学生時代、英語の授業に苦しんだ、英語で話しかけられたけど答えられなかった…英語に関して苦労した経験を持つ人は多いのではないだろうか?そんな英語が苦手という人も思わず笑って「なるほど!」と思うようなイラストが話題になっている。

描かれているのは、2021年の新語・流行語大賞にもノミネートされたイタリアの伝統菓子・マリトッツォ。パンにたっぷりと生クリームが挟まった食べ物だが、このイラストに描かれているマリトッツォは少し様子がおかしい。クリームがパンの中に挟まって“イントッツォ”、クリームがパンの上にのって“オントッツォ”…と英語の前置詞のイメージを生クリームとパンの関係性で示しているのだ。

このイラストには「英語を勉強している時にこれがあったら」「おもしろすぎる」と大きな反響が集まった。イラストを作成したのはこあたんさん(@KoalaEnglish180)。こあたんさんはオーストラリア在住で、英語の解説イラストや動画をTwitter、Instagram、YouTubeで発信しており、日常生活に使える英語が身につくと評判だ。2022年1月には『これを英語で言えるかな?こあら式 意外と知らない英単語図鑑』を出版し、ベストセラーになっている。こあたんさんに、このイラストが生まれたきっかけや、なぜ英語情報について発信しているのかを聞いた。

■あまり英語に興味を持っていない人にも見てもらいたい

こあたんさんが英語について情報を発信するようになったのは、英語に悩んでいる人の役に立てたらという思いがあったからだという。

「オーストラリアで生活するようになってから英語を勉強し直し、日々学んだことをノートにまとめていたのですが、これをネットで公開したら同じように英語で悩んでいる人たちのお役に立てるかもしれないと考えたんです。私はネイティブでも帰国子女でもなく、日本で英語を勉強したのですが、だからこそ、英語が苦手な人に寄り添った発信ができると思っています」

こあたんさんが英語解説のイラストを制作する時に大事にしていることは3つあるという。

「1つ目は英語学習者が『そこが知りたかった!』と思えるポイントを突くネタを選定すること、2つ目は極力文字を読まなくても直感的に理解できるようにすること、そして3つ目は楽しく学べるようにユーモアを交えることです」

そうして生まれたのがマリトッツォのシリーズ。「流行のマリトッツォを使うことで、あまり英語に興味を持っていない方にも投稿を見ていただけると思った」という狙い通り、前置詞を解説したイラストは2000万を超えるインプレッション(表示回数)があり、32.5万いいね(2022年5月時点)を獲得した。

■リスニングができず、“How are you?”すら聞き取れなかった留学時代

今でこそ、英語についてさまざまな発信をしているこあたんさんだが、英語で苦労した経験があるという。

「学生時代は真面目に勉強していたので、学校の授業としての英語は苦手ではありませんでした。特に高校3年生の夏休みは猛勉強したので、センター試験の英語ではほぼ満点を取れるレベルでした。ただ、リスニングは勉強の仕方が全然わからず、ほぼ手付かずで臨んだので、本当に何も聞き取れずに全て適当にマークしたのを覚えています。大学生になってからカナダに留学をしたのですが、英会話となるとまったくできなかったので、本当に苦労しました。最初はスーパーのレジのお姉さんの”How are you?”すら聞き取れず、何度も聞き返してキレられた思い出があります」

イギリス英語とアメリカ英語では発音や単語が異なるというのはよく知られているが、こあたんさんが現在住んでいるオーストラリアも独自の英語表現がある。この違いにも苦労させられたそう。

「アクセントはもちろん、使う単語自体が違うこともたくさんあって、赴任当初は本当に大変でした。今でも地方のお客様とお話すると聞き取れないことがよくあります。オーストラリアではAの発音が“エイ”ではなく“アイ”のような発音になることは有名ですよね。赴任して間もない頃、お客様のオフィスで『会議室Aでお待ちください』と言われたのを“会議室I”だと思ってしまい、会議室がDまでしかなくて混乱したことがあります」

しかし、日々これだけ英語について発信し、英語に関しての書籍も出版されているのなら英語力に自信がついたのでは?

「正直、未だに自分の英語には自信があるわけではありません。いつも一緒に働いている同僚の英語も100%聞き取れるわけではありませんし、分からない単語だってまだまだたくさんあります。英語を勉強すればするほど、分からないことや勉強したいことが増えていくんです。もう20年近くも英語を勉強していますが、『わかったかも!自分そこそこできるじゃん!』と『いややっぱり全然分からない…。まだまだだな』の繰り返しです。これからも頑張って勉強します」

この向上心の強さが、こあたんさんの英語イラストや解説動画のわかりやすさに繋がってるのだろう。

■「世界中のどこでも楽しく生きられるという価値観を、英語を通じて伝えたい」

英語について精力的に発信しているこあたんさんだが、一番伝えたいのは英語そのものではなく、「世界中のどこでも楽しく生きられる」という価値観なんだそう。

「“世界中のどこでも楽しく生きられる”ために必要な知識、スキルは英語に留まりません。お金、健康、SNS、コミュニケーションなど、いろいろな知識・スキルが必要になってくると思うので、それらの知識をワンストップで楽しく学べるようなサービスを提供し、多くの日本人の人生を豊かにし、“優しい世界”を実現することが私の夢です。子供教育のキャラクターといえば“しまじろう”だと思うのですが、『大人の教育といえば“こあたん”』と認知されるようになることが目下の目標です」

最後に、英語学習者の方へのメッセージをもらった。

「英語をマスターすると、本当に世界が変わります。世界中に友達ができる、海外のコンテンツを楽しめる、世界で仕事ができるなど、人生の選択肢が増えることでより楽しい世界が広がっていきます。これまで挫折してしまった方にも、『もう1回だけやってみようかな』と思えるような、楽しく学べるコンテンツをこれからもお届けしていきたいと思っていますので、一緒に頑張りましょう!」

取材・文=西連寺くらら