「お金のことをもっと勉強しなきゃ」「お金の使い方を見直したい」と思いながら、何から手をつければよいかわからない――。そんな“お金超初心者”に、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが “お金の基本のキ”を教える連載がスタート。アベナオミさんのマンガとともに、これからの時代に知っておきたい「お金の知識」をわかりやすく楽しくガイドします!

■コロナ禍で結婚式・新婚旅行なしのカップルは約3倍に
結婚と出産は人生の大きなイベントです。それだけにお金もたくさんかかりそうですが、実はそうではありません。お金が「かかる」のではなく、どれくらい「かける」かを、自分で、というよりも2人で決められるイベントです。

まず結婚です。あなたはどんな式をしたいですか?友人・知人をたくさん招いて派手な結婚式をしたい人から、ごく親しい人だけでこぢんまりと過ごしたい人、親兄弟などの親族だけで集まりたい人、2人だけで海外の教会で誓い合いたい人、入籍だけで式はしなくていい人まで、いろいろな考え方があるでしょう。

2020年1月からのコロナ禍では、式をキャンセルしたり延期したり、招待客などを含めた開催方法を変更した人も多かったようです。

アンケート調査(※1)によれば、新婚夫婦(結婚2年以内)は、約6割(58.8%)が結婚式・新婚旅行をしなかったとか。新婚でない夫婦(結婚2年超)では約2割(20.4%)ですから、なんと3倍です。調査は2021年10月に行われたので、新婚夫婦は2019年11月以降2021年10月までの結婚が対象。まさにコロナ禍の影響を受けたカップルです。
(※1)明治安田生命「いい夫婦の日」に関するアンケート調査

■大幅コストダウンが叶うオンライン結婚式を約15%が利用
仕事ではWEB会議システムなどオンラインを活用したテレワークが定着してきました。結婚式についてはどうでしょうか?式場や自宅から挙式などの様子をインターネットで配信するオンライン結婚式には、100%オンラインと一部オンラインがあります。

例えば自宅から2人で無料のWEB会議システムなどを使って配信し、参列者も全員オンラインなら会場費はゼロ円です。式場で挙式を行い、三密や他府県からの移動を避けるために参列者を限定して遠方の人など一部をオンラインにするケースでは、結婚式場や中継業者にもよりますが配信費用として30万円程度かかるようです。オンラインでも一体感を得られるように、同じ料理やドリンクを当日宅配するサービスもあります。料理の内容などにより一人当たり数千円から頼めるようです。

2020年4月から2021年3月に式や披露宴を行った人への別の調査(※2)によれば、一部オンラインを実施した人は15.5%となっています。
(※2)リクルートブライダル総研「結婚トレンド調査2021」

結婚するにあたり2人の意思を確認し、婚姻届けを出して法律上の手続きを行うなら、また2人の結婚をどの範囲まで知らせるかも考え方によりますが、親族や友人に伝えることができれば、式の方法や金額は2人で決めればいいのです。

■結婚の費用数百万円のうち実質負担は10分の1程度?
一般的には結婚の際は次のようなことに費用がかかります。結婚の準備として結納や両家の顔合わせ、婚約指輪など。結婚式そのものと披露宴、結婚指輪、新婚旅行など。ある調査によれば、婚約から新婚旅行までの費用を合計すると数百万円になるという結果も。ただし、これにはカラクリがあります。結婚式では通常、参列者からご祝儀を受取れます。また結婚資金を援助する親もけっこう多いので、ご祝儀や親からの援助を差し引いて、実際に2人が負担した費用は10分の1程度の数十万円です。あくまでもアンケートによる平均ですから、2人の考えとお財布事情をもとに、必要であれば親とも相談して検討しましょう。

結婚式と合わせてしっかり考えたいのが新生活の準備です。どこに住むか、家具やインテリアをどうするか。

住まいは、それぞれの仕事と通勤時間なども考慮して決めることになります。1人暮らしだったなら、その部屋で同居すれば住居費が増えずにすみます。勤務先の社宅、公営住宅への応募、実家での同居なども住居費を抑える方法として有効です。

■新生活にあたり購入する家具・家電の平均費用は59万円
もっとも費用がかかるのは、新たに賃貸住宅を契約して家具や家電などもすべて新居に合わせて揃えるパターン。新居への夢は膨らむと思いますが、収入に対する住居費の割合をなるべく小さくしておくことで他の費用にもお金を回せますし、結婚後の貯蓄をしっかりと積み上げていくことにつながります。いずれ2人の住宅を買いたいなら、そのためにも当初の住居費にはシビアになることをお勧めします。

家賃は共働きなら収入が多い方の手取りの20%、多くても25%以内に。出産で妻が一時的に仕事を休んで収入が減ることも想定しておきましょう。私自身の苦い思い出からのアドバイスです。また、家具や家電製品も使えるものは持ち寄って、当初は必要最小限にし、話し合いながら少しずつ整えていくほうが、互いの趣味や考えを知ることができます。

結婚は恋愛のゴールと言えますが、結婚生活は、ここからがスタート。いろいろなことを2人で体験して共に過ごしていくことになります。これからたくさんお金を使うことになるので、最初から貯蓄を使い過ぎないように。

ちなみに、新生活に関する調査(※3)によれば、結婚を機にインテリア・家具、家電製品を買ったカップルは約7割(66.8%)。家具はソファ、ベッド、カーテン類など。家電は冷蔵庫、洗濯機、掃除機、炊飯器など。平均の費用は59万円です。購入に際して優先した意見は「2人の合意」が2年前の調査よりも増えています。インテリア・家具、家電のいずれも買わなかったカップルも3割強(33.2%)存在します。調査の対象は20〜49歳の女性のうち1年以内に入籍した人です。
(※3)リクルートブライダル総研「新婚生活実態調査2020」

■全国平均なら出産時の入院・分娩費は給付金でまかなえる
さて、結婚して、妊娠したら、出産にはどれくらいお金をかけましょうか?

妊娠・出産には公的支援があります。病気やケガの医療費は3割負担ですみますが、出産は病気ではないので健康保険は適用にならず、正常分娩なら入院・分娩費は全額自己負担です。その代わり健康保険から「出産育児一時金」の給付を受けられます。給付の金額は通常42万円。これは全国平均の入院・分娩費とほぼ同額です。実際の入院・分娩費が42万円を超えた場合、超えた分は自分で払います。42万円未満ですんでも42万円もらうことができます。

つまり、全国平均よりも入院費が高い産婦人科を選ばなければ、入院・分娩費は給付金でまかなえるということです。

産婦人科の中には、一生に何度もない出産の期間を快適に過ごせるようにとホテルのような個室を用意したり、産後のケアを兼ねてエステが受けられたり、豪華な食事が出るところもあります。費用は当然高くなります。もちろん、経済的に余裕があり、それを望むなら選択することは自由。初産なら入院日数は1週間弱。その期間をどう過ごしたいか、そのためにいくら使うかは価値観次第。なんとなくとか、周りがそうだからではなく、自分たちで決めることが大事ですね。

■ベビー用品はレンタルやおさがりの活用で上手にやりくりを
妊娠がわかってから出産までは、定期的に産婦人科に通って合計14回程度の妊婦検診を受けます。その費用は1回数千円。多くの自治体で助成があるので、自己負担はわずかですみ、これに交通費がかかるくらいです。

妊娠が確定したら住所がある自治体に妊娠届を出すことで、母子健康手帳の交付と合わせて助成を受けるためのチケットなどをもらえます。

あとは、実家に里帰り出産をする人は、そのための交通費、そしてマタニティウエアや、出産後のベビー用品の費用です。

マタニティウエアやベビー用品は、すべてを新品で揃えるなら、それなりの費用がかかります。どんなものを選ぶかにより数万円から数十万円でしょうか? 上を見ればきりがないのはなにごとも同じ。一方、先に出産した親戚や知人にもらう、借りるなどすれば安くすみます。短期間しか使わないベビーベッドなどは、使用期間が終わったら置き場所や処分にも困るので、レンタルが一般的です。出産祝いをくれた人へのお返しである内祝いは、いただいた費用の3分の1から2分の1程度。これらの費用も、どこまで使うかは2人の考え方とお財布事情により決めましょう。

出産に続く子育ては、なるべくお金をかけないで育てることもできなくはないけど、どうしてもお金がかかる部分が出てきます。結婚や出産は2人の価値観でどれくらいお金をかけるかを決められますが、子育て費用は、子どもの性格や能力、本人の希望も尊重する必要があり、また大人になって自立して生きていくための教育の機会を確保するためにも重要です。失われた20年と言われるほどデフレ経済が長引いた日本において、教育費は他の物価と比較してもかなり値上がりしてきました。この傾向は今後も続きそうです。

子どもの養育費や教育費については次回、取り上げます。これを上手に乗り越えるためにも、結婚や出産を通して、お金の使い方に関する2人の考え方を擦り合わせておきたいですね。



【著者 プロフィール】
坂本綾子/ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所代表。 20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。 著書に「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!」(SBクリエイティブ)など。

【イラストレーター プロフィール】
アベナオミ/宮城県生まれ、宮城県在住。地元情報誌のデザイナーをしながらイラストレーターとしても活動。2016年にフリーランスに。著書に「マンガでわかる!妊娠・出産はじめてBOOK」(KADOKAWA)など。