SNSが普及し、いつでもだれでもコミュニケーションや情報発信ができる時代。便利になった一方、炎上や、ネットストーカー、いじめといった、WEB上での犯罪やトラブルも後を絶たない。そうしたSNS上の事件に切り込む“SNS探偵”の活躍を描く漫画が、ヤンマガWeb(講談社)にて連載中の『SNS探偵オノノキツカサ』(原作:カレーとネコ 著:馬酔髙)だ。

SNSに特化した探偵の真新しさと、ネットを舞台に巻き起こる厄介ごとの生々しさが話題を呼んでいる本作だが、原作者のカレーとネコ(@kareneko02)さんが自身のTwitterに投稿した番外編にも多くの反響が集まっている。

■飛び降りようとする漫画家の前に現れた「SNS探偵」、どんでん返しの結末に涙
6月に投稿され1万1000件以上のいいねを集めた短編漫画「悩める漫画家を救え」。SNS上に自殺予告を投稿した女性漫画家のもとに、SNS探偵の「オノノキツカサ」が現れるところから話ははじまる。

SNSを巡回し、自殺をほのめかす投稿を繰り返していた漫画家「ヨビノ」をマークしていたオノノキ。投稿の中にあったイラストがそのカウントダウンであることを推理し、それを食い止めるためにヨビノのもとへやってきたのだった。

写真投稿の中にあった建物名から場所を導き出したというオノノキに、「大崎ハイツなんてよくある名前よ」といぶかしがるヨビノだったが、オノノキはこともなげに「お前の漫画の背景 あれはこの街の写真を加工したものだ」と、作品から特定したと答える。

そしてオノノキは、彼女に「死ぬ気ないだろ?」と問いかける。「お前の漫画に毎回リプくれるファンもいるじゃないか」と語りながら、オノノキはヨビノは自殺をやめさせるための「交換条件」を持ちかける。

その内容は、「お前がSNSにあげるたび必ずいいねとRTをする」というもの。さらに、漫画が掲載されれば発売日に雑誌を購入し、感想やアンケート、ファンレターも送り、周囲へ作品をすすめる活動も辞さない、理想のファンのように振る舞おうというのだった。

死を願う理由が「漫画家として満たされないから」と見抜き、承認欲求を満たしてやるから自殺をやめろというオノノキの前で、しかしヨビノは飛び降りてしまう。彼女は死ぬ気がないのではなく、「誰かの前で満たされた状態で」死にたかったのだ。

だが、すんでのところでオノノキが彼女の体を掴んだことで、飛び降りは未遂に。「なんで私なんかにここまでするの?」と訊くヨビノに、オノノキは「まだわからない?」と一言。そしてヨビノは、オノノキの「お前の漫画に毎回リプくれるファンもいる」という言葉を思い出し、その“ファン”が目の前にいる男であることを悟るのだった。

■短編に込めた「悩める創作者への励まし」
Twitterユーザーからは「めちゃくちゃいい漫画でした」「全てが伏線!お見事」など反響が集まった本エピソード。創作者として当たり前にある承認欲求だが、それを時に膨れ上がらせてしまうSNSの負の側面と、欲求作者とファンとの距離が身近だからこその“解決”を描いた、まさにSNS時代ならではと言える鮮やかな探偵劇だ。

作者のカレーとネコさんによると、「自身も含めて悩む創作者の方に向けて、励ましになればと思ったのが描くモチベーションのひとつにありました」とのこと。その思いを軸に、探偵ものならではの推理やどんでん返しを加えていったという。

6月に単行本第1巻が発売された本編の『SNS探偵オノノキツカサ』でも毎話意外な展開を盛り込んでいるというカレーとネコさん。今回の番外編は、そうした本編の持ち味の一端も垣間見られる短編だ。なお、カレーとネコさんのTwitterアカウント上では、紹介した番外編漫画のほか、本編の第1話も無料公開中だ。


取材協力:カレーとネコ(@kareneko02)