Instagramで「1日1分で時短を叶えるPC術」を発信している、がじゅ(@gaju__base)さんは、6000人企業の経理を担当している会社員インフルエンサー。エクセルを中心としたパソコン時短術を披露しており、2022年3月にスタートしたばかりだが早くも10万人以上からフォローされるほどの大人気アカウントに。”エクセルの救世主”として活躍している。

エクセルのテクニックといえば、分厚い1冊の本になるほど多彩なのはご存じの通り。覚える前に挫折する人も多いはずだ。そこで今回は、がじゅさんが「この技は特に時短効果が大きい」「知っていると便利」と感じているものだけを厳選。覚えきれない人でもすぐ使えて効果的な技を紹介してもらった。

まずは、がじゅさんが実体験の中から「時短効果が抜群」とおすすめする5つの技から。

■(1)一撃合計ショートカット 「Alt」+「Shift」+「=」
合計したい数字の列がある場合、その一つ外側の「合計欄」にあたる部分もまとめて選択して「Alt」+「Shift」+「=」を押すと、縦の列も横の列も一瞬で合計が出る。

「普通は1つ1つ小計を出して、最後に合計を計算すると思いますが、その全部が一瞬で計算される神ショートカットキーです!これを知らなかったころの自分は本当に効率が悪かったですね…」。まさに表計算の救世主ともいうべき技だ。

■(2)文字編集のショートカット 「F2」と「F4」
あるセル内の文字を入力する時に、普通はダブルクリックする人が多いはず。ところが、まず該当セルを1回選択して「F2」を押すと、ダブルクリックしたのと同じように編集できるようになる。

「ショートカットキーをよく使う人は、キーボード上に手を置く時間が長くなります。だから、わざわざマウスを使ってダブルクリックするのは本当に面倒!F2キーを使うとキーボードだけで処理できるので時短につながりますね」

また、同じ作業の繰り返しができる「F4」も便利。例えばたくさんのセルを塗りつぶす時、マウスで何度も色を選択し直さなくても、F4キーを押せば、直前に塗った色と同じ色を塗ることができる。

「一見地味ですが、長期的に考えるとかなり効果があるショートカットキーです!私自身もほぼ毎日使っています」

■(3)日付・時刻を自動的に入れてくれる  「Ctrl」+「;」と「Ctrl」+「:」
あるセルに日付を入れる時は「Ctrl」+「;」を、時刻を入れる場合は「Ctrl」+「:」と打つだけで、わざわざ調べて数字を打たなくても自動で入力される。

「日付と時刻を入力する機会は結構あると思うのですが、わざわざカレンダーを見て手入力するのはかなり面倒ですよね…。この2つのショートカットキーを使えば一瞬です!」

■(4)日付の後ろに自動で曜日を付ける 「(aaa) 」
曜日を付けたいセルで右クリックして、「セルの書式設定」を開く。そこの「ユーザー定義」から、種類(yyy/m/dなど)にある日付の後ろに「(aaa)」と入力すると、そのセル内に自動で曜日が表示される。

「また日付関係の技ですが、曜日もカレンダーで調べて手入力するのは面倒。その手間を省いてくれます」

■(5)数式から外れたセルを一瞬で見つける 「数式の表示」
集計作業の時に、「あれ?合計が合わない…」「どこかのセルが、計算式から外れてただの文字列になっているのか?」と戸惑う場面はよくあるのでは。その時に、全部の数式を調べなくてもいい方法がこれ。「数式」を選択し、「ワークシートの分析」の中にある「数式の表示」を選択。すると、数式に入っていないところだけが普通の文字や数字になっているので、すぐ見つけられる仕組みだ。

「この技を使うと、一瞬ですべての数式が表示されるので、間違っている(数式が入っていない)セルをすぐ見つけられます!1つ1つ数式を確認していくと何時間も費やしてしまうことに…。大量のデータを処理される方にぜひ使用してほしい技です」

この”犯人セル”をすぐに発見する方法に、フォロワーからは「前から知りたかった」「神です!」など喜びのコメントが寄せられた。

続いて、がじゅさんが「意外と知られていないけれど、使ってみると実は便利だった」と感じた、誰でも使える簡単なテクニックを3つほどご紹介!

■(A)保存忘れを簡単に復旧する方法
「保存を忘れて画面を閉じてしまうと『やってしまった、やり直しか…』と地獄のような思いをしますよね。これ、実はデータが残っているかもしれないんです。可能性にかけてチャレンジしてほしい技です」

まず上書き保存しなかった場合。
1…「情報」を選択 
2…「ブックの管理」の右にある「自動回復ファイル」を選択。
作成した日のデータが残っているかをここで確認する

続いて、一度も保存せずに閉じてしまった場合。
1…「情報」を選択 
2…「ブックの管理」を開く 
3…「保存されていないブックの回復」を開く
表示された画面の中に保存したいファイルがあればOKだ。

■(B)入力してほしくないセルに、ロックをかける方法
「請求書の様式など、『このセルにだけ入力して欲しい(ほかのセルは触ってほしくない)』という時に使える技です。そうすれば、『ここに数式が入っていたのに、上書きされている!』という現象を防ぐことができます」

まず、初期状態ではすべてのセルにロックがかかっているため、いったんロックを外しておこう。
続いて、
1…請求先や商品情報、請求日などを除いて、ロックをかけるセルを選択する
2…「ホーム」タブから「書式」を選択。表示された項目から「セルのロック」を選択
3…「ホーム」タブから「書式」を選択。表示された項目から「シートの保護」を選択
4…「シートの保護」を押すと表示されるユーザーに許可する操作の一覧から必要な項目を選択する。初期設定でチェックが入っている項目以外は、特に必要がなれでば選択しなくてもよい
5…「シートの保護」を押すと表示されるユーザーに許可する操作の一覧から必要な項目を選択し、解除のためのパスワードを設定する。

■(C)完了したセルだけを、自動で色付けして分かりやすくする技
スケジュール表で、作業が完了した行だけ自動で色を付けられる機能。「これは僕も毎日使っているんですが『条件付き書式』という機能を使って、完了と入力した行だけを色付けすることができます。毎日のタスク管理がかなり見やすくなりますし、作業漏れも防ぐことができるので、ぜひお試しいただきたい便利技です」

1…スケジュール表などの状況を入力するセルを選択し、「データ」タブから「データの入力規則」を選択
2…「条件の設定」の「入力値の種類」は「リスト」を選択。「元の値」には「作業中,完了,」と入力
3…スケジュール表などを入力しているシートの「ホーム」タブを選択。「条件付き書式」から「新しいルール」を選択
4…「ルールの種類を選択してください」欄から「数式を使用して書式設定するセルを決定」を選択。「ルールの内容を編集してください」の欄には『=$C3=”完了”』 と入力する(3列目の状況が「完了」であれば書式を変更するという意味 ※状況を入れたのが3列目の場合)
5…同じ画面の『書式』ボタンを選択。「フォント」から文字色を選択する。「塗りつぶし」からセルの色を選択し、下にあるOKを押して完了

実はほかにもおすすめの技はたくさんあるが、文章にすると煩雑になってしまうものが多く今回は割愛。気になる人はがじゅさんのアカウントをチェックしてみよう。

■残業が多い職場を改革したいとの思いからエクセルをマスター
パソコンが苦手な普通の会社員だったというがじゅさん。エクセル歴は10年程度で、本格的に勉強し始めたのはつい2年ほど前とか。「元々残業が多く、なんとかできないかなとは薄々思いながら、忙しさを理由に何もせず効率の悪い業務を行ってきました」

そんながじゅさんが、作業の効率化に目覚めたのは「働き方改革」だった。「これまでは残業すればいつかは終わっていたのですが、働き方改革の名の元に『早く帰れ!』と言われ始めたんです」。そう言われても、業務量は相変わらず多い。どうやったら早く帰れるのか、同僚と協力して時短効果が高いと思われるExcelの集計作業などの見直しを行った。

すると、これまで知らなかっただけで「実は効率化できる作業がこんなにたくさんあったのか!」と多くの気づきを得ることができたという。結果、作業時間は大幅に短縮でき「(残業が)0になるほどではありませんが、非常に効果が大きかった」と振り返る。

そこで、「全国的に同じような状況の方が多いのでは」という思いからSNSでの発信を始めたそうだ。

■とにかく分かりやすく。「学ぶ」ではなく「気づいてもらう」
がじゅさんのInstagramは、シンプルなデザインと簡潔な紹介方法も特徴の一つ。予備知識がなくても簡単にできそうな雰囲気があり、「自分もやってみたい!」と思わせてくれる。

「がっつり勉強したい!という方はすでに専門書を読んだり、スクールに通ったりしていると思うので、そのニーズとは差別化を図っています。自分から勉強したいという方と違い、一般の方は『自分が何を分かっていないのか』がそもそも分からないはず。そんな方に向けて発信しています」

なんとなくInstagramを見ているようなユーザーにも取っつきやすいように“文字は多すぎず”“専門用語を避け”“空白を多めに”“できるだけ簡潔に”など、たくさんの工夫を盛り込んでいる。「このアカウントでは『あっ、こういうのもあるんだ!』という便利技を発見してもらう場の提供を心掛けています。『学ぶ』というよりは『気づいてもらう』という感じですね」

今後もいろいろと計画を練っている。「これからはエクセルに限らず、ワードやパワポ、そのほかやってよかった仕事術など、幅広くシェアしていきたいです」と語る。

さらに「自分好みの色に変えられる『ショートカット一覧表』」と「デスクに収納できる『ショートカット集』」を、7月にWEBにて発売した。「いつも楽しみに見てくださるフォロワーさんに感謝して、これからも一緒に生産性を上げていけたらと思っています。このアカウントで少しでも多くの方の『働き方改革』が進むことを願っています」

取材・文=澤田佳代