子供の頃から漫画が好きで、ユーモア溢れる漫画を描いている宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さん。Twitterにて公開された「夜逃げ屋日記」は、DV被害などに遭う依頼者を夜逃げさせた実話を基に描かれた人気漫画だ。

今回は、Twitterに投稿されている「夜逃げ屋日記」の中から反響の高かった3つの作品を紹介!



■毒家族から逃げて新たな一歩を踏み出す依頼者
まず紹介する作品の依頼者は、村田敏夫さん。兄は頭がよく両親から溺愛されていたが、そうでない村田さんは両親から虐待されて育ったという。昨年に父が他界、母も寝たきり状態になり、夜逃げを決意。現在実家暮らしの村田さんの夜逃げ時間は、たったの30分。何度か夜逃げをキャンセルした経験があり、前回のキャンセル理由は前日に自殺未遂をしてしまったことだった…。30分でなんとか荷物の搬出が完了し、新居で新たな人生をスタート。家族のしがらみを必死で断ち切ろうとする切ない作品。


■旦那のDV被害に遭う妻が息子とともに夜逃げを決意
次の作品の依頼者は、石田理恵さんと息子のトモキ君。旦那さんは外ヅラがよく近所では人格者で知られているが、家庭内では妻や息子に暴力を振るっていた。暴力がトモキ君にも及び始め、その状況に耐えられず、今回夜逃げを依頼してきたようだ。夜逃げの当日、依頼者を訪ねると理恵さんの左目には大きなあざがあり、その深刻な状況を物語る。親子二人で幸せな人生の一歩を踏み出す感動の作品だ。


■社員寮から退寮を迫られる不幸な依頼者!?
最後の作品の依頼者は、大崎ノブコさんと息子のソウスケ君。シングルマザーでソウスケ君を育てているが、病弱のソウスケ君の看病のために仕事が休みがちになり、ついに年末に解雇されてしまう。現在住んでいる社員寮は、年始の営業日までに引っ越さなければならない状況だが、大崎さんは次の給料日まで依頼料が支払えないとのこと。危機的な状況を見かねたスタッフの宮野は、こっそりと大崎さんにお金を貸してしまう…。しかし、その後大崎さんから貸したお金が返って来ることはなく、恩を仇で返されるような悲しい作品。


現在も夜逃げ屋のスタッフとしての顔を持つ宮野シンイチさん。著者にどんな人が夜逃げ屋を利用するのか聞いてみると、「僕の経験した限りですが、精神的に追い詰められている方が多いように感じます。1秒でも早くここから出たいような感じですね」と話してくれた。

12話から登場する大崎ノブコさんは、宮野に借りたお金を一円も返さなかった。借りたお金を返さないような人について伺うと、「怒りを通り越して呆れるとよく聞きますが、その時は通り越さずに怒りの感情でいっぱいでした。ただ、警察が来るとさすがに冷静になり、絶望しました」と話す。

さまざまな事情を抱えた依頼者が登場する今回の作品。Twitterでは他のエピソードも投稿しているので、気になればぜひ読んでほしい。



取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)