2023年のボルボは攻めに攻める! クルマもラインアップも大幅に進化してるぞっ!!

この記事をまとめると

■ボルボが2023年モデルでこれまでのグレード体型を変更した

■グレードは「プラス」「アルティメット」のふたつになり、「ベース」「ブライト」「ダーク」のエクステリアテーマを用意

■リチャージはプラグで充電することができるモデル(=EV/PHEV)のサブネームとなった

2030年の全車EV化へ向かう道中も手を抜かないボルボ

 2030年までに全車を100%ピュアEV(以下、BEV)にするとアナウンスしているボルボだが、その計画は着々と進行しているようで、2020年にはすべてのモデルの電動化を成し遂げているのはご存じのとおりだ。そして昨年7月に、日本に導入される2023年モデルが発表となっていて、そこでもパワートレインなどにも進化があって、100%ピュアEV化を推し進めつつも、これまでのハイブリッド系にもまったく手を抜いてないことがわかる。

 2016年に2代目XC90が導入されたのを皮切りに、すべてのモデルがそれまでとは雰囲気の大きく異なる新世代のデザインをまとって上陸を果たし、いまやボルボは完全にドイツ御三家“じゃない”プレミアムブランドとして根強い人気を得ている。今回はやたらと変更点の多かった2023年モデルについて整理しつつ代表的なところをお伝えし、あわせてパワートレインにも触れていこうと思う。

 まず2023年モデルでは40シリーズ、60シリーズ、90シリーズのすべてに共通する変更点があって、ラインアップのグレード名がガラッと変わった。従来はベーシックな“モメンタム”、上級グレードの“インスクリプション”、スポーティな“Rデザイン”という内外装まとめてのグレード構成だったが、今回から基本がスタンダードといえる“プラス”と最上級の“アルティメット”の2グレードとなり、装備などのトリムレベルについては、プラスが従来のモメンタム、アルティメットはインスクリプションに相当するという。

 ちなみにXC40のみ中間グレードとなる“プラスプロ”が設定されていて、どうやらこちらが従来のモメンタムに相当、プラスは従来の車名の後ろに何もつかないモデルのような同様のトリムレベルになるようだ。

 エクステリアのデザインテーマは3種類が用意されていて、“ベース”、“ブライト”、“ダーク”と名づけられている。それぞれ従来のモメンタム、インスクリプション、Rデザインに相当すると考えていいだろう。ベースに対してブライトはエレガンスを、ダークは精悍さをテーマにしたディテールが与えられている。それぞれモデルやグレードごとに組み合わせが異なるので、こうして文字にすると複雑に感じられるかもしれないが、ぶっちゃけ、カタログを見ればすぐにわかることだろう。

 また、従来は40シリーズのBEVモデルであるC40にのみつけられていた“リチャージ”というサブネームだが、今回からは“リチャージ=プラグを挿して充電することのできるモデル”ということで、60シリーズや90シリーズのプラグインハイブリッド(以下、PHEV)モデルにも与えられることになった。

 つまり、リチャージのサブネームがつくモデルはEVまたはPHEV、つかないモデルはマイルドハイブリッド(以下、MHEV)となるわけだ。

PHEVもMHEVも進化を果たした2023年のボルボ

 もうひとつ全車に共通するのは、先んじてXC60から導入されていたGoogle搭載の新インフォテインメントシステムが標準で備わったことだ。メーターパネルと連携したGoogleマップによるナビゲーション、Googleアシスタントによる音声操作、さらに各種アプリケーションを使えるGoogleアプリ/サービスが利用できるようになった。もちろん緊急通報サービスや故障通報サービスなどと連携する“ボルボ・カーズ・アプリ”も利用可能だ。

 また、XC40に関してはマイナーチェンジが行われ、デビュー以来初となるフェイスリフトが行われている。ラインアップにも変更があり、PHEVが廃止となって、代わりにBEVの“XC40リチャージ”が加わった。基本的にはC40リチャージと同じパワートレインを使い、スペックがわずかに異なるところもあるが、C40リチャージ同様に前輪駆動の1モーター仕様と全輪駆動の2モーター仕様が用意されている。

 パワートレインについては、MHEVモデルの2リッターユニットに変更があった。型式や排気量などは代わらないものの、あらたにミラーサイクルエンジンとなってるのだ。可変バルブタイミング機構の採用、圧縮比アップ、エンジンの回転数に応じて排気の流速をコントロールするバリアブルノズルタービンの採用など、各部の効率化を図っている。また、これに組み合わせられるトランスミッションも、トルコン式8速ATから7速DCTへと変更されている。

 そしてPHEVモデル。じつは2022年の頭にパワートレインの改良が行われてるのだが、意外やご存じない方が少なくないのでお伝えしておこう。ひとことでいうなら、エンジン、モーター、バッテリーのすべてが一新されてるのだ。

 バッテリーは充電容量が従来から約60%増となる18.8kWhとなっていて、モデルによって異なるが、EV航続距離が最長で約70〜90kmと、従来型のほぼ倍ほどに伸びている。リヤモーターも107kWと、約65%も出力がアップしている。2リッターユニットも従来のスーパーチャージャーをやめ、組み合わせられるCISG(クランクインテグレーテッドスタータージェネレーター)の出力を54馬力/160Nmへと向上させることで、低回転域でのトルクやレスポンスを補っている。

 こうしていずれ廃止となるEV以外のパワートレインにも細かく手を入れてる辺り、ボルボのまじめさがわかろうというもの。じつはMHEVモデル、PHEVモデルに試乗をする機会があってどちらにも感銘を受けたのだけど、この先を続けると絵巻物レベルの長さになってしまうので、そちらは続編でとさせていただきたい。