「3位だったけどママには金メダル」、がんばった子供につい言ってしまいそうな言葉ですが、そんな褒め方は失敗を恐れる大人を育てる可能性があるそうです。斬新な教育法を提唱し注目されている、小学校教諭の沼田晶弘さんが子供の褒め方について話しました。

テレビ静岡で2月25日に放送された「テレビ寺子屋」

失敗した自分も受け止めて

東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘さん:
「子供を褒めて伸ばしましょう」と、よく言われています。褒めないと自己肯定感が下がり自信がなくなって、何もできなくなってしまうのではないかと恐れ、「なんとか褒めないと、褒めたほうがいいに違いない」と褒める。

本来「自己肯定感」とは「成功だけではなく、失敗したこともすべて受け入れて自分を肯定できる力」のはずなのに、なぜか失敗すると自己肯定感が下がると感じている人がかなり増えているように思います。

「3位でもママには金メダル」はダメ?

自己肯定感を高めるために、何でも褒めていいのでしょうか? こんな投稿を見たことがあります。

「運動会、うちの子は頑張って練習したけど3位でした。だけど頑張ったからママの中では金メダルだよ!」

3位はママの中でも銅メダルであってほしい。金メダルに変えてはダメなんです。なぜなら、銅メダルは悪いことではないから。勝負したから負けたのです。でも、自己肯定感が下がってしまうと思い、すかさず金メダルに変えてしまう。それでは、ちょっと失敗したら「もうダメだ」という大人になってしまいます。

転んだら立ち上がる力の方が大事

僕は「自己肯定感」を高めるよりも、「自己効力感」を鍛えていったほうがいい方向に行くのではないかと思っています。「自己効力感」とは何かというと、「自分はできるんだ」という力、「転んだら立ち上がる」力です。この力をどうやって育てていくのでしょう。

まずは「達成経験」。自分が成功したり達成したりしたことがある。以前やって上手にいったという経験です。

漢字テストで初めて満点を取ると、他の教科も上がり始めることがあります。勉強したらできるようになるとか、練習したら上手になるんだという経験を積むと、他のこともそうしたらできるんじゃないかと思うんですね。

それから「代理経験」。これは、他人が何かに成功したり達成したりするところを見ている。「友達がやってうまくいったから、自分もできるんじゃないか」ということです。

このような経験を通して「自分はできる」という力を鍛えていけば、他のことにも生きてくるのです。

「褒められ方」の練習を

では「褒め方」はどうしていけばいいのでしょうか。

実は人間には「褒める力」が標準装備されています。良いものを見たら「いいね!」という力はすでに持っているのです。

でも日本では褒められた時になかなか嬉しそうな顔ができない人が多いように思います。つまり、必要なのは「褒め方」ではなくて、「褒められ方」の練習なのです。

毎回のようにお土産を受け取る人、職場の机の上にお菓子がやたらと置かれる人、あなたの周りにいませんか? なぜでしょうか? 嬉しそうだからです。褒めたときに喜ばれたら、褒めた方も「褒めて良かった」と幸せなのです。

褒められ上手になろう

褒め方の教科書はもういらない。みなさんが日頃からニコニコする、褒められたら喜ぶ、もらったらうれしい、おいしい時はおいしいという顔をしていれば、きっとお子さんや部下は笑顔が上手になる。

そして、笑顔が上手になったお子さんや部下をまた褒めたくなる。そうすると、とっても良いスパイラルが生まれますね。

褒められたら喜ぶ、みなさんも今日からぜひやってみてください。

沼田晶弘:東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカの大学院で学ぶ。スポーツ経営学の修士を修了。児童の自主性、それを引き出す斬新でユニークな授業が数多くのメディアで話題となる。著書多数。

※この記事は2月25日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。