葉狩りの歴史、古くは平安時代から!江戸時代に庶民にも普及
モミジやカエデ、イチョウなど、秋になると葉の色が赤や黄に染まり、見る人をその美しさで魅了する紅葉。紅葉狩りとは、野山に足を運んで、紅葉した木々を眺めて楽しむ行楽のことを言う。

紅葉を楽しむ文化の起源は古く、奈良〜平安時代にさかのぼる。小倉百人一首にも選ばれている「このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢのにしき 神のまにまに」(菅原道真)のように、当時の和歌にも「黄葉」、「紅葉」を詠った歌が複数見られ、貴族が秋の紅葉を楽しんでいたことがうかがえる。

庶民にも紅葉の鑑賞が広まるのは江戸時代になってから。街道が整備され、伊勢神宮を参詣するお蔭参りや、熊野三山を参詣する熊野詣が流行。この頃、「名所図会(めいしょずえ)」と呼ばれる、挿絵付きで名所を紹介する当時の旅行ガイドブックにあたる刊行物や、「花壇地錦抄(かだんちきんしょう)」など、植物の品種を紹介する便覧が登場。江戸幕府8代将軍の徳川吉宗が飛鳥山公園(東京都北区)に、サクラやカエデの木々を植栽し行楽地として整備したことなども後押しとなり、庶民の間で桜の花見のように、紅葉狩りも広まっていったのだという。

現代では野山をはじめ、街路樹や公園、庭園など、さまざまな場所で紅葉する木々を楽しめるようになり、紅葉狩りも秋の風物詩としてすっかり定着している。

■紅葉狩り、どうして“狩り”って言う?実は伝統的な表現
ところで、紅葉狩りをなぜ“狩り”と表現するのか気になる人も多いはず。語源には諸説あり、「野山に入って動物を追う本来の狩りのように、植物を鑑賞するために野山を出歩くのを狩りになぞらえた」という説や、「当時の貴族は枝や葉を手に取って観賞していたから」という説などがある。実は桜も「桜狩り」と表現した例が平安時代にもあり、植物を鑑賞することを「狩り」と呼びならわすのは、1000年以上前からの伝統的な表現なのだ。

■コントラストも楽しもう!紅葉狩りがさらに楽しくなるポイント
美しい景観を楽しめる紅葉狩り。紅葉の中をゆったりと歩くのはもちろん、写真に残したり、品種ごとの色合いや形の違いを見比べるなど、楽しみ方もさまざまだが、ほかにはどんなポイントに着目すればより深く紅葉を満喫できるだろうか。川原田さんに訊いた。

「庭植えの樹はモミジだけでなく、そのほかの樹や宿根草との組み合わせでもっと楽しみが広がります。また、鉢植えのモミジも単木はもちろん、寄せ植えとしてもいいです。新葉時(春もみじ)の色は秋の紅葉以上に楽しめますが、特に赤い品種と黄色の品種の組み合わせは両方の美しさをさらに引き立てます」(川原田さん)

■紅葉狩りの際は動きやすい服装で!意外な「色合い」の落とし穴も
紅葉狩りの際の服装で大切なのは、動きやすい格好であること。市街地や公園をふらっと散策するなら普段着でもOKだが、紅葉の名所は山間部が多く、道が整備されていても上り・下りや足元が悪い場所がある。滑りやすかったり、かかとの高い靴は避けよう。また、紅葉シーズンは1日の寒暖差も大きいので、着脱しやすい上着を選ぶことも大切だ。さらに、突然の雨に備え、折り畳みのレインコートのような両手のふさがらない雨具も用意しよう。もちろん、山深い高山の紅葉を楽しむ時はしっかりしたハイキングの準備を欠かさずに。

このほか、紅葉の赤や黄と調和しない派手な色、また、同系色で紅葉の色に紛れてしまうようなコーディネートも避けたい。紅葉をバックにしての記念写真が映えないのはもちろん、ほかの人から見た景観を損なわないような配慮を心掛けて。

■紅葉狩りで守るべきマナーとは?
気持ち良く紅葉狩りを満喫するために、マナーを守ることは必要不可欠。まず絶対にしてはいけないことは「当たり前ですが、枝を折らないこと」(川原田さん)。紅葉している木の枝を折ったり、葉をちぎりとって自然の木々を傷つけてはいけないというのは当然として、公園や庭園の木々は専門家が剪定して形を整えているので、ベストの景観を損なうことにも繋がる。どれだけきれいでも、目で見て楽しもう。

また、撮影禁止や駐車禁止といった各スポットのルールは事前に確認して、周囲の迷惑にならないように。立ち入り禁止の箇所では転倒や転落といった事故に繋がりかねない。毎シーズン紅葉を楽しめるよう、基本的なマナーの徹底は再度心がけよう。

■紅葉狩りの見頃っていつから?「最低気温8度」をチェック
紅葉は、朝の最低気温が8度前後を下回る日があってからしばらくして色付きが始まる。桜前線とは反対に、気温の低い北海道や東北地方、平野部よりも標高の高い地域から紅葉がスタートするのだ。北海道の中央部にある大雪山では例年9月中旬頃から見頃が始まる一方、関東地方をはじめ本州の平野部では11月中旬頃に見頃を迎える。

もちろん、その年の秋の気候によって紅葉の見頃時期は前後する。毎年9月頃から、気象会社による各地の紅葉の見頃時期予想が始まるので、チェックして絶好の時期を見逃さないようにしよう。また、紅葉スポットごとに見頃の時期はそれぞれ違ってくる。本格的なシーズンを前に、全国の代表的な人気紅葉スポットをピックアップして紹介!

■【北海道】定山渓(定山渓温泉) / 例年の見頃:10月上旬〜10月中旬
国立公園に指定され、豊かな自然に恵まれた、全国でも有数の紅葉名所である定山渓温泉(じょうざんけいおんせん)。札幌中心部から1時間足らずで気軽に訪ねられることから「札幌の湯の杜」として人気を集めている。四方が山々に囲まれているため、温泉街を散策するだけでも鮮やかな紅葉を楽しめる。二見吊橋から見る渓谷の景色は必見だ。

また、9月下旬から5カ所の紅葉エリアへ、それぞれシャトルバスで行ける「五大紅葉」がスタート。知られざる紅葉スポットをガイドが案内する「紅葉かっぱバス」や、温泉街よりひと足早い紅葉を空中散歩で楽しめる。また、山頂からは石狩湾までの大パノラマが望める札幌国際スキー場の「紅葉ゴンドラ」など、紅葉の美しさを存分に楽しめる。

■新型コロナウイルス感染症防止対策
【屋内・屋外区分】屋外
【スタッフ対策】手洗い・うがい・手指消毒/マスク・フェイスシールド着用/定期検温・体調管理の徹底/距離を意識した接客
【施設内の対策】窓口等に飛沫防止パーティション設置/定期的な換気/共有部分の定期的な消毒/消毒液設置
【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/入場時の手指消毒・検温/マスク着用/混雑時の入場制限/ゴミの持ち帰り
【その他】各紅葉スポットへのシャトルバス等の定員削減/他『定山渓安心宣言』8項目を定山渓温泉全体で実施



■【東北】鳴子峡(宮城県) / 例年の見頃:10月下旬〜11月上旬
JR鳴子温泉駅から車で約10分。国道47号に平行して走るV字型峡谷は、大谷川の侵蝕により成立した峡谷で、高さ約100メートルの断崖絶壁が2.5キロに渡って続く。片道約350メートルの中山平口鳴子峡遊歩道や、2.2キロの大深沢遊歩道を歩いて自然を満喫でき、奇岩と松の緑が点在する中に織りなす紅葉美は、数ある名所の中でも第一級といわれるほど。紅葉期間中はJR鳴子温泉駅から中山平温泉駅間で路線バスが運行する。

■新型コロナウイルス感染症防止対策
【屋内・屋外区分】屋外
【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/マスク着用/ゴミの持ち帰り



■【関東】谷川岳(群馬県) / 例年の見頃:10月中旬〜10月下旬
日本百名山のひとつ、標高1977メートルの谷川岳。頂上だけでなく稜線からの眺望も素晴らしく、10月上旬、天神尾根周辺のナナカマドが赤く染まると間もなく紅葉が始まる。谷川岳の東麓の一ノ倉沢の大岩壁は絶景で、みなかみ町を代表する名勝となっている。そのほかにも、山頂に続くロープウェイからは美しい山々の紅葉と空を一望することができる。また、紅葉と初雪の季節が重なるので、運が良ければ山頂の冠雪と周囲の紅葉を一度に楽しめる。

■新型コロナウイルス感染症防止対策
【屋内・屋外区分】屋外
【スタッフ対策】手洗い・うがい・手指消毒/マスク・フェイスシールド着用/定期検温・体調管理の徹底/距離を意識した接客
【施設内の対策】窓口等に飛沫防止パーティション設置/キャッシュレス対応/定期的な換気/共有部分の定期的な消毒/消毒液設置
【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/入場時の手指消毒・検温/マスク着用/混雑時の入場制限/ゴミの持ち帰り
【その他】ゴンドラの人数制限(10名前後)



■【甲信越】苗場ドラゴンドラ(新潟県) / 今年の見頃:10月9日(土)〜11月7日(日) ※苗場ドラゴンドラ運行期間
美しい渓流の上などを、アップダウンを繰り返しながら進む苗場ドラゴンドラは、片道約5.5キロという日本最長の長さを誇り、およそ25分の長い時間に渡って紅葉を楽しむことができる。また、道中には、エメラルドグリーンに輝く神秘的な湖の「二居湖」や、14号柱と呼ばれる、まるで紅葉の世界に飛び込んでいくかのようなスリルを体感できるスポットもあり、迫力満点の空中散歩を満喫できる。絶景ポイントと呼ばれる14号柱付近では、まるで紅葉の中に飛び込んでいくような急降下を体感でき、鮮やかに色付いた錦秋の山々の姿に圧倒される。

■新型コロナウイルス感染症防止対策
【スタッフ対策】手洗い・うがい・手指消毒/マスク着用/定期検温・体調管理の徹底/距離を意識した接客
【施設内の対策】窓口等に飛沫防止パーティション設置/キャッシュレス対応/定期的な換気/共有部分の定期的な消毒/消毒液設置
【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/入場時の手指消毒・検温/マスク着用/ゴンドラ乗車人数の制限/ゴミの持ち帰り



■【北陸】黒部峡谷トロッコ電車(富山県) / 例年の見頃:10月下旬〜11月中旬
黒部川が刻み込んだ、日本でも有数のV字峡・黒部峡谷。ツガやキタゴヨウ、ネズコなどの常緑樹が多く、その中にヤマモミジやカエデ、ナナカマドの紅葉樹と、カエデやブナなどの黄葉樹が点在している。3色のコントラストが見事で、ほかに類を見ないと評されている。峡谷を走るトロッコ電車の車窓からは、美しい絶景を次々と楽しむことができる。特に鐘釣橋付近は、とりわけ美しい紅葉の景観が見られるとともに、切り立った山々の間を川が流れる、峡谷を一番感じられる場所だ。

■新型コロナウイルス感染症防止対策
【スタッフ対策】手洗い・うがい・手指消毒/マスク着用/定期検温・体調管理の徹底/距離を意識した接客
【施設内の対策】窓口等に飛沫防止パーティション設置/キャッシュレス対応/定期的な換気/共有部分の定期的な消毒/消毒液設置
【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/入場時の手指消毒/マスク着用/混雑時の入場制限/ゴミの持ち帰り



■【東海】新穂高温泉(岐阜県) / 例年の見頃:10月上旬〜10月下旬
山々に囲まれる新穂高温泉の紅葉は、毎年10月上旬から下旬にかけて見頃となり、辺り一面が鮮やかに色付く。新穂高ロープウェイから見下ろす景色は、赤や黄色の紅葉のグラデーションが美しく、まるで絵画のよう。10月中旬を過ぎた頃からは、秋晴れの日には真っ青な空に初雪を被った北アルプスと紅葉が織りなす絶景を望むことができる。周辺には源泉かけ流しの露天風呂があり、湯に浸かりながら紅葉を楽しめる。

■新型コロナウイルス感染症防止対策
【屋内・屋外区分】屋外
【スタッフ対策】手洗い・うがい・手指消毒/マスク・フェイスシールド着用/定期検温・体調管理の徹底/距離を意識した接客
【施設内の対策】窓口等に飛沫防止パーティション設置/キャッシュレス対応/定期的な換気/共有部分の定期的な消毒/消毒液設置
【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/入場時の手指消毒・検温/マスク着用/混雑時の入場制限/ゴミの持ち帰り
【その他】奥飛騨温泉郷観光協会ホームページに奥飛騨スタンダード(感染防止対策)を掲載



■【関西】吉野山(上千本)(奈良県) / 例年の見頃:10月下旬〜11月下旬
※記載の内容は2020年のものです。
大峰連山の北端から南へ約8キロ続く尾根一帯が吉野山。春には3万本ある桜の木が満開となるが、秋にはその葉が見事に紅葉する。サクラモミジの紅葉は、カエデモミジよりも早く色付く。標高差があるので、山頂から麓へと徐々に色付いていく様子も観察できる。上千本エリアは急な坂道が多いが、その分見晴らしが良く、吉野山を一望できる花矢倉展望台(標高600メートル)や竹林院・桜本坊など、見どころ多数。周辺には神社や仏閣、お土産店なども多数ある。

■新型コロナウイルス感染症防止対策
来場者への呼びかけ(三密回避、体調不良時・濃厚接触者の入場自粛)/場内マスク着用/入場時の手指消毒/係員マスク着用/換気の徹底



■【中国】奥津渓(岡山県) / 例年の見頃:10月下旬〜11月中旬
※記載の内容は2020年のものです。
岡山県有数の紅葉スポットで有名な全長約3キロの奥津渓。川床の岩盤にできた臼淵の甌穴(おうけつ)群は全国的にも貴重なもので、中には50万年前に形成されたものもあるという。秋にはイロハモミジやカエデ、イチョウといった多くの木々が彩りを見せるが、特に大釣橋付近が絶景ポイント。

■新型コロナウイルス感染症防止対策
場内マスク着用



■【四国】西山興隆寺(愛媛県) / 例年の見頃:11月上旬〜12月中旬
桓武天皇の勅願寺となって以来、千有余年、東予随一の霊地として信仰を集める寺。本堂や銅鐘など多くの文化財を有し、歴史のある建物からは自然に融合した威厳のある佇まいを感じることができる。四季折々の景色も格別で、名勝として県指定も受けている。例年の紅葉の見頃は11月上旬から12月中旬で、紅葉の美しさから「もみじ寺」と呼ばれ広く親しまれている。

■新型コロナウイルス感染拡大予防対策
【屋内・屋外区分】屋外
【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/マスク着用/ゴミの持ち帰り



■【九州】くじゅう連山(大分県) / 例年の見頃:10月下旬〜11月中旬
※記載の内容は2020年のものです。
標高1791メートルの中岳を主峰とし、大船山、久住山など標高1700メートル級の山々が連なる九州第一位の高山地帯。「九州の屋根」とも称されている。国の天然記念物に指定されている春のミヤマキリシマも有名だが、秋には山肌が燃えるような赤や黄に彩られ、山麓の久住高原にはススキの穂が黄金色に輝く。くじゅう連山の堂々とした山容と一体となった雄大な風景は、見応え十分。

■新型コロナウイルス感染症防止対策
観光登山バスの運行中止



■監修:川原田邦彦(かわらだ・くにひこ)
茨城県牛久市にて大正6年に創業した園芸店・確実園園芸場のオーナー。東京農業大学造園学科を卒業後、樹木の育苗、造園など幅広く植物とかかわる。特にモミジ、アジサイ、フジについての知識が豊富で、「NHK趣味の園芸」にて講師としても活躍。「NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月カエデ、モミジ」、「NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 アジサイ」(それぞれNHK出版)など著書も多く、2020年3月にはイラストレーターの磯村仁穂と共著で「はじめてでも美しく仕上がる 庭木・花木の剪定」(西東社)を出版。
公式サイト:確実園園芸場

※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。