「やれやれ、今日も残業で帰るのが遅くなってしまったよ」コンビニ袋を抱えて家路を急ぐねこ。連日深夜まで残業が続き、今日が何日なのかもわからなくなって賞味期限が切れのパンを食べ、また朝がくるという恐怖と闘う日々。そんな心身ともに疲れ果てた残業ねこが、ある日「転職してぇ!」と決意。そこから、転職先を見つけるまでを描いたあおいし(@ao144444)さんのリアルエッセイ「残業ねこ」をお届けしよう。


■何のために生きているのか分からなくなる「残業ねこ」
2022年の6月から投稿をスタートした本作。どこか憎めない表情のねこが主人公のリアルエッセイだ。定時で上がれるのは奇跡。ストロング缶や半額になった寿司を食べて、自分に「ご褒美」を与えながら、明日の仕事も頑張ろうと鼓舞させていた。

早く帰れる日はスーパーに寄ったり、「いつかは…」と雑誌みたいな丁寧な暮らしに憧れる残業ねこ。しかし、夢と現実はほど遠く、毎日コンビニ飯を食べている。ある日、早く寝ないといけないのはわかっているのに、明日がくるのが怖くて眠れなくなった。心も体も限界を迎えたのを感じた瞬間だった。

アルバイトの時から数えると勤続年数は計15年になるという、残業ねこ。会社ではかなりの古株になる。そんな残業ねこも、とうとう「転職してぇ!」と一念発起することに。

まずは、転職サイトに登録。しかし、一週間経っても企業からスカウトがくる気配はない。自分の市場価値のなさを実感し、「何か資格を取らなくては!」とFP(ファイナンシャルプランナー)の勉強を始めることにした。

FPの資格を取るために勉強しながら、並行して転職先へ応募、現職の残業と多忙を極めた。転職はそう簡単ではない。書類選考に落ちすぎ、不採用通知メールにも麻痺したある日「書類通過」のお知らせが届く!

紆余曲折を経て、残業ねこのもとに「採用通知」が届いたのが、本作の最新版。転職先が決まり、会社を無事に退職できることがわかって、Twitterでは多くの人から祝福の声が届いている。

■安月給で残業ばかりの日々に疲れた残業ねこの夢は?
そこで、今回ようやく「退職」の一歩を踏み切ることができた、あおいしさんに今の気持ちを伺った。

――現在の会社は、どのような形で入社したのですか?勤年数はどのくらいですか?

現在の会社にはアルバイトから入社し、そのまま社員になりました。勤続年数はアルバイトの時期から合わせると15年になります。

――かなり深夜残業が多いようですが、離職率が高い職場ですか?

離職率はかなり高い会社です。各部署、数カ月ごとに社員が辞めていきます。

――同じように転職を迷っている人もいると思います。あおいしさんの転職の決め手は何でしたか?

精神的・体力的にも衰弱してしまい、このままこの会社で働き続けたら死んでしまうと思ったからです。自分を守るためにも、転職を決めました。

――あおいしさんにとって「漫画を描く」ということは、どのような意味がありますか?

私にとって「漫画を描く」ということはデトックスに近いです。辛いことや悲しいことを漫画にして吐き出しています。SNSで公開することで、共感をいただけるのはすごく嬉しいし、救われます。

――では、今後の目標を教えてください。

会社員と兼業しながら、WEBで漫画連載をするのが目標です。ウォーカープラスさんで連載したいです…!

――その他に描いている漫画を教えてください。

今は「残業ねこ」シリーズに絞って漫画を描いています。転職が成功したら「定時ねこ」シリーズに変更するつもりです。

社畜の辛さや転職の難しさを描いた本作。リアルすぎる現実だが、愛らしいねこのキレキレな叫びも面白く、スイスイと読み進めることができる。面接や資格試験の話もアドバイス付きで、学ぶことが多い。今日が何日がわからなくなって、賞味期限切れたパンを食べ出したら「転職」のタイミングかもしれない。


取材協力:あおいし(@ao144444)