「お金のことをもっと勉強しなきゃ」「お金の使い方を見直したい」と思いながら、何から手をつければよいかわからない――。そんな“お金超初心者”に、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが “お金の基本のキ”を教える連載がスタート。アベナオミさんのマンガとともに、これからの時代に知っておきたい「お金の知識」をわかりやすく楽しくガイドします!

■保険ショップ・ネット保険のメリットとは?
最近、保険ショップやネット保険の広告が目にとまりませんか?ここ数年、店舗数を増やしている保険ショップは、複数の保険会社の商品を取り扱っていて、相談内容をもとに適切な保険を選んで提案し、加入の手続きまでできることを売りにしています。一方、ネット保険は、インターネット上で保険料のシミュレーションから加入申込みまでできて、対面で入る保険より保険料が割安なことが売りです。

このあと説明しますが、保険の商品内容に大きな変化が起きていて、保険会社ごとに特徴があり、複雑な仕組みの保険も増えています。複数の保険会社の商品を比較しながら説明してもらいたい人は、保険ショップを利用する方法があります。ただし、その場で決めてしまわず、パンフレットや資料を一度自宅に持ち帰って冷静に検討しましょう。一方、ネットで検索して調べ物をするのが得意で、最低限の保障を割安に確保したい人はネット保険が候補となります。

保険に入る方法は、以前は1社の保険のみ取扱う保険外交員を通すのが一般的でしたが、保険ショップやネットにも広がっています。入り方だけではなく、商品内容も以前とはかなり違っています。民間保険を利用するなら知っておきたいことを紹介しましょう。

■医療技術の進歩、入院日数の減少にともない進化する医療保険
民間保険には、生命保険と損害保険があります。まずは生命保険から。

生命保険は、亡くなったときに保険金をもらう、病気やケガで手術や入院をしたときに給付金をもらうなど、人の命や健康が保障の対象です。

保障内容が「進化した」のが医療保険です。医療保険は、病気やケガで○日以上入院したら、入院○日目から入院1日当たり○○○円、入院して手術をしたら○○○円の給付金をもらえるというのが昔からある基本のパターン。保障は入院と手術でした。しかし医療技術が進歩して入院日数は減る傾向にあります。治療も、特にガンなどは手術ではない方法も増えてきました。

そのため、入院1日目から保障するなど短期の入院にも対応するようになり、通院での放射線治療なども保障する医療保険が出てきました。前回、社会保険と民間保険について説明しましたが、国が制度設計する社会保険に対して、民間保険は各保険会社が自由に商品を設計できます。そのため医療保険は、百花繚乱ともいえるほどバラエティに富んだ商品が登場しています。

■難易度高めの外貨建て保険はトラブルにつながることも
死亡保険金を確保する保険は、かつては貯蓄の役割も併せ持つタイプが主流でした。というのも、生命保険会社は加入者から預かった保険料を長期で運用するのが得意だったからです。生命保険は、例えば30歳の人が60歳まで加入すると30年もの長い期間、保険料を払い込むことになります。当時は金利が高かったこともあり、イザというときの保障を確保しながらお金も増やせる、つまり長期にわたる貯蓄にもなる保険が多かったのです。

ところが、長引く低金利で、預かった保険料を運用して増やすのが難しくなりました。円の資産で運用してもなかなか増えないので、外貨建ての資産で運用する外貨建ての保険が登場しました。為替変動が運用にどんな影響を与えるかを理解した上で利用すべき、難易度が高い保険です。よくわからないのに勧められるままに加入してトラブルが起きています。特に若い人は、まだ大きな保障は必要がないケースが多く、お金を増やす方法の選択肢も増えているので、勧められたからとすぐには飛びつかず、他の保険や方法と比較してしっかり検討することが大事です。

■生命保険は掛け捨てで、社会保険でカバーできない保証を目的に
こういった状況の中、どのように生命保険を選べばいいのでしょうか。基本的な考え方は、社会保険と民間保険の回で説明した通り、社会保険ではカバーされない部分に民間保険を使うことです。そして、「つみたてNISA」や「iDeCo」など運用専用でしかも非課税の特典がある制度が使える現在は、円建ての保険で保障と貯蓄の両方を確保するのではなく、貯蓄や運用は別立てにして、保険は掛け捨てで保障のみを目的にすることです。

死亡保障は、死亡という事実に対する保障ですから消費者にもわかりやすく単純です。子どもがいる人は、子どもの教育費として子ども1人あたり500万円〜1500万円を目安にします。掛け捨てのネット保険なら保険料が割安です。

保険診療の医療費が高くなることへの備えは社会保険(健康保険)である程度できているので、医療保険は、例えばがんの通院治療への保障など最近の医療に即した部分を追加したいときに使います。医療保険は、病気になると原則入れません。持病があっても入れる保険は保険料が割高です。持病が出やすい40歳前後になっても貯金があまりできていないなら、よく吟味して医療保険に加入しておく方法もあります。医療保険も掛け捨てにします。保障内容が自分にあっているか、保険料は家計に無理がないかをよく考えましょう。


■損害保険は保険金額の設定とオプション選択がポイント
次は損害保険です。

ここ数年、地震などの自然災害が相次いだことから、被害者に払う保険金が多額になり損害保険会社の収支が厳しくなっています。そのため火災保険や地震保険は値上がりしています。一方、自動車の安全性能が向上していることから任意加入の自動車保険料は値下がり傾向です。家や車を持っている人は、災害で自宅が損害を受けた、自動車事故を起こして相手を死亡させてしまったなど貯蓄ではとても支払えないリスクに備える損害保険への加入が必須です。

必要な保障をなるべく安い保険料で確保するには、保険金額の設定とオプションの選択がポイントです。生命保険では死亡保険金1000万円の契約をしたら1000万円の保険金を受け取ります。しかし損害保険は実際の損失を補償する仕組みなので、1000万円の保険金額で契約をしていても、損失が300万円なら支払われる保険金は300万円です。任意の自動車保険の対人賠償は無制限にすべきですが(高額な賠償になる可能性があるので)、それ以外は価値に見合う保険金額に設定します。また火災保険や自動車保険にはいろいろなオプションが付いています。住宅が高台にあり水災リスクがほぼないと判断できるなら水災の補償を外す、自動車保険なら自分の車の損害を補償する車両補償を外すなど。保障内容と保険料をよくよく検討しましょう。

新しい分野として、特定の少額の保障を提供する「少額短期保険」も登場しています。ペットの病気やケガの医療費に備える「ペット保険」などがあります。

確率は低いけれど、起きてしまったら困ることに備えるのが保険で、保険料は掛け捨てが保険の原則です。民間保険に入る際は、本当に必要な保障なのか、その保障に保険料が見合っているかを必ず考えましょう。




【著者 プロフィール】
坂本綾子/ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所代表。 20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。 著書に「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!」(SBクリエイティブ)など。

【イラストレーター プロフィール】
アベナオミ/宮城県生まれ、宮城県在住。地元情報誌のデザイナーをしながらイラストレーターとしても活動。2016年にフリーランスに。著書に「マンガでわかる!妊娠・出産はじめてBOOK」(KADOKAWA)など。