フル&マイナーチェンジで復活もあれば失敗も! 空前絶後の「人気乱高下カー」7選

この記事をまとめると

■クルマはモデルチェンジをすると人気度合いが大きく動いたりすることが多い

■好調だったモデルがモデルチェンジによって一気に不人気になってしまう場合もある

■初代が大人気になるとそれ以降のモデルは苦戦を強いられることも多い

クルマは大逆転人気と大逆転不人気の繰り返し

 クルマのモデルチェンジは自動車メーカー、開発陣にとって大きな挑戦となる。新しいクルマは先代より優れているのは当然で、先代ユーザーの乗り換え、新規ユーザーの獲得にも期待がかかる。が、モデルチェンジやマイナーチェンジで先代、先型から大きく躍進したクルマもあれば、逆に人気が低迷してしまった新型、改良型もある。

 ここでは、過去から現在に至る、モデルチェンジやマイナーチェンジで蘇ったクルマ、逆に販売台数が低迷してしまったクルマたちを紹介したい。

 まず、最新の話として、トヨタ・プリウスを語らないわけにはいかないだろう。プリウスは1997年に「21世紀に間に合いました」というキャッチフレーズでデビューした、世界の量産ハイブリッドのパイオニア的存在だ。初代から3代目のヒットは言うに及ばず、乗用車販売台数のNo.1に君臨した月も少なくない。

 が、先代、つまり4代目はデビュー当初のデザインが個性的過ぎて世界中で賛否両論。シリーズ途中でエクステリアデザインを大幅に手直しした経緯がある。それでも2021年国産乗用車間販売台数ランキングでは16位、2022年の年間販売台数ではさらに20位まで沈んでいたのである。ハイブリッド車のライバルが増えたのもその一因だが、自動車ユーザーがプリウスという存在にそろそろ飽きてきたのも原因と思われる。

 が、2023年に華々しくデビューした5代目は、まるでスポーティカーのようなカッコ良すぎるルックス、スポーティな走り、好燃費、そしてトヨタ最新の先進運転支援機能を備えて登場。発売直後の2023年2月の国産乗用車間販売台数ランキングではいきなり10位に浮上。納車が本格的に始まれば、かつてのようにさらに上位に食い込むに違いないだろう。室内空間やラゲッジスペースを犠牲にしてまでデザイン、スポーティ性能を優先した企画の大逆転、大成功例と言っていいかも知れない。

 ここのところ、国産乗用車販売ランキングで1位につけているトヨタ・ヤリスも、前身のヴィッツと比べれば、遥かに進化した国産コンパクトカーとなった。ぼってりとしたスタイルから一転、フィットを敵としない先進感と精悍さあるデザインを持ち、2019年12月のデビュー以来、大逆転ヒットカーとなっている(もっとも、2019年年間販売台数でヴィッツはモデル末期の販売大攻勢で10位に食い込んでいるが)。

 軽自動車界ではスーパーハイト系軽自動車のホンダN-BOXの快進撃が続いているが、それに迫るのが同ジャンルのスズキ・スペーシア。なんと2022年5月には1位常連のN-BOXの8631台を上まわる8670台を売り、悲願の軽自動車販売台数1位の座についたのである。

 が、スペーシアの道のりは長きに渡って厳しいものだった。スーパーハイト系軽自動車のタントのヒットを追いかけ、2018年1月にスペーシアの前身となるパレットを発売したものの、2011年のN-BOXの登場もあって、やや全高が低めのパレットはヒット作とはなりえなかった。2013年にはスペーシアとなったものの、その傾向は引き継がれ、背を高くした大空間を備えた2017年の2代目スぺーシアでは先進運転支援機能の充実、カスタムのカッコ良さや時流に乗ったクロスオーバーモデルのスペーシアギア(スペーシア ベースも乗用スペーシアがベース)の追加もあって、いきなり上記のN-BOXと並ぶスーパーハイト系軽自動車の人気モデルになったというわけだ。

過去の栄光には敵わない?

 ちょっと前のマイナーチェンジで大復活というか、商品力を格段にアップされた例としては、今はなきトヨタ・エスティマがある。3代目(最終)のデビュー10年目となる2016年のビッグマイナーチェンジでは、V6モデルが消滅したものの、スタイリッシュさを極めた2トーンボディを用意したほか、走りを大幅にグレードアップ。ハイブリッドモデルで箱根の山道でオデッセイと走り比べても遜色ないパフォーマンスを見せつけてくれたのである。その中古車、とくにレッドボディにブラックルーフの2トーンモデルは今でも新鮮な天才タマゴそのもので、見つけたら買いだと思う。

 一方、モデルチェンジ、マイナーチェンジでちょっと残念なことになったクルマとしては、かなり古い話にはなるものの、走り好きの若者や、デートカーとしての需要に大きく応えてくれた日産シルビアがある。1988年デビューのS13型はデザイン、走りともに素晴らしく、スポーティカーとしても人気沸騰。が、1993年にデビューしたS14型、6代目シルビアはそれまでの5ナンバーから3ナンバー(全幅1730mmだが)となり、基本デザインを変えずに大型化したため、バランスが悪く、当然、重量も増え、走りの軽快感まで失うことになり、人気は急降下……。

 同じく、ボディを肥大化させて(アメリカ市場を見据えてのこと)、人気を低迷させてしまった例としてスバル・レガシィがあった。ツーリングワゴンが絶大なる人気を誇った時代の1998年発売の3代目までは5ナンバーサイズを守り、水平対向エンジンによる低重心もあって、スポーツワゴンとして一世を風靡。が、2003年の4代目、そして5代目と進化する中で、車幅は1780mmに達し、ホイールベースも伸ばされたことから、居住性やラゲッジルームの広さは拡大したものの、スポーツワゴンとしての機敏性、スポーツ性能は、ファンにとっては「ちょっと違うだろ」ということになってしまったはずで、それまでの人気は保てなかったのである。

 もちろん、現在ではレガシィツーリングワゴンはレヴォーグとなってある意味、復活して人気を得ているが、今でもレガシィツーリングワゴンは3代目までが真打ち……と思っているファンは少なくないのではないだろうか。今なら全幅1780〜1795mmのレヴォーグに納得できても、当時の感覚では、そうではなかったということだろう。

 そうそう、今では「これがカローラ!?」と思えるほどスタイリッシュになったトヨタ・カローラスポーツだが、2018年6月のデビュー後の8月には「i-MT」と呼ばれるコンピュータ制御の6速MTを追加。「さすがトヨタ!!」とMTファンに大歓迎されたはず!? だが、2022年10月の一部改良時に1.2リッター直噴ターボエンジン×MTの仕様が廃止されてしまった。

 失敗の商品改良とは言えないものの、残念無念である。セダンのアクシオとフィールダー、GRモデルにはMTがあるが、スタイリッシュでスポーティなルックスのカローラスポーツにこそ残してほしかった。クロスオーバーモデルのC-HRにはあるのに!!