ニッポンの宝「軽自動車」! めちゃくちゃ種類が豊富な「Kカーのボディタイプ」を改めて整理してみた

この記事をまとめると

■いま軽自動車は日本で販売されるクルマの約4割を占める

■各メーカーが多種多様な車種をラインアップしている

■軽自動車のボディタイプの種類とそれぞれの特徴を解説

軽自動車人気NO.1はスーパーハイト系

 今や日本で売れているクルマの約4割を占めるのが、軽自動車だ。そしてその販売台数のトップを8年連続で成し遂げているのがホンダN-BOXである。2022年4月〜2023年3月の新車販売台数で20万4734台(前年同期比106.9%)と、軽自動車2位のダイハツ・タントの12万3198台、3位のスズキ・スペーシアを大きくリード、いや倍近い売れ行きなのである。

 とはいえ、日本が誇る国民の足、軽自動車はN-BOXだけではない。商用車を含めれば80車種以上も存在するのだから、ある意味、選び放題と言っていい。

 さて、ここでは軽自動車(乗用車)のボディタイプの種類とそれぞれの特徴を解説したい。

 まず、上記の軽自動車人気NO.1となるカテゴリーが、背が高く、両側スライドドアを備えた、ミニバンを縮小したようなスーパーハイト系だ。車種としてはホンダN-BOX、ダイハツ・タント、スズキ・スペーシア、日産ルークス、三菱ekスペース、ekスペースクロス(現在は生産終了でデリカミニに引き継がれている)が代表格だ。

 その最大の特徴は室内空間の広さ。アルファードに匹敵する1400mm前後の室内高の高さはもちろんのこと、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準による後席膝まわり空間は、N-BOXの最大420mm(後席シートスライド位置による)を筆頭に、ルークス400mm(ekスペースも同じ)、タント355mmスペーシア340mmと、Mクラスボックス型ミニバン並みとなっている。

 家族、仲間4人で乗っても、狭さなどまったく感じず、リヤスライドドアによる後席の乗降性も文句なし。車種によっては天井サーキュレーターが備わり、スライドドア部分のウインドウに用意されたロールサンシェードとともに、後席の空調環境もまた抜群と言っていい。それこそ、一家に1台のファーストカーとしても、ターボモデルなら十二分に満足できてしまう軽自動車なのである。

 さらに、軽キャンのベース車としても利用されているように、流行りのアウトドア、車中泊にもうってつけな室内空間、シートアレンジ性を持つのもこのカテゴリーである。

 ただし、背の高さと両側スライドドアによって車重は重くなり、燃費性能でほかのカテゴリーより不利になりがちなのは当然で、さらにボディの縦横比から、横風に弱い傾向があるのも事実。価格的にもその内容の充実度もあって、高めの設定となる。

 次のカテゴリーは、スズキの初代ワゴンRがパイオニアのハイトワゴン系だ。こちらも、スーパーハイト系ほどではないにしても背が高く、しかしリヤドアはヒンジ式となるトール系のカテゴリー。代表格としてスズキ・ワゴンR、ダイハツ・ムーブ、日産デイズ、サクラ(電気自動車)、ホンダN WGN、三菱ekワゴン、ekクロス、ekクロスEV(電気自動車)がある。

 サクラとekクロスEVという軽自動車の電気自動車を成立できたのは、床下にバッテリーを敷き詰めても室内高が犠牲にならない全高、元々の室内高の余裕があるからにほかならない。では、なぜサクラをルークスベースで作らなかったのか? と言えば、すでにスーパーハイト系のところで説明したように、過剰とも言える背の高さに加え、スライドドアなどによる重量増による車重が、電気自動車のベース車両として相応しくないからと言っていい。そこで、サクラ、ekクロスEVのベース車両として白羽の矢が立ったのが、スーパーハイト系よりは軽量な、ハイトワゴン系のデイズ、ekクロスの4WDだったというわけだ。

 ハイト系ワゴンの魅力は、スーパーハイト系に次ぐ背の高さによる室内空間のゆとりを持ちながら、スーパーハイト系に比べて背が低いことによる走りの安定感、横風の影響の少なさだ。後席の乗降性では両側スライドドアを持つスーパーハイト系に敵わないものの、走りの良さでは上まわるカテゴリーと言っていい。

アウトドア派におすすめのタイプも!

 じつは、スーパーハイト系に次いで人気のカテゴリーが、スーパーハイト系、またはハイトワゴン系をベースにしたクロスオーバーモデルたちだ。車種としてはスズキ・ハスラーが代表格で、ダイハツもタフトを用意。アウトドアテイスト、SUVテイスト溢れる時代にマッチしたエクステリアデザインを特徴とし、ハスラーの4WDは悪路の走破性にも特化。

 そして今年は三菱のekクロススペースに代わる新型車としてデリカミニも登場。それをきっかけに、スーパーハイト系との大接戦が展開されることは間違いないカテゴリーとなる。室内高の余裕を生かし、前後席フラットアレンジ、車中泊も可能だ。

 加えて、スズキ・スペーシアギア、ダイハツ・タント ファンクロスといった、スーパーハイト系にクロスオーバーテイストをまぶした、スーパーハイト系とクロスオーバーモデルを合体させたモデルも揃う。ただし、最低地上高を含め、本格的な悪路に強いわけではない。あくまでテイストがSUV、クロスオーバーなモデルと言っていい。

 そんなクロスオーバーモデルよりさらに本格的な走破性与えているのが、国産軽自動車として孤高の存在となる本格クロカンモデルのスズキ・ジムニー。かつては三菱にパジェロ・ミニという同種の軽クロカンもあったのだが、今ではジムニーの独占カテゴリーとなっている。室内空間や快適性よりも、道なき道を安心安全に走れる、ある意味、マニア向けの軽自動車である。しかしマニアを含めた多くのユーザーに人気で、デビュー当初から長い納期が続いている。

 軽自動車として超ニッチなカテゴリーと言えるのが、軽スポーツ。近年ではスズキ・カプチーノ、ホンダ・ビートに始まり、ホンダS660(すでに生産終了)などが人気を博し、現在ではダイハツ・コペンと、トヨタ版のコペンGRスポーツのみになってしまったカテゴリー。最大の魅力は、スポーツカーとして手ごろな価格はもちろん(コペン・ローブなら約190万円〜)、高性能スポーツカーと違い、ターボエンジンで64馬力が上限ということによる、全開を味わいやすい動力性能だ。つまり、持てる性能を持て余さずに乗れるスポーツカーというところにある。

 ちなみに、カッコは純スポーツカーではないものの、中身はスポーツカーそのものと言っていいのがホンダN-ONE RSだ。なんとターボ仕様にはS660に準じる6速MTが用意され、その走りはいわゆるホットハッチ。走る楽しさが凝縮されたプレミアム軽と言っていい。

 そして、忘れてはならないカテゴリーが、じつはニッポンが誇る軽自動車の基本の基本と言えるハッチバック、セダン系である。そう、1979年、初代が47万円という衝撃的な新車価格で登場したスズキ・アルトやダイハツ・ミラが築いてきた軽自動車の基本形と言えるカテゴリーである。

 魅力は何と言っても価格の安さ、軽量ボディによる燃費の良さといった経済性を第一にして、誰もが使いやすい実用性を追求しているところ。燃費性能に特化したダイハツ・ミライースは約86万円からの価格で、ハイブリッドでもないのに最高25.0km/Lの燃費性能を稼ぎ出している、まさに究極のエコカーそのものと言っていいのである。

 現在では、スズキ・アルト、その派生車のラパン、ダイハツ・ミライース、ミラトコットなどが代表格となる。ハイトワゴン系などと比べれば室内空間はそれほど広くはないものの、最新のハッチバック、セダン系はパッケージングにも熱心で、後席に大人が座っても窮屈な思いをせずに済むのが基本。前席の乗車中心で、日常の足として気軽にリーズナブルに使うなら、これで十分と思えるほど、内容は進化している。

 そのほか、4ナンバーとなる、乗用軽ベースで荷物の積載性に特化した軽バンのカテゴリーがあり、なかでも中身はほぼスペーシア(スペーシアカスタム&スペーシアギア)のスペーシア ベース、ホンダNシリーズの商用車版であるN-VAN、働くクルマとしても定評ある最新のダイハツ・アトレーなどは、一般ユーザーがアウトドアなどに使うにも最適なギアとなるカテゴリーとなっている。