サイレントコメディと題したパントマイムのパフォーマンスで、世界39カ国に旋風を巻き起こした2人組“が〜まるちょば”。サングラスにスーツ姿でモヒカン刈りの髪を赤く染めたケッチが、“が〜まるちょば”での20年の活動に終止符を打ち、2019年に再びソロに転向した。ヨーロッパを拠点に即興演劇、クラウニングなどを学び直し、アーティスト活動に加え、演出やワークショップの活動も始めたケッチ。
昨年、コロナ禍の影響で緊急帰国したことをきっかけに、日本でのソロ活動を本格スタートさせた。その第1弾として、新しくフィジカルコメディと銘打った舞台「ケッチスケッチ」を兵庫県立芸術文化センターで上演。

パントマイム、クラウニング、マジック、即興、音楽などを盛り込み、年齢や国籍の壁を越えて観客を楽しませる舞台だ。実演を披露しつつ行われた会見で、言葉を使わず体だけの表現で笑わせるパフォーマンスへの思いと今回のソロ舞台への意気込みを語った。

【パフォーマンスを始めたきっかけ】
「自分が好きな手品やおバカな変顔をやると、みんなが喜んでくれたりするのが『あぁ、おもしろいな』と思って。最初はこんなのが仕事になるわけないと決めつけていましたが、90年代にパントマイムのフェスティバルでプロの先輩たちに出会って『わぁ、これでもやっていけるんだ』と。

その頃は既にパントマイムを習い始めていましたが、習った時よりもお客さんの前で演じることによって得るフィードバックや経験などで、どんどんどんどん好きになっていったという感じでした」

【海外での人気】
1999年に結成した“が〜まるちょば”のパフォーマンスは、日本での人気より先に海外で評価されていた。「海外の場合は、しゃべらないということをものすごく重宝してくれるし、称賛してくださるんですね。

世界を見回すと、もとから言語が入り乱れている国がほとんどで、普段から異言語のコミュニケ−ションは難しいと思っている人が多いから受け皿があるというか。逆に日本のように別の言語を聞くことなく1日過ごせるみたいな国は少ないんじゃないかなと思います。

そういうことも体感して、『あぁこれはおもしろい、ぜひこのおもしろさを日本でもやりたい』と思って、が〜まるちょば時代に日本でもやるようにして、だんだんハマっていきました」

【ヨーロッパで学び直す】
ケッチの“が〜まるちょば”最後の公演は19年3月31日。その4日後にはドイツにいた。「自分が若い頃、少しかじったけどちゃんとできなかったことがいくつかあって、そのひとつが即興演劇でした。

普段はカナダにいらっしゃる即興演劇の生みの親と言われているキース・ジョンストンさんという先生が、ちょうど僕がやめるタイミングにドイツで1カ月間のワークショップをやるというので、『わ、それは行かなきゃ』って申し込んで。ほんとにレジェンド、当時86歳で経験も豊富だし、おもしろいことを生み出した人なので人間的な魅力もすごくて、いろんなものを学んでとてもいい1カ月を過ごしました。

そのあとイギリスに渡って、英語のブラッシュアップのために田舎の町の語学学校に通いつつ、ロンドンのワークショップを受けに行ったりする生活をして、7月にまたフランスのクラウニングでものすごく有名なフィリップ・ゴーリエさんという先生のところでしばらく学んで。あとはイタリアでワークショップをやったり、ネタを思いついたら大道芸をやったり。

今年の3月からは、オーストラリアの劇団に頼まれてフィジカルな部分の演出の仕事やパフォーマーとしての仕事もしていましたが、だんだんパンデミックの状態になって3月末ぐらいに帰国せざるを得なくなって。日本では、イタリアでやったワークショップにとても手ごたえを感じていたので、ワークショップをやり始めたりしていました」
【フィジカルコメディとは】
“が〜まるちょば”ではサイレントコメディと題したが、新たにフィジカルコメディと銘打ってソロ活動を再スタートする。「フィジカルは体を使った表現ですね。それとコメディという言葉は絶対入れようと。パントマイムもフィジカルなので含まれると思いましたし、あとはクラウニング。日本ではピエロさんのイメージですね。

マスクがなかなか手から外れなくて四苦八苦する、みたいな、小さなことを一つずつすごく大切にした演技方法がクラウニングには多く、そういうパートが僕はとても好きなのでたくさん取り入れたいと思っています。お子さんたちは多分すごく好きだと思う。

とてもシンプルなんだけど、おもしろおかしいものをしゃべらずに見せていくクラウニング、それにジャグリングや手品も。技を見せるというよりも、パフォーマー、クラウン、マイムアーティスト、フジカルコメディアンとしてやっている僕を見てほしいなと思っています。自分1人、言わば『ケッチという人ですよ』みたいなショウなので」
【めぐりあわせの関西】
「“が〜まるちょば”結成前にソロで大道芸とかをやっていた時、東京に住んでいたので関東圏の仕事が多かったんですが、96年か97年ぐらいに初めての遠征で呼んでいただいたのが兵庫県、神戸アートビレッジセンターが開催したストリートイベントでした。

今回も“が〜まるちょば”の20年間を経て、またソロになって新しい舞台を作ってやれるのが兵庫県というのはちょっとびっくりしましたね。偶然だと思いますけど、おもしろいめぐりあわせで、なんかいいスタートが切れそうな予感がしています」

【公演内容】
「が〜まるちょばの時にやっていた、しゃべらないお芝居のようなことは基本的にはやらず、その場で全部理解できて楽しめるようなものを作りたいと思っています。フィジカルコメディの中で演目は決まっていますが、日々のお客さんとの掛け合いとかに即興の要素もたくさん入れたいですね。

もちろん、今はダイレクトにお客さんと絡むことが難しいので、どうなるのかわからないですが。20代の頃にずっとやっていたジャグリングとかも引っ張り出して組み込んだり、が〜まるちょばを離れてからいろいろ学んだことをショウに入れ込みつつ、できるだけおもしろい要素を詰め込んで、飽きないように1時間10分か20分ぐらいやれたらいいなと思っています」

【今回の公演への思い】
「まずは、楽しんでいただきたい、というのが一番です。で、マネできそうなこともたくさんあるので、そんなのを家に帰ってご家族に『こんなのやってたよ』って見せてあげるとか、子供たちが学校でマネしてくれたりとか。『なんかおもしろいね』『しゃべらなくてもいろいろ楽しいことができるね』『道具がほとんどなくても楽しいね』みたいな感じで、楽しくほがらかに帰っていただけたらと思っています。

あとは、クラウニングというパフォーマンスが日本でまだまだ根付いていないので、『あ、こういうのをクラウニングって言うんだ』というのも含めて楽しんでいただけたらうれしいですね」

【お客様へのメッセージ】
「『観に来てくださ〜い!』しか言えないですけど(笑)。楽しいショウにしようと思っています。が〜まるちょばが初めて関西公演をやる時に、いろんな先輩に『関西の人は笑いに厳しいから、お前らも痛い目合うぞ』って、さんざん言われていたんですが、蓋を開けてみたら、ビジュアルのギャグやパントマイムに関してはとてもやりやすくて。きっと相性がいいので、多分1人になっても楽しんでもらえるんじゃないかな。

あと、が〜まるちょばの時のお客さんは年齢が小学生以上の方でしたが、今回は4歳から観れます。4歳ぐらいの子供さんが来ても大丈夫なショウにしようと思っていますので、是非ご家族の皆さんで来ていただけたら、と思います。

それから、舞台上で僕はモゴモゴ言うぐらいなので、飛沫感染の恐れも少ないと思います(笑)。が〜まるちょばの時は『わぁ〜!』って盛り上げて、お客さんに無理やり声出させたりとかしていましたが、そういうことも今は出来ないので、どうぞ安心して観に来てください。是非是非、お待ちしています!」

●STAGE
フィジカルコメディ舞台
「ケッチスケッチ」

日時:11/27(土)14:30・17:30
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
作・演出・出演:ケッチ
料金:5000円 学生席3000円
問:キョードーインフォメーション 
電話:0570・200・888
公式HP:https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/2920

取材・文=高橋晴代

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