冥王ハデスが、不本意ながら婚活中…!?次々と現れる頭のネジが吹っ飛んだギリシャ神話の神々と、ハデスさまによる“こじらせラブコメディ”を描いた漫画『ハデスさまの無慈悲な婚姻』が、いまマンガファンの間で話題となっている。

本作に対してネットでは、「ギリシャ神話の神々って…軽すぎ!」「作画が本当に良い」「周りに振り回されるハデスさまの『解せぬ』が好き」といった風に、ギリシャ神話の常識を覆す意外性のある展開が話題に。そこで今回、冥界を舞台にした奇想天外なラブコメを描く漫画家・上地優歩さんにインタビューを行い、漫画制作の舞台裏について話を聞いた。

■なぜ 「冥王ハデス」のラブコメに?

――本作「ハデスさまの無慈悲な婚姻」では、神々の婚活を題材にされています。「神と結婚」を題材に決定するまでの経緯を教えてください。

【上地優歩】当時、私や周囲がまさに婚活をしていたんです。いろいろな面白いエピソードがあったので、漫画の元ネタになると思っていました。一方、ギリシャ神話は『美少女戦士セーラームーン』をきっかけに興味を持ってから、ずっと好きな世界観でした。星座占いの本を読んで、図書館でギリシャ神話集を読み漁る…という、女児にありがちな流れを辿って。そのあとは、阿刀田高先生の解説本などを読んでいました。

――「美少女戦士セーラームーン」が本作のバックボーンにあるんですね!では、「漫画にしよう」と具体的に意識したのは?

【上地優歩】自分の絵柄で独自の世界を表現するうえで、クラシックで流麗なギリシャ神話の世界観が合っているんじゃないかと編集さんから言われて、改めて意識をしましたね。それと、ハデスの結婚にまつわるエピソードが印象深かったので、ギリシャ神話を扱うなら「冥王ハデス」の話にしたかったんです。それで今の形になりました。

――「神と結婚」というテーマの中で、どのような取材活動をされていたのでしょうか。

【上地優歩】婚活については、自分や周りの体験が主ですね。ギリシャ神話は簡単な解説本しか持っていなかったので、本格的な資料は一から揃えて読み込みました。あと、藤村シシン先生がなさっているオンライン講座(古代ギリシャオンラインライブ講座)が非常に勉強になりました。

■今までにない冥界と神々を描く、その「画力」にも絶賛の声

――「絵がキレイ!」というレビューが非常に多いです。描き方で気を使っている点を教えてください。

【上地優歩】思いついた構図の中で、実力的に難しそうであっても一番いい構図を選びます。多少拙く整わなかったとしても、その方が雰囲気が出ていい絵になると思っていて、自分のイメージを最大化する作画をしたいと心がけています。あと、私はアナログ原稿で描き始めたので、デジタル作画に移行したあとは、線を整え過ぎてペンタッチなどの個性を失わないように気をつけています。

――本作のキャラクターデザインに関しては、どのような意識で描かれていますか?

【上地優歩】キャラクターに関しては、そのキャラクターが現実にいたらどういう顔でどういう表情をするか、ということを意識しています。頭の中で骨格や筋肉の付き方を意識して、その顔ならではの表情の動かし方を考えています。あとから参考にしようと思って画像検索などもしますが、その頃には頭の中でキャラの顔が決まっているため、そのままの骨格の方はなかなか見つかりませんね(ポセイドンだけはいました!) 。

――本作を描かれるさい、どのような苦労がありますか?

【上地優歩】その回毎に出すゲストキャラクターと、婚活や結婚にまつわるトピックをどのように重ね合わせるかが毎回難問です。

■そんな上地さんが「もっとも影響を受けた漫画」とは…?

――上地先生がもっとも影響を受けた漫画作品と、その理由を教えてください。

【上地優歩】やはり『美少女戦士セーラームーン』です。最初はアニメから入ったのですが、放送中にペルーに引っ越すことになり、観られなくなっちゃったんです。その後、単行本が新しく出るたびに祖父がペルーに送ってくれていたので、ずっとそれを読んでいました。四年間、『セーラームーン』漬けの毎日でした。可愛い女の子たちがそれぞれの個性を生かして活躍するので、夢中でしたね。今でも原稿にやたらとホワイトを飛ばしたがるのは、『セーラームーン』の影響です。

――「漫画家、やっててよかった〜!」と感じる瞬間はどんな時でしょうか?

【上地優歩】読者さんの反応をいただいた時ですね。その他に挙げるとしたら、単純に絵を描くことが好きなので、描いていられること自体がうれしいです。それと、周囲から「変わっているね」と思われるようなことでも「漫画家だからね」と納得してもらえるのも便利です。あと、毎朝出勤しなくてもいいことですかね。

――上地先生にとっての「結婚観」を教えてください。

【上地優歩】「割れ鍋に綴じ蓋」です。配偶者は唯一自分で選べる家族だと思っています。お互いの味方になれて、足りない部分を埋めあえて、一緒に生きていこうと思える相手とゆったり暮らすのがいいですね。

――最後に、本作の気になる今後の展開について、言える範囲で教えてください!

【上地優歩】コレ―や妃候補たちに出会って、ハデスさまにどのような心境の変化が生まれてくるか。そして、ハデスさまが自分自身の変化とどう向き合っていくかが見どころになると思います。

取材協力:上地優歩